最近興味を持っている「鉄道」について、今日また、面白い話をラジオで聞いた。
あのドボルザークは鉄道マニアだったというのだ。

NHKのトーク番組で早速その実証として、交響曲9番の「新世界より」第4楽章を聞かせた。

ターンタタターンタターー、ターンタータタターー。
聞きなれた好きな楽章であるが、こうして鉄道という耳で聞くと、正に、
蒸気機関車がぐぐっと発進して、速度を速め、あるときは喘ぎ、下り坂の平原では快走している。
沿線のいろんな効果音なども聞えてきて、これ以上ない位の描写音楽ではないか。

間違いない。
新世界はドボルザークである。
この曲正しく鉄道マニアでなければ書けない曲である。
故に、ドボルザークは鉄道マニアである。
簡単な3段論法で、一瞬にしてそう断定してしまった。

いろいろ調べて見ると、彼の熱狂的なマニア振りがネットで拾える。
① アメリカへ渡った理由の半分は、アメリカの鉄道を体験するため。
② 毎日プラハ駅に通い、機関車を眺め、時刻表を暗記し、機関手と話して狂気した。
③ 娘の婚約者に調べさせに行かせたら間違った情報であるKとが後で分かり、結婚に反対した。
④ 自分が行けないときには、弟子に調べに行かせた。これは、ニューヨークに行ったからも同じ。
⑤ ニューヨークでも、毎日「グランドセントラル駅」に出かけて、機関車を見たりいろいろ調べて
  記録したり、作曲にかかわる時間以外は模型製作も含め鉄道に費やした。
⑥ 本物の機関車を手に入れるためには、自作の曲を手放してもいいと言った。
⑦ 「ユーモレスク」の主旋律は、汽車にゆれれている時に作曲した。
⑧ プラハ時代に、毎日同じ汽車に乗るのだがその日は違う音がしたので、車掌に言うと
  案の定故障を事故の未然に発見することが出来た。 etc.

実際に、「新世界」の4楽章は、鉄道の描写に満ちている・・・。
  ・蒸気機関車の動輪が動き出す、ドラフトの音、シリンダーの蒸気、風を切る音。
  ・セカンドバイオリン奏者のXさんは、弾きながら、「石炭をくべた」「汽車が線路を走る」
     と感じるそうだ。
  ・有名な話で、新世界で「シンバル」を全曲の中で1回だけ鳴らす場面がある。
    4楽章の第一主題の終わりの所だが、これは、ブレーキをかけて連結する描写だそうな。

  *私自身、車の中で部分的に聞いただけだが、汽車の発進、快走を肌で確認した。
    きちんと改めて、鉄道の頭で聞いてみようと思う。

さて、ドボルザークは1893年(明治26年)に新世界を書いた。
アメリカの鉄道の全盛期は、1900年前後であったそうだ。
してみると、ドボルザークは一番良い時期にアメリカへ渡り、「新世界」や「アメリカ」を作曲し、
鉄道の趣味に浸るという、趣味と実益の両方を満足させた滞在だったのである。

下の写真は、1941年製の世界最大の蒸気機関車「ビッグボーイ」であるが、この機関車を
みたら、ドボルザークはなんと言っただろうか・・・・。



10番目の交響曲に仕立てて、捧げたかもしれない。