相横歩取りで新手炸裂!将棋電王戦第四局コンピュータ驚愕▲7七歩→▲3六飛・▲5六飛にプロ棋士悶死 | くそ英語

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英語を「お勉強」して思った事や、読んだ本で印象に残った事を書いていきます(週4回程度)。ヤバいネタで何回も消された「オウマー日記」(http://sinzinrui.blog.fc2.com/ )緊急連絡場所も兼ねてますが、こっちは良い子も読んで楽しい健全内容。

 第4局はコンピューターの一人舞台。
 相横歩取りで新手(解説するプロ棋士は批判的)を炸裂させたコンピューターが、その新手を活かして、異次元手の▲5六飛で心理的ゆさぶりをかけ(?)、人間に目立ったミスはないのに一方的に快勝。第二局「人間いいとこ取り」の無残な敗戦に報復した。

将棋電王戦FINAL第4局、敗戦の村山慈明七段「▲3六飛は研究していなかった」「内容は完敗」
http://shogi1.com/denousen-final4-36hi/

 棋譜は2ちゃんねるで拾いました。
先手:ponanza
後手:村山慈明七段

▲7八金 △3四歩 ▲7六歩 △8四歩 ▲2六歩 △8五歩
▲2五歩 △3二金 ▲2四歩 △同 歩 ▲同 飛 △8六歩
▲同 歩 △同 飛 ▲3四飛 △8八角成 ▲同 銀 △7六飛
▲7七歩 △7四飛 ▲3六飛 △3三桂 ▲2六飛 △2五歩
▲5六飛 △4二銀 ▲8六飛 △8四歩 ▲8三角 △2四飛
▲2八歩 △8二銀 ▲5六角成 △7二金 ▲5八玉 △8三銀
▲7六歩 △4四歩 ▲3八金 △4五歩 ▲7七銀 △4三銀
▲6六銀 △5二玉 ▲4八銀 △2六歩 ▲7七桂 △4二金
▲8九飛 △7四歩 ▲3六歩 △5四銀 ▲4六歩 △7三桂
▲3七桂 △3五歩 ▲同 歩 △1四角 ▲6八玉 △8五桂
▲4五歩 △同 桂 ▲同 桂 △4四歩 ▲5三桂成 △同 玉
▲8五桂 △同 歩 ▲4六桂 △4五銀 ▲8四歩 △8六桂
▲7七金 △2七歩成 ▲同 歩 △5六銀 ▲8三歩成 △3六角打
▲4七歩 △4五歩 ▲5四銀 △4四玉 ▲5六歩 △4六歩
▲5五銀 △3三玉 ▲7二と △4七歩成 ▲3四金 △同 飛
▲同 歩 △2三玉 ▲4七銀 △同角成 ▲3五桂 △2四玉
▲2一飛
まで97手で先手の勝ち

 初手▲7八金。コンピュータさんのお笑い手でオープニング。しかし第三局と同様に横歩取りに進展。
 プロ棋士さんは相横歩取りを選択し、△7六飛にコンピュータさんは懐かしの?▲7七歩。
 これはねー、40年くらい前、アマチュアでよく研究されて、近代将棋が紹介してたよなー。▲7七銀だと、飛車交換になった際に、例えば先手が▲5五角と打った際に△8五飛みたいな隙ができやすいので、壁になるけど飛車打ちに強い▲7七歩と打つんだよ。でもムリポなのがバレて、もう誰も見向きもしなくなった。アマもプロも全員▲7七銀と上がる。
 でも、言い換えれば、今までの常識では▲7七歩は△7四飛に対して「同飛と取る」と宣言したような手なんだ。ところがコンピュータは△7四飛に対して▲3六飛って逃げたんだね。これがコンピュータ新手で、解説してたプロはケチョンケチョン。ところが、これが咎められないんだ。
 
 ほら、常識的な▲7七銀△7四飛▲3六飛だと、後手は8四飛って回ったりしません? で、先手は▲8七歩って打つと△5四角の筋があるから▲8六歩って打って、後手が▲6六角を防いで△2二歩って(笑)。これ、昔は本当に定跡的手順だったんだぜ。ホントだぞ。
 でも、▲7七歩△7四飛▲3六飛だと、△8四飛は▲6六角でポア。それどころか、先手が逆に▲8六飛って回れる。後手は△8二歩みたいに凹まされる。これがコンピュータ新手の意味合いだ。(以上、私の見解)
 そして、△3三桂に▲2六飛△2五歩と人間に一歩を使わせて▲8六飛、ではなく何故か▲5六飛。意味がわからない。とにかく△4二銀とか「成」を受けるが、そこで▲8六飛。異次元手の連発で人間が完全に翻弄された形になったとともに、相横歩取り定跡に新たな一石を投じたことになる。さすがコンピューターさん。「ははは、私は不成も対応してるよ」って表示して欲しかった。
 で、△8二歩が普通だと思うが、△8四歩と角を成らせて指す方針に。しかし、その後人間さんにさしたり目立った悪手がないところからして、「趣味の問題」にしか思えない△8四歩が悪手ということになってしまうのだろうか。
 恐るべきコンピュータさん。

 でも、▲5六飛って本当に良い手だったんだろうか。△4二銀が入ってしまったんで、▲8六飛と回る手に対して後手が普通に△8二歩ならば、▲8三歩△7二金▲8二歩成△同銀に、▲8三歩△同銀▲8二歩△同金▲7一角の筋が消えちゃって、メチャ損してる気がするんだけど。まあ、グルには深いお考えがあるのでしょう。

 以上、解説ばかりでスマソ。
 少し前に、こんな記事があった。
内藤九段 電王戦「美学がない」と苦言
http://www.daily.co.jp/opinion-d/2015/04/02/0007878435.shtml
 おそらく内藤國雄九段は、人間連勝の試合を前提に発言しているのだろうが、じゃあこの将棋は「美学」がないのだろうか。この種の将棋のパイオニア・創始者的存在で、こういう横歩取りの空中戦で、今回のコンピュータさんのように、誰も指さない手を見つけては、指一本触れさせないで相手を斬って捨てる内藤九段からみても、惚れ惚れとする将棋だったのではないだろうか。
 それに、プレ電王戦の清水市代戦はどうだったか。「金損だけど有利」の華麗な差し回しは、升田幸三レベルの美学だと思うが。
 だいたい、美学美学というのならば、コンピューター相手に「事前に貸し出せ」「同じソフトを使え」「パソコンのスペックを制限しろ」ってプロ棋士の美学を放棄して、バグを必死に探して「勝った勝った」って叫ぶのも辞めにして欲しいのだが。