転職マニアへの道 ~後編~ | ■■ 無職牛乳 ■■

転職マニアへの道 ~後編~

その営業マン、軽薄で女癖が悪く、ギャンブルのやりすぎで借金が7桁の大台に乗って

おりました。ヒトとして、男としては疑問符を投げかけたくなる要素満点なのですが…

仕事はデキるのでございます。しかも物凄くデキる!一緒に仕事をしていても段取りや

手回しがいいのは当然のこと、周囲に迷惑や負担をかけるようなことは絶対にありません。

売り上げもナンバーワンならお客様からの人気もナンバーワン。!


会社倒産とともに彼のもとには引き抜きのオファーが殺到したのは当然のことでしょう。

惰性でダラダラ会社に通ってきていたオッサン達が廃人と化していくのとは天地の差で

ございます。この営業マンと結婚した嫁の気持ちは理解できずとも引き抜をかけてきた

取引先の気持ちは理解できるような気がします。


出来る人材はどこでも欲しいもの。結局、彼はこの強制的転職で年収が倍近くにまで

跳ね上がり地位も向上。彼に関しては会社の倒産は吉と出たのでありました。一方、

志無巻はと申しますと…引き止める無職の彼らを振り切り6年間で培ったスキルだけを

頼りに東京へ。地方には仕事がないのでございます。


会社倒産を機に転職などたいした問題ではないという認識に至った志無巻はその後

何度か転職を繰り返します。しかしどこの会社へいこうとも彼を上回る営業マンは

現れることがありません。出来る営業マンはここまでに希少価値が高いものなのか。

社名よりも、肩書きよりも、優秀な営業マンと一緒にお仕事をしたいと思うのでありました。