ドラマの中の時間軸 | 交心空間

交心空間

◇ 希有な脚本家の創作模様 ◇

 人物のトラウマ(精神的外傷)や出来事の因果関係を描くとき、その発生時
期(時代)にさかのぼる手法『回想』を使うときがあります。日本の、特に単
発ドラマやサスペンス系ドラマでよく見かける手法です。現在の状態を説明す
るため、ことあるごとに回想を使い「過去ばかり」を見せています。しかもひ
とつの回想が「長い」のも特徴といえます。


 通常ドラマの展開は時間軸に沿って、その伝えたい部分をシーンとして描か
れます。いわば「ストーリーは未来に向かって展開する」ものです。ある人物
の一日を描くドラマがあるとして、ファーストシーンが朝8時(下図の場面A)
とすると、展開はそれより先の時間、たとえば次のシーンは9時(B)とか10時
(C)、進むにつれてやがて昼(D・E)になり夜(F・G)へと移り、ラストは今
日から明日に変わろうとする23時台(H)となるのが、見慣れたドラマの進行
設定です。
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   朝       昼           夜
時刻:8 9 10 11 12 13 14 15 16 17 18 19 20 21 22 23
場面:A B C   D   E       F   G     H
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展開:A→B→C→D→E→F→G→H    ※時間軸に沿った展開
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            《つづく:「回想の構図(1)」として掲載します》