Wonderful ♡ Story 〜シンガポール移住への道〜

Wonderful ♡ Story 〜シンガポール移住への道〜

ある日、この街に圧倒的な運命を感じたんだ。
わたし...
‟シンガポール人と結婚する”

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「今、あなたがやろうとしていることは正直言って時間とお金の無駄です








…。







淡々と叩きつけるように、彼女はそう言った。



担当してくれた彼女は、私が電話に出た瞬間から、不機嫌そうな…怒っているような口調だった。



“あなたみたいな人が何をしにシンガポールへ?その理由を聞かせて”
今すぐにでもそう言わんばかりの声色だった。



「まずはあなたの経歴から話してください。」


「英語のチェックをするので英語で自己紹介をしてください。」


「留学経験は?英語を使って仕事をした経験は?」



まるで、取り調べ室にでもいるかのようだった。



この重々しい雰囲気に押されそうになりながらも、私は自分の思いを伝えた。



「今、あなたがやろうとしていることは正直言って時間とお金の無駄です。」



彼女の勢いは止まらなかった。



「このあなたの年齢でやることじゃないでしょ。そんなにシンガポールが好きなら旅行でもなんでも行けばいいでしょ。」



グサッと胸に何か突き抜けるような痛みを感じながら、私の目は必死にこらえた涙でいっぱいだった。



もう、何も言えなかった。



「他に、何か質問はありますか?」
彼女は最後にこう言った。



「お時間をとっていただきありがとうございました。また何か機会があればよろしくお願いします。」
…それが、精一杯の私の言葉だった。



これ以上の気持ちを言ってしまえば泣いてしまう。



絶対この人の前では、こいつの前では泣かない…
そう思って必死にこらえていた悔し涙は、電話を切った直後に一気に溢れ出し、私は大声で泣いた。



最近、ふと頭をよぎっていた。
もしかしたら…もう、叶わない…



何度も、何度も、もうダメかもしれない…思いたくなくても、ふとそう思いそうになるときがあって、だけどそう思いそうになってしまう度に


  “じゃあお前はこのままでいいのか?” 


そう、もう一人の私が引き止めるの。



聞いてみたかった。
彼女が最後に言った「他に、何か質問はありますか?」





…あります。





「なぜ、あなたは人材の仕事を選んで、なぜ、シンガポールへ来たのですか…」



彼女の言葉は確かにきつかったかもしれない。
だけど、ゆっくり落ち着いて考える暇もなく走り続けていた私に、自分を見つめ直すいい機会を与えてくれたとも思っている。



そして思うの。
こんなにきつい言葉を人に言わなきゃいけない彼女も、どれだけきついだろう…って。
まあ、余計なお世話だろうけど。



だけど、あなが言う “時間とお金の無駄” それだけは違うと思う。



私ね、思うの。
人が生きていく中で本気で夢中になって費やした時間に、自分に投資したお金に無駄なものなんてないと思うんだ。
これは決して彼女に盾を突きたいわけじゃない。



なにごとも。
全てに意味がある。



きっと、彼女とはもう関わることはないと思うけど、いつか証明できたらいいな。



彼女へではなく、自分自身へ。

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そもそも私は何がしたかったんだろうか…


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“今更何を言っているんだ”…それを感じたのは、他の誰でもない自分自身だった。



自分の心の中の違和感を感じながらも、帰国した日から昼間の仕事と夜の仕事、落ち着いて考える余裕もなく毎日フルコースの日常生活はすぐに舞い戻った。



夕方仕事が終わったら、折り返し地点。
急いでお家へ帰り家事を済ませる。
それから美容室へ行きセットをして、出勤。
日付が変わった頃に帰宅し、お風呂へ入って就寝。
これが私の日常だ。



これは苦ではない。
苦だと思う余裕もなければ、それ以上のものを得ているという実感の方が大きい。
こんな仕事でもしていなければ、決して出会えないだろう方々と毎日お会いして貴重なお話を聞ける。



もちろん一瞬の疲労を感じることもある。
特に、このリズムが狂う休みの日。
だけど、それを口にするのは自分へも他人へも何の得にもならない。



それを語れるのは、成長してから。
この壁を超えてから。



“あの時は…だった”
 そんな風に懐かしく語れる日がきたときに、やっと少しは格好がつくのだろう。







数日後…
脱毛サロンを紹介していただいたエージェントさんから連絡があった。



“仮内定が決まった” と。



当初の予定通り、2~3カ月後にポジションがあけば内定という話だった。



それからもう一つ、旅行会社からは不採用の連絡が入った。



今回のシンガポール。
一勝一敗。



ふとそう思った私は、今回はこれで終わった。
“終わった” と思ったんだ。





もう一度リベンジしよう、と。





私が手に入れたいものは、手に入れたかったものは何だったのだろう…





そんな迷いの中にいる最中、新たにシンガポールのエージェントを紹介してもらったんだ。



レジュメをアップデートして、電話面談の予約を入れた。



エージェントさんの都合と、私の予定とで、電話面談の予約がとれたのは、レジュメを送ってから2週間後だった。



そして、2週間後。
待ちに待った、面談の日…





























いつかね…自分はこういう人間だ、私のビジョンはこうだ、それをねちゃんと胸を張って言える時がきたら…もう一度あなたのような人に、あなた以上に素敵な人に出会いたい。

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…彼との出会いは、きっと偶然ではなかったと思う。



あの時の私に、この全ての行動の原点を見失いそうになっていた私に、神様が与えてくれた必然的な出会いだったんだと思う。



なんだかわからない、モヤモヤしていた気持ちの意図を気づかせてくれたのは、彼と過ごした時間だった。



彼はきっと、私が思い描いていた “理想” そのものだった。



彼があの時どう思っていたのか、どうなりたかったのか、それは知らない。



何度も私に「楽しんでる?」「楽しんでる?」そう聞いていた彼は、あの時何かを感じていたのかもしれない。



きっとすごく楽しかった…
それは嘘じゃない。



けれど、色んなことが次から次に胸の中に押し寄せてきて、言葉にならない感情に私は戸惑っていたんだろう。



「日本に着いたら必ず連絡して。」






……。








いつかね、私は指くわえてあなたのような人を見上げるんじゃなくて、あなたと同じような目線で全てを見てみたいの。



こんなギリギリの中で、自分のハードルを下げながら物を見るんじゃなくて…



そして、全てを振り返ってみたの…
就活だけに支配されそうになっていた頭の中を一旦整理して。



落ち着いて、一つ一つ過去を辿ってみたの。





なぜ、シンガポールだったのか…