[ おやすみなさい ] | 苦しまぎれに恋をしよう

苦しまぎれに恋をしよう

誰も知らないあたしの話。

※以下、フィクションです。
ヨンソ好きのあたしの妄想です。
お名前を借りているだけで
実際の人物方々と一切関係ございません!

以前に妄想した作り話も読んでくださる方はこちらから→★


ウギョル収録最終日のヨンファとソヒョンちゃん。

ソヒョン視点。

 *

[ おやすみなさい ]

トッポッキの店が見えてきて。
「あの時は傘さしてたな」
なんて、傘を差す真似をして腕を上げたから
オッパのその腕にしがみついた。

こんなふうに私から腕を組むこと、
初めての時はすごくすごく緊張して。
やっとオッパの腕を掴んだ時、すごくぎこちなかった。

トッポッキの店で向かいあった時。
まだ私は何も知らなくて。
なんとかトッポッキを食べていたけれど楽しむ余裕はどこにもなかった。

雑貨屋さんに寄った時。
指輪を買ってもらってうれしかったのにうまく表現できなくて。

今になって振り返ると、あの頃の自分も愛しく思えた。
昨日のことのように思い出せるのに
確かに私たちの間に1年の月日は流れて。
私は変わった、と思う。
オッパのおかげで少しだけ、
ほんの少しだけかもしれないけど私も成長できた、と思うんだ。

ふたりの家に帰ってきても、
思い出はいろんなところに潜んでいた。
キッチンに立ちながら、

オッパにジュースを作ってあげることも

もう出来ないんだ、と思うとさみしくなった。
でも振り向いたらいつもみたいにソファで
くつろいでいるオッパが居て、笑いが漏れた。
「俺いつもこうしとった気がするわ」
「確かに」
違うところと言えば、
今日買った大きなテディベアを抱きしめていることくらいで。
「オッパ、似合うよ。そのテディベア」
「俺は子供か?」
「抱きしめてそのまま寝ちゃいそう」
「ほな俺が持って帰るわ」
「私に買ってくれたんでしょ?」
「お前のもんは俺のみたいなもん」
「何、それ~」
オッパはちっちゃな子供みたいで可愛かった。
可愛かったけど、でもやっぱりオッパはオッパで。
これまでにいろんな顔を見せてくれた。

今までの写真の中にもいろんなふたりが写っていた。
見ていると懐かしかったけど
オッパが書いてくれた初めての手紙を読み終わった時は
なんだか胸がチクンと痛んだ。

「もう行かんとあかんな」
と、オッパが立ち上がる。
すぐ隣に座っていたから右側が突然寒くなって私は言葉を失った。

荷物をまとめ始めたオッパの背中を見ていると
私も部屋を出なくちゃいけないのに、立ちすくんでしまう。
「これも持ってかなあかんやろ、ヒョ~ン」
大きなテディベアを私に渡すオッパ。
それにも手を出せずにいると、
押し付けることもなくただ優しい笑顔で頷いて見せた。
私がテディベアをぎゅっと抱きしめると
安心したようにオッパはまた背を向けるから
私はテディベアに顔をうずめた。

さっきまで抱きしめていたからか、微かにオッパの香りが移っている。
残り香は優しいのに鼻の奥をツンと刺激した。
涙が浮かんでしまいそうで唇を噛みしめた。

「行こか。ソヒョナの家に帰らな」
オッパはいつもみたいに軽く言うけれど。
確かにお互いに帰る場所が他にある。
でもここがふたりの家だったのに。
現実に戻らなきゃいけないんだ、と思い知らされる。
「バイバイ」
そう言って電気を消して玄関へと向かうオッパ。
――本当にバイバイしなきゃいけないんだ。
私だけここに残るわけにもいかないのは分かっていたけど。
「・・・行きたくない」
困らせてしまうと分かっていても。
どうしてもすんなりと部屋を出られない。
「でも行かな」
オッパがやさしく私を促す。
「どうすればいいの・・・」
後ろ髪をひかれすぎて、最後の一歩が踏み出せない。
ここから出たらどうなるんだろう。
これから先のことなんて何も分からないけれど
ただ、もう戻ってこれないことだけは分かっていた。

――まだここに居たい。
胸が軋む。

「行くで、ソヒョナ」
オッパは潔く部屋を出て私を導く。
何度も振り返ってしまう私を置いてオッパは前を行く。

オッパが用意してくれた赤い車に乗り込むと
もう帰るしかないんだと思った。

昼間はあんなに浮かれていた助手席なのに・・・。
「なぁ、ソヒョナ。トランクにギターが入っとるんや」
突然オッパが思い出したようにそう言った。
「ギター?」
「うん。トランクから下ろしてくれへん?」
「トランクから?」
どうしてギターが入ってて、
今下ろさなきゃいけないのか、分からなかったけれど
言われるまま、トランクを開けた。

そして飛び出した色とりどりの風船たち。
オッパが用意してくれていたイベントだと悟った時、
すごくうれしくて胸が躍った。
それだけで温かい気持ちが伝わってすごくすごく幸せだったのに
オッパは私に花束を差し出した。
「俺の気持ちを受け取ってください」
綺麗な花束を抱いたら胸がジンとした。
手紙も書いてくれていたけれど、
それを読む前にまたオッパからさらにプレゼントが渡されて
私はどうしたらいいのか分からなかった。

贈られたのはピンク色のギター。
一緒に楽器屋さんに行った時、可愛くて本当はすごく欲しかったギターだった。
「心に引っかかってたんや」
高かったから私には必要ないです、なんて言ったけれど
オッパは私の気持ちに気づいていたんだ。
浮かれてギターを弾いてみせると
オッパも楽しそうに笑ってくれる。
嬉しくてオッパの顔を見つめていたかった。
見つめては視線を反らして、また見つめて。
愛しくなって、何度も見つめた。
何度「ありがとう」と言っても足りないけど、言いたかった。
もちろんギターも嬉しかったけど
オッパが忘れずに覚えててくれたことが嬉しい。

車に乗り込む前に読んだオッパからの手紙。
オッパが綴ったのは、たった一言だった。

『俺たちは何も変わらない』

見慣れた文字が私にやさしく語りかける。

「そろそろ帰ろか」
オッパに素直に頷くことが出来た。

助手席に乗って、また幸せをかみしめる。
私の自惚れかもしれないけど
でもきっとオッパは、今日に間に合うように、
私を乗せてくれる為に時間を削って免許を取ってくれた。
だって、すごくうれしかったから。
オッパの助手席に乗せてもらえて、夢みたいだった。
・・ううん、夢がひとつ叶った。
ふたりしかいない空間なんて他になくて。
独り占めできて。
それがこんなに嬉しいことなんだ、と初めて知った。

手には大きなテディベアもある。
花束も、手紙も。
隣にはオッパが居て笑いかけてくれる。

さっきまでさみしさしかなかった心の中を
オッパは幸せで埋めてくれた。
あんなに帰りたくなかった道も
楽しく過ごせそうな気分にしてくれた。

――今まで、本当にありがとう。
全部、オッパのおかげだよ。

*

タイトルはaikoの「おやすみなさい」からお借りしました。

絶対忘れたりしないよ あなたの事 めーいっぱいの楽しさ
過去を愛しく思える様に 心を込めて 最後のおやすみ じゃあね おやすみ」


歌詞の一部です。

手紙の内容は、番組内で公開されなかったので勝手に捏造しました(笑。
リアルにラブレターでも良かったんですけど
そうなると返事とかいろいろと
ソヒョンちゃんからリアクションも出てきそうなので・・・。

違和感があったら、申し訳ありません。

あたしの妄想ではこんな感じです。

もし違う内容を妄想している方がいらっしゃったらぜひ教えてくださいね。

実際は何て書いてあったんでしょう・・・気になりますねぇ。


それにしてもあたしの「作り話」長くなってきました・・・( ̄ー ̄;