私が書籍の出版にあたり、
日本の筆記具メーカーを訪問した際のことです。
105円のボールペンで書いた字をお見せしたところ、
「これ、何で書いたのですか?」 と言われます。
日本の筆記具メーカーの開発力は世界一。
しかし、「かすれない」「なめらか」という意識が強く、
「正しい字を書くため」 という認識はないのが現状です。
毛筆っぽく書くためには、筆ペンがある、という感じ。
しかし、筆ペンは高度な技術が必要であり、実用的ではありません。
そこで、ボールペンでどこまで“毛筆っぽさ”を出すことができるかを
考えなければなりません。
ポイントは、「起筆」と「太さの変化」の2点。
以下は、
三菱鉛筆 uni-ball Signo GP 0.7mm を使用して書いたもの。
起筆というのは、ここでは線の書き出しのことを言います。
ボールペンの場合、横画は不要ですが
縦画・左ハライでは明確に、大きくつけるようにしましょう。
そして、太さの変化。
ハネ・ハライに、太さがゼロになる点がなければ、
それはハネ・ハライではありません。
これが、毛筆っぽい線。
ゴシック体ではないのです。
こういった線が書けるようになると、字に流れができ、
メリハリがつきます。
まずはこれができなければ、「正しい日本語」 は書けません。