宇宙係長
志無巻がまだ大阪にいた頃、正社員としてお勤めしていた会社。こちらの会社ネタの
人材宝庫であったのですがその中でもダントツのナンバーワン!数々の奇行を繰り
返す宇宙係長が存在したのでございます。日本語が伝わらないレベルにまで達して
おりましたので極力近寄らないようにはしていたのですが、業務上の必要に駆られ
話しかけなくてはならないこともございます。
「製品Aの納品書、どうしましょうか?」
こう聞いた志無巻。宇宙課長からのお答えは何故か製品Aを納めている得意先の社長
婦人に関する情報でございました。社長婦人の趣味は日本舞踊。そんなこと聞いてません。
これでは会話が進まないばかりでなく、仕事も滞ってしまいます。しかし!ここでキレては
社会人失格。ぐっとこらえて、もう一歩踏み込んで考えてみましょう。「どうしましょうか?」
などという曖昧な聞き方をした志無巻にも非があるのではないか?2択ないし3択で答えを
選ばせればいいのです。イッツ・グレイト!これならばきっと欲しい答えが得られるはずで
ございます。
「製品Aの納品書、今月あげていいですか?来月にします?」
改めてこう切り出した志無巻。これならば答えは今月or来月しかありません。しかし…
志無巻の甘い期待を他所に宇宙課長からのお答えは「製品Aの成分について」の講義で
ございました。志無巻が欲しい答えは今月か来月かただそれだけ。何故に製品Aの成分に
ついて語るのか。
「今そんなこと聞いてません!!今月なの?!それとも来月?!!」
眉間にしわを寄せ詰め寄る志無巻、止めに入る営業マンたち、そして怯える係長。怖い
のはこちらの方でございます。「上司と上手に付き合う方法」も「「職場の心理学」も強敵
宇宙係長の脳内小宇宙には太刀打ちできず。それから志無巻がビジネスハウツー本を
手に取ることはとんとなくなってしまったのでございます。