番外続き妄想 A | 妄想最終処分場

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ザ・花ゆめ掲載のスキビ番外の続き妄想です。未読の方・ネタ/バレお嫌いな方はバックプリーズ!!

ありきたりですが、意図的被せではないのでご容赦ください。






※番外編の直後からの続き妄想と思っていただけると幸いですー。


番外続き妄想 A




(ふふ…かわいい…)


部室ドアに背中を預け、開いた携帯の画面を見つめてキョーコの頬は自然に緩んでいた。


視線の先には可愛らしい羊枕に頬を寄せて目を閉じた麗しの美貌。

可愛らしい羊と端整な顔立ちのミスマッチが妙にかわいい。


(寝てるときは、俳優の顔でもなくて…なんか素の敦賀さんって感じ?)


夢の中に居る時まで演じることはできやしない。手にした画像は数少ない蓮のプライベート…しかも完全に素の表情だ。

誰かに見せるなんて自分の犯罪的行動を証明するようなことはできやしないが、自分一人だけの奇跡のショットに優越感と独占欲が満たされていくのをキョーコは感じていた。


「宝物にしよう…」


(あの敦賀蓮に『かわいい』ってなんか変な感じだけど、かわいいものはかわいいんだもん)


何度見ても自然と口元が綻ぶ。

携帯を握りしめて、キョーコはまたにへっと笑みを零す。


しかしあまりにも手にしたモノに気を取られていたため、キョーコは自分に迫ってくる気配に気が付くことができなかった。


「最上さん?どうしたのそんなところで」

「ひっ、ひぇいいぃぃ!!??」


不意に呼びかけられ背を預けたはずドアに押される感覚に、キョーコは文字通り飛び上がった。


(な・な・なっ!!!ご、ご本人~~~~!!!)


「ご、ごめん。驚かせちゃったみたいだね?」


キョーコの驚きように声をかけた蓮の方が目を丸くする。


(どどどど、どうしよう!見られた!?気づかれた!!??私が罪を犯したことを!!??)


トップスターの盗撮なんてどう考えたって犯罪だろう。警察に突き出されても文句は言えない。


キョーコの脳裏に

『LEM所属タレント京子、白昼堂々盗撮!人気俳優が毒牙の餌食に!』

『愛の欠落者、歪んだ感情はストーカー行為に発展!?』

と三流週刊誌の見出しが乱れ飛ぶ。


(恋心を取り戻したはいいけれど、これじゃアイツの時よりひどいじゃない~!!!確かに今の私は昔の私とは違うんだわっ)


尚の時は限定ポスターのために自転車でショップのレジに突撃したりもしたが、あくまであれはオフィシャル品。尚の盗み撮りなどいくらでもできたはずなのに、その当時はそんな考えは微塵も持たなかったはずなのに。

そもそもその当時携帯電話を所持しておらずその利便性を認識していなかったし、カメラで写真を取る習慣もキョーコには薄かったため、情況が現在と随分違うはずなのだが本人はそのことに気が付く余裕などない。


キョーコのあまりの驚き様に蓮もどう反応していいのか分からなかったのだろう。しばし二人の間に沈黙が流れる。

キョーコはバクバクと飛び出さんばかりに震える心臓を胸に抱え、目を見開いて蓮の反応に戦々恐々としていたがキョーコの悪事に嫌悪する色も蔑む色も、その表情からはうかがえない。怨キョレーダーがマックスの感度で蓮の様子を探っているが、どうやら怒りのオーラは検知できない。


(も…もしかして、ぎりぎりセーフ…?)


顔色を悪くして固まるキョーコの様子を、蓮は別の意味でとらえたようだ。


「あ、携帯…。壊れてたり傷ついてない?」


ホッとしかけたのもつかの間、蓮が発した言葉にふと己の手元を確認した。


(きゃぁぁぁぁぁあああああああああ!!!!!)


握りしめていたはずの携帯電話は手の中になく、驚いた拍子に放り出してしまったようで床に転がっている。

幸いなのは開いた画面が下を向いており、蓮の目には携帯画面が見えない状態という事。


「だっ!大丈夫ですからっ!!」


(だっ、だめっ!!見られたらもう一巻の終わりよ~~~!!!!)


それを拾い上げようと手を伸ばした蓮より早く、電光石火の俊敏さでキョーコは携帯を奪うように拾い上げた。すぐさまボタンを押して通常待ち受け画面を呼び出して二つ折りの携帯を閉じる。

その間わずか数秒だが、蓮はじっとキョーコの表情を見つめていた。

キョーコはほーっとため息を吐き出したが、目の前に盗撮した本人がいる事実を今更ながらに認識しすぐには顔を上げられなかった。


「本当?傷ついたり壊れたりしてない?」

「だ、大丈夫ですよ?」

「でも、画面が床に接していたし、最上さん結構派手な音立てて落としてたから」

「ほ、本当に大丈夫ですからお気遣いなく!」


キョーコは閉じた携帯を開いて、画面に傷がついてないことを証明するように蓮に差し出した。


「そんな携帯を見せなくてもいいよ。携帯操作してたからメールでもしてたんじゃない?」


キョーコの潔白を示すような行為にいささか驚いたのは蓮の方だ。画面を見ないように目を逸らしている

蓮は、急いで拾い上げたキョーコの携帯はメール作成画面を表示したままだと思い込んでいるらしい。


「大丈夫ですよ?普通の待ちう…け………」


(…………あれ?)


キョーコは言いかけて蓮に向けていた携帯に視線を落とす。

蓮の前ということを忘れ、カチカチと画面を操作する。


(き、きやぁぁぁぁぁぁぁあああああああ!!!!!!

ないっ!!宝物が!!!奇跡の一枚がっ!!!!!)


キョーコは写真を撮った後保存ボタンを押さないまま、蓮の寝顔を愛でていたのだ。慌てて通常画面を呼び出した際に保存を押さず消去してしまったらしい。


「も、最上さん?大丈夫に見えないほど顔色悪いよ?」


叫び声は何とか心の内に留めたものの、みるみる顔色を悪くしたキョーコに慌てたのは蓮の方だった。


「とにかくっ、横になった方がいい」


半ば放心状態のキョーコは蓮に引きずられて部室の中のソファーに座らされていた。


「靴脱いで。足をあげて横になった方が良いだろう?」

「………へ?あ、…あのっ、そんなっ」


携帯を握りしめたままのキョーコは、廊下に放り出した自分のカバンを蓮がテーブルの上に運んでくれているのを目にしてふと我に返った。


「良かったら枕もそれ使って?」

「………え?」


勝手知ったる様子で部室の棚からブランケットを出してきた蓮に何でそんなにこの部室になれてるんですか!とツッコミを入れかけたキョーコの動きが止まった。

蓮が指し示したのは先ほど画面におさめたラブリーな羊まくら。


「最上さんに貰ったそれ、すっごくいいよ。しっかり休めること請け合い」

「あのっ、でもこれっ…」


にっこりと笑顔の蓮にキョーコはちくちくと胸を刺す罪悪感を覚える。


「……あれ、信用してないの?もしかして最上さん、効果があるか分からないモノを俺に?」

「ち、違います!実証済みです!!自分で使ってみてよかったからっ」


キョーコの部屋には色違いの羊まくらが存在する。枕が無いと眠れないと言っていた蓮のために、コンパクトで寝心地の良い枕を探し実験し尽くしたのだ。蛇足だが、キョーコ的最高ランクを獲得したこの安眠枕をこっそりモー子さんと名付けて愛用しているのだ。


「じゃあそれ使ってちょっと休めばいいよ」

「そうじゃなくて!そもそも、私具合なんて悪くないですっ」

「あんなに顔色が悪かったのに、何でもないっていう方が嘘だよ。それともやっぱり携帯壊れてたんじゃ…」


(敦賀さんの画像を保存しそびれて無くなっちゃったからなんて言えやしないじゃない!!)


後ろめたさから、蓮が浮かべている笑顔の種類に気づけないキョーコは黙り込んでしまった。


「ほら、休める時に休む自己管理も仕事の内だよ」


とん、と蓮に肩を押されキョーコは抵抗できないままソファーに倒れ込んだ。頭の着地地点には自らが蓮に捧げた後悔の塊がスタンバイしており、ポスンとキョーコの頭を優しく受け止めた。


(うわっ…っ)


先ほどまで蓮が使用していた羊まくらは仄かに温かく、キョーコの頭を受け止めた衝撃でその身に吸い込んでいた蓮のフレグランスを放出する。


「~~~っ!!!」


(いったい何の羞恥プレイよー!!??)


その温度と香りに今度は顔に熱が込み上げ青かった顔色が反転する感覚を覚え、キョーコはまたしても内心で絶叫する。

とはいえ、目の前には当の本人が居るのでみるみる赤く染まる顔を見せる訳にはいかない。


(自覚した途端敦賀セラピーがセラピーじゃなくなるってどういう事!?こんなんじゃ心臓が壊れちゃう!!)


「横になった方が楽でしょ?」


赤みが差したキョーコの顔色を見て取った蓮が、ぽんぽんとキョーコの頭を撫でる。


(…っ、この天然プレイボーイ…っ!)


更にグンと上がりそうな熱に、キョーコは蓮の視線から逃れようと顔を羊の腹部に押し付けた。それはそれでより深くこの枕の香りを吸い込んでしまい余計落ち着かなくなるのだが。


「最上さん、それじゃ窒息しちゃうよ?」


クスクスと笑う蓮の声が降ってきて、顔を上げなさいと言うようにちょいちょいと前髪を軽く引かれる。


(落ち着いて、落ち着くのよキョーコ!ここで気づかれるわけにいかないんだからっ!)


キョーコは深呼吸をして気持ちを落ち着け、そろりと埋めていた顔を上げた。


その瞬間



カシャ



耳に飛び込んできたのは、先ほど自分の心臓を縮み上がらせたシャッター音だった。


「!?」


パニックに陥ったキョーコの目の前で、蓮はスマートフォン画面を操作しながら満足気に微笑んでいる。


「この羊、貰った時から最上さんに似てるなぁって思っててさ」

「つ、つ、敦賀さんっ!?」


なんてことないようにそうのたまう蓮に、キョーコは思わずガバリと起き上がった。


「うん、可愛く撮れた。やっぱり似てるね」


蓮はスマートフォンを差し出して画面をキョーコに見せた。そこにはちょうど枕から顔を上げかけて口元が枕の陰に隠れ上目遣いに画面を見上げるキョーコと、幸せそうな表情の羊がうまい具合に収まっている。

画面のキョーコの頬には赤みが差しており、この赤みはピンク色の羊の色合いの反射でそう写っているだけだと暗示をかけたくなるような状態だ。


「なっ、なっ、何ですか、いきなりっ!しかも勝手にっ」

「それを君が言うの?」


思わず取り上げようと伸びた手を躱した蓮の言葉に、空を切ったキョーコの手がぴたりと静止した。


「さっきさ、シャッター音がしたんだよね」

「…………」


スマートフォンを胸元のポケットにしまった蓮はにっこりと笑っているが、キョーコは思わず掴み掛ろとしたまま固まっている。しかしその表情は赤みが差していたのが一転、また血の気が引きかけている。


「これで許してあげるって言ってるんだけど?」

「……っ」


(詐欺師っ!不公平だわっ!私の宝物は残ってないのにー!!??)


そうは思っても、今その主張を口にすることもできないキョーコは歯噛みする。

今度は理不尽な怒りでまた頭に熱が昇ってくる。

目まぐるしく変化するキョーコの表情と顔色は雄弁にその感情を映している。


蓮はそんなキョーコを前に、さらに追い打ちをかけた。


「じゃあ…どうしてそんなことをしたのか教えてくれたらこの画像をどうするか考えてあげても良いよ?」

「……っ」


(どうしてとかだなんて、言えるわけないじゃない!!)


フルフルとキョーコが震えて返事に窮していると、コンコンとドアをノックする音が響いた。


「おーい、蓮。悪いけど、ちょっと出てきてくれるか?」


飲み物を買って社が戻ってきたようだが、社は気を遣ってかドア越しに声をかけ中には入ってこない。

キョーコと対峙していた蓮はドアに歩み寄り、そのまま部室入り口で社と言葉を交わしている。漏れ聞こえる会話から、どうやら急に俳優部に出向く用事ができたようだった。

蓮は社との会話の後、キョーコを振り返った。


「最上さん、ちょっと行ってくるけどまた戻って来るから。荷物の番お願いするよ」

「あ…はい。行ってらっしゃいませ」


そう言い残した蓮に思わず普通に返事を返したキョーコ。

蓮がドアの外に消えて行くと、パタリと羊まくらの上に突っ伏した。


(バレてた!バレてた!!もー、逃げたしたいっ!!)


そうはいっても蓮に荷物の番を言いつかってしまい、仕事に真面目なキョーコはこの隙に部室を逃げ出すことなどできずジタバタとソファーの上で足を蹴ってぐりぐりと顔を枕に押し付ける。さらに深く吸い込んだ香りに色々と込み上げてくるものがあり、今度は奇声を上げてまたガバリと顔を上げた。


「うううっ、もうっ…!」


かといって枕を放り出すこともできず、キョーコは愛らしい羊をきゅっと抱きしめた。

恨めし気に自分の贈った羊を見下ろすが、羊は相も変わらず幸せな表情で目を閉じている。


(ほんとにもうっ…!この枕は後悔の塊だわっ)


憎めない表情のそれ。

逃げ出せない状況に、キョーコは蓮が戻ってきた時に狸寝入りをしてしまおうと半ば諦めの境地に達したのであった。


~~~~


纏まらずに終わりますw

スランプは続くよ何処までも・・・・。うん、文章がおかしい。orz