とある師走の環状線、優先席近くで携帯の着信に出た見るからにオネェ系のオッサン。
『えっとぉ、ちょっと予定が押してましてぇ1時間半集合が遅れますので~宜しくお願いしまぁす』
オイオイ、1時間半てチョットなのかい。
着信に出るだけでなく発信もするオネエ系のオッサン。
着信のときよりも声色が甘ったるい。
『うん、ゴメンネ昨日飲みすぎちゃって。眠ったの遅くって・・・寝坊しちゃった・・・ゴメン、上手く言っておいてェ』
ぇー、深酒の末に寝坊。
1時間半寝坊でずれ込むってスゴイ失態ちがいますのん?と突っ込みを入れたい気分になる。
しかし見ず知らずのオッサンなので同じ車両の誰も、口を挟みはしない。
チラチラと観察すると、起きてすぐに飛び出してきた様子のオネエ系オッサンは寝癖髪。
オッサンが現場に着いたら誰もが本当のスケジュール変更の理由に察しが着くのだろう。
ドア脇に立っていた女性が私と同じく観察する眼差しでオネェ系オッサンを見たのを、オッサンは見逃さなかった。
オネエならではの観察眼なのか、心苦しく思ったのか、やおらオッサンはその女の人に話しかけた。

オネエ系オッサンはどうやら携帯マナーについて釈明をしたい様子だった。
仮に話しかけられた女性をドア脇女さんと言うことにする。
オッサン『アタシ、誰か一緒に居てくれる人がいないとダメってよく言われるの。』
ドア脇女『そうみたいですねえ・・・』
溜め息交じりに返す言葉は戸惑っているようでもあり呆れているようでもある。
オッサンは縋るように畳み掛ける。
『昔はいたのよ、でも・・・彼・・・奥さんのところに帰ってしまったの!』
女の人もいい迷惑であろう。
どう考えても偶々居合わせた見ず知らずの相手に語るような内容ではない。

オッサン『アタシ、支えてくれる人がいないとダメなのっ!甘い生活が恋しいわ・・・・』
ドア脇女『・・・・・・甘い生活は、自立した大人がするもんですよ?』
オッサンは言葉が接げなかった。
しばしの沈黙。
そしてドア脇女とオネエ系オッサンは同じターミナル駅で降りて別々に歩いていった。
乗客がほぼ入れ替わってからも、ドア脇女の言ったセリフが妙に心に残った。

橋本治さんの著作で読んだ説では古来「いい女」の決め手は
権力者に囲われたオナゴ衆の評判だったみたい。
そして『いい女をたくさん囲える』のが「いい男(この場合権力者)」だと言うことみたい。
この節に従うと「いい男」を決めるのは女で、
「いい女」を決めるのもやはり女だということになるように思う。

  『抱きしめてTonaight』
 悩み事を隠すの案外下手だね。肘を立てた姿勢で爪を噛んでる。
 君だけを見てきたから判るつもりさ。
 溜め息より言葉で話してごらん・・・・
 (作詞;森浩美/唄;田原俊彦/1988年発表)
こんな唄い出しの20世紀の唄がある。

私は男の人はやっぱり仕事をしてナンボだとおもう。
法律や人倫を侵さない限りその仕事の種類はどんなものでも構わない。
稼ぎの額も多いに越したことは無いけど、少なくったって構わないのだ。
戀に恋するのは少女の特権だし、戀に弄ばれる青年や少年は好ましい。
どうせ男の子は乙女な生物だと思うし。
少女も少年も窯変していくからそれでいいと思ってる。
でもタダの男ではなく「いい男」なら、戀に溺れきっているのはどんなもんなのかと思う。

前述の唄はこんな風に続く。

 もっともっと素直になれ心の中身をカラにして
 涙も溶かして素直になれ 愛が終わったわけじゃない
 触れたら 壊れそうな瞳だね今夜は
 片手で抱き寄せて君のこと護りたい

コレデスヨ!!
思いを寄せる女性のことはしっかり見守りつつ、彼女だけに溺れない。
愛する人を抱き寄せるのはあくまでも片手。
もう片方は多分、彼女の壊れそうな心に降りかかる火の粉を払うためにあるのですよ。(多分。

まあね、そんなのお伽噺だって思ってるところもあるけど。
せっかく抱き寄せてくれるなら彼の胸の鼓動を片耳で確かめつつ脇腹の筋肉をさすさす♪したいな。
女性の脳ミソのほうが観察や策略には向いているのだそうですが、せっかく頑張ってくれるなら。
片耳は鼓動を聞き、うっとりと片眼をつぶって・・・束の間、抱き締められるのもいいのかも。

志が無い小金持ちは容姿が整っていても「いい男」とはいえないと思います。
志が無い浮かれ者は悲しい生物だと思います。

小金は無くとも志のある挑戦者の瞳に もしも私が映るなら、彼の窮地を一緒に切り抜けてみたいと思うことでしょう。愛する人の力になれるのは男女問わず嬉しいものだと思う。
戀に全力で臨みつつ人生も踏み外さないためには自立した生活は欠かせないだろうなと思う。
もしも子供を授かるなら、そういう「いい男」の遺伝子に因ってしか御免被りたい。
「いい男」の特徴って? ブログネタ:赤いサラファン やっぱ腹斜筋さすさすは外せないすよ。