競艇があって良かった
実家に泊まり、朝から競艇を楽しむ。
舟券を買ったり、競艇選手の過去の映像を流す番組などを観たり、父と共通の趣味ができて、想像もつかないくらい楽しい。
父は、病気になる前、仕事の休みの日に、1人で競艇場へ行っていた。
昔はパチンコだったが、いつからか、競艇に変わっていた。
競艇を家でも観られる、レジャーチャンネルに加入したいと言っていたが、軽い気持ちで母がノーと言っていた。
病気になり、家でも楽しませたいと思い、レジャーチャンネルに加入したので、家で楽しんでいる。
父が病気にならなければ、競艇なんてただのギャンブルだとしか思っていなかったし、父が1人でどんな風に楽しもうと関心もなかった。
今、一緒にやってみて、父がどんな風に競艇をしていたか、色々わかった。
仕事が休みの日。
父は、競艇場の駐車場に車を停め、
馴染みの警備員さんにタバコを差し入れして、
競艇場まで少し歩いて、
備え付けの鉛筆を使って舟券を買って、
お腹が空いたら1本150円の牛モツを食べ、
喉が乾けば無料で飲めるお水やお茶を飲んで、
道が混む前に競艇場を後にする。
これを想像しただけで、涙が出てくる。
いつも。
元々、私は競艇には興味なかった。
父を励ますために、興味を持ってるふりをして、一緒にやり出した。
何もわからず、思いつきで舟券を買って、外しては悔しがって、当てては大喜びをして。
それを繰り返していくうちに、競艇の楽しさに気づいた。
競艇はたった6艇で競うので、当てやすい。
スピード感あふれるレース、順位がわりと変わりやすく、最後まで興奮が続く。
そして、思ったよりレーサーが男女とも魅力的。
ルールにも選手にもどんどん詳しくなり、父と対等に語れるようになった。
父が外しても、私が当てて、『良くやった!』と褒められるようになった。
1年の総決算である、グランプリが20日から行われる。
しかし、父はその日から入院。
毎日、スマホを持って通う事になりそうだ。