アジア・パーティーライン(13) | 交心空間

交心空間

◇ 希有な脚本家の創作模様 ◇

  SE 清掃車がゴミを回収する。
綾子「アタシ、町内会の係なのよ。だから、ちゃんとやってもらわないと困ん
 のよ」
昌枝「どうでしょう。みんなで考えてみては?」
ミリ「いいわね。賛成」
綾子「何が出来んのよ、あんたたちに」
社長「彼らに注意したんですか?」
綾子「したわ。でも、笑ってるだけで」
ミリ「日本語、解らんのかね」
綾子「インシャーラー? とか何とか言って逃げてるのよ」
  SE イスラムのイメージ。
金田「イスラム教徒の方ですね」
DJ「インシャーラーって、何のことですか?」
金田「約束したときなんか、返事によく使うんですけどね。もし神様が望むな
 ら、つまり、何事もなかったら、私はその約束を果たせますってことなんで
 すけど」
綾子「じゃ何!? 神様が望まないから、ゴミをちゃんと出せないっていうの!?」
金田「いえ、そういう意味じゃないんですけど」
綾子「どういう意味よ」
金田「私はイスラム教徒じゃないんで、詳しくは答えられませんが、インシャ
 ーラーという言葉を、約束不履行の意味にとられては、困るということです」
昌枝「あのォ、ちゃんとゴミの分け方を教えてあげたらどうかしら」
  SE 大量のゴミを分別している。
綾子「何度も言ったわよッ。要するに、飲み込みが悪いのよ」
昌枝「何か書き表したもんにして、差し上げたらどうかしら」
社長「そりゃええ」
綾子「渡してあるわよ、ちゃんと」
金田「外国の言葉ですか」
綾子「いいえ、うちの町内会で配ってるもんだから」
ミリ「日本語?」
綾子「決まってんじゃない」
社長「そりゃダメだ」
綾子「だってここは日本なのよ。日本語ぐらい勉強すりゃいいじゃない。大体
 ね」
社長「解りました……ワシが行って、彼らに話してみましょう」
金田「私にも手伝わせて下さい」
社長「そりゃ、ありがたい」
ミリ「私も行ってみようかなァ」
社長「それでどうですかのォ?」
綾子「他にも注意しときたいこと」
社長「話しましょう」
綾子「そういうことなら……」
社長「ちゃんと、解ってもらえるまで話しますから」
綾子「いいけど……」