2被告に8年求刑 千葉地検「人間性踏みにじった」 石郷岡病院事件

事故・訴訟 2017年3月3日 (金)配信千葉日報


千葉市の精神科病院「石郷岡病院」で2012年、男性患者が介助中に暴行を受けて寝たきりになり2年4カ月後に死亡したとされる事件で、傷害致死の罪に問われた、いずれも元准看護師の菅原巧(63)=千葉市若葉区、田中清(67)=市川市=両被告の裁判員裁判の第10回公判が2日、千葉地裁(高橋康明裁判長)で開かれた。検察側は「患者の人間性を踏みにじった」として、両被告に懲役8年を求刑。弁護側は「看護行為で問題はなかった」などとして、あらためて無罪を主張し結審した。判決は14日。

 公判で検察側は、入院患者の弘中陽さん=当時(33)、市原市=が暴行を受けたとされる時間を12年1月1日午後4時15分ごろと指摘。現場は弘中さんが生活していた病院内の保護室とされ、地裁は天井に設置されていたカメラ映像を証拠として採用している。

 論告で検察側は、当時のカメラ映像の静止画を示しながら、菅原被告が弘中さんの顔を踏みつけたとする場面や、田中被告が弘中さんの首に左ひざを乗せて体重をかけたとする場面を指摘。「菅原被告が左足で顔を踏みつけた。弘中さんの髪の毛が乱れ衝撃が伝わった」、「田中被告は前のめりとなり、左ひざに体重をかけていることが明らか」などと述べた。

 共謀については「田中被告は菅原被告の顔を見上げている。お互いの状況をはっきりと確認しており、2人の暴行には連動性が認められる」とし、死亡との因果関係については、2人の暴行による受傷前後に、弘中さんに頸髄(けいずい)損傷以外の死因につながる事情は生じていないとし「協力して弘中さんにズボンを履かせる過程で蹴られたことがきっかけ。動機は短絡的で、人間性を尊重して行われるべき正当な看護行為ではなかったのは明らか」と述べた。

 一方、菅原被告の弁護側も静止画を示しながら「映像は天井からの撮影で1秒間に4枚、画質も悪い」とした上で「弘中さんの髪の毛か影なのかはっきりしない。弘中さんの首は骨折や脱臼しやすい特殊な状態。田中被告に押さえつけられた時、体を左右に振っており、そこで首に無理な力がかかった可能性がある」と主張した。

 田中被告の弁護側は「映像に田中被告の左ひざが弘中さんの体と重なって見える部分もあるが、上からの映像では実際に触れているかどうか分からない。看護師として、暴れる弘中さんを押さえつけただけ」と訴えた。

 最終意見陳述で菅原被告は「この裁判を通して、事件に対して皆さんが耳を傾けてくれたことに感謝している」、田中被告は「私からは特にありません」と述べた。


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