「米」という食料を自給するという原点さえ確保されないようでは日本は滅びる。

「農」を軽視した国で古今東西生き残った国はない。

と、前回書いた。

 

 

イギリスがどのように戦後食糧自給率を挙げてきたかお知らせしたい。

以下農林水産省の資料を紹介しよう。

余計な説明を加えるより,数字を見ていただけると一目瞭然である。

 

日本とイギリスの食料自給率の比較推移

                 イギリス           日本

                カロリー (穀物)     カロリー (穀物)

1961年(昭和36年)   42%  (53%)      78% (75%)

  -35年後-

1996年          79%  (125%)     42%  (29%)

2003年(平成15年)   70%   (99%)     40%  (27%)

 

 

なぜイギリスがこのように自給率の改善が出来たのか

同じく農林水産省の子供向けPR資料に、次のように解説している。

 

平成13年度の日本の食料自給率(カロリーベース)は40%で、主要先進国で

最低の水準にあります。

2000年の食料自給率では、イギリス74%、フラン ス132%、アメリカ125%、

オーストラリア280%となっており、OECD(経済協力開発機構加盟の30か国中、

日本は29位となっています。


 山岳地が少なく国土の約7割を農用地面積が占めるイギリスが約30年間で

食料自給率を25%向上させた理由は、

 

 2度の世界大戦で深刻な 食料不足に陥った経験から、英国民の間に
「食料は国内生産でまかなうことが重要」との認識が醸成され、
これに基 づいた農業施策が推進されてきたこと。

 

 イギリスの気候風土の中で長い年月をかけて育まれた食生活に著しい
変化がなかったことは、 ライフスタイルの多様化等から食生活が大きく変化し、
気候風土に適したコメの消費が減少した我が国の場合と異なること。

 

 イギリスの気候風土に適した農産 物である小麦の増産により、
穀物自給率(飼料用を含む)が大幅に向上し、100%を上回る水準に
達するまでになったこと等の要因があります。

 

イギリスの30年間一貫した食料自給率向上の国民挙げての忍耐と努力に、

阿川弘之氏のいう「大人の見識」を見るのである。