ACT194妄想 | 妄想最終処分場

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警笛がなっている。

無機質な電子音と重なり、大きくしつこいほどに。


煩い、うるさい、ウルサイ


指先でボタンを押す。

電子音が途切れると同時にあれほど耳元でなっていた警笛もプツンと途切れる。


・・・ザワリ。


黒い波が高まる。

次第にうねって大きく、激しく。

でも静かだ、何の音も聞こえない。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


カッ・・・・・ゴツッ!


払い飛ばしたモノが壁にあたる音が響いた。

大きくはない物音なのに、いやに耳に響く。


この部屋にはカインとセツカしかいない。そう、兄妹の二人しかいないはず。

携帯の電子音を耳障りだとセツカから取り上げた。こんな時間に、俺と二人の空間で外部からのアクセスなど必要ない。


取り上げた携帯の画面の非通知の文字。


不快感だけが強く強く。

これは妹を溺愛するカインの感情か?


不快感をあらわなまま彼女を見下ろす。

緊張と怯えを宿した目。両手は胸の前で握りしめられている。


セツカじゃない・・・


艶然と挑発するかのようなセツカの表情ははぎ取られている。


「・・・どうした?何も、答えられないのか・・・?」


ルール違反。

英語ではない呼びかけにさらに見開かれる双眸。

じりじりと追い詰めれば、一歩二歩と後ずさる。


セツカなら俺から逃げたりはしない


思考が鈍る。

カインではないルール違反を犯したのは自分なのに、セツカを演じない彼女に責任をおしつけて。


自分のモノだ。

他人が手を付けていいものではない。

なのになぜ、アイツの隣にいた。

なぜ俺だけのモノにならない。


ベッドにしりもちをついた体をそのままベッドに縫い付ける。

ルール違反ならペナルティを与えてもいいだろう?


震えてる。

押さえつけた肩から小刻みな振動を伝わってくる。


ああ、おびえているのか、俺に。

その瞳には何を映している?

君は俺を見ている?


「君はアイツとどうなりたいんだ」


揺れる瞳を覗き込む。


俺だけを見ればいい

他には何もうつさずに

狭い部屋に押し込めて、

俺だけを感じていればいい


覗き込んだ瞳に映ったのは醜い焔を宿した獣だった。

焔の色はゆがんだ独占欲と嫉妬心。

醜悪で今にもすべてをむさぼりつくそうとする獣。

カイン・ヒールも敦賀蓮も居ない。




そうか、俺は・・・・


・・・・・・『ヒト』ですらないのか。




「それも・・・答えないのか」


黒く渦巻く感情がすべてを飲みこみたがっている。

込み上げてくる渇きと飢え。


ホシイ・ホシイ・ホシイ

飲みこんでもさらに渇きが増すだけなのに


「しない否定は、肯定と同じだ」


揺れる瞳が静止した。

覗き込んだに感情の色が消え、ただ鏡のように醜い自分を映している。


感情が消えた瞳にいら立ちが募る。

これがお前だと見せつけられる。

瞳は醜い己を映すだけ。


なぜ俺を見ない。

存在すら無視するように。


俺を見ろ、見ろ


「今更・・・」


すべてを奪ってしまえば、俺を見るだろうか?

壊してしまえば、誰にも触れられないだろうか?

全てはぎ取って喰らい尽くせばこの飢えは癒されるだろうか?


白い肌を晒した胸元に指をかける。熱い肌にめまいがする。

全て暴いて脈打つ鼓動すら我が物にしたい。

暗く冷たい地の底まで落ちる、縋る熱が欲しい。


一緒に堕ちてくれ、一人は嫌だ


「・・・聞けた話か」


ガラスの瞳に醜い獣が映る。


揺らめいた焔の陰に見えたのは、

ひとりで震える幼子のような自分


・・・ああ、愛してほしいのか


「そんな・・・事」


暴いて、犯して、むさぼって

自分しか見えない世界に連れ込んで、ただ俺を見てほしい

そんなあさましい願望


誰にも見せられない、君には見せられない


でも見せつけて満たしてほしい




―――!!―――


急に揺さぶられる体と視界。

視界が反転し、背中に軋むスプリングの反動。


目の前に踊るのは鮮やかなピンクが交ざる柔らかな毛先


急激に引き寄せられた襟元が緩むと、つぅっと服の上から指先が胸を撫でる。

その感触にゾクリと肌が粟立ち、同時に腹部に心地よい重みがかかる。

茫然と視線を重みのかかった腹部から上に向ける。


そこには妖艶な笑みを浮かべた一人の女がいた。

赤い唇が細く開き、なまめかしい舌先がのぞく。細められた瞳はさらに熱を持って妖しく揺らめいている。


貪り尽くしたいと願ったのに、自分を喰いつくさんと妖しく笑うその表情に背筋に甘い痺れが這い上がる。

捕食者にとらわれ身動きが取れない。

映してほしいと願った瞳に吸い込まれ消えてしまいそうな感覚。



俺の狂気に怯えを見せた瞳はよく知る少女のモノだった。

では感情の光がなくなった後、宿ったこの熱は・・・?


「・・・妬いてるの?兄さん・・・」

「・・・・ッ」



甘い声


セツカ


熱を帯びた声と視線。今迄感じたことが無い欲望を滲ませる、雌の香りをまとって。


衝撃に意識が引き戻される。


この子はいつからこんな一面を持ったのだろうか?

本当に演技なのだろうか?誰が引き出した?


新たな嫉妬心が頭をもたげ、黒く渦巻いていた破壊衝動を塗り替えていく。

捕らわれそうになる理性が逆に働く。


カインでも敦賀蓮でもなく、自分自身だった俺の欲望を

カインの熱として受け取り反応した彼女。

演技も何も区別が付かずに感情に飲まれた俺とは対照的な姿に砕けた理性の鎖が再生を始めていた。


「ふふっ・・・兄さんに全て染められるなんて素敵ね」


クスクスを笑いながら身を乗り出し顔を覗き込んでくる。

先ほど暴こうとした白い胸元が近い。


「心配しなくても私には兄さんだけよ・・・?」


熱い指先が俺の頬に触れる。吐息が触れる距離に熱を帯びた瞳。

すっと首筋に顔をうずめられ、密着した胸元に柔らかな感触を感じる。



「・・・そして、兄さんは私のモノ。手放しはしないわ」


『・・・ワタシノモノ・・・』


耳元でささやかれた甘言。

演技として向けられた言葉なのはわかっている。

そう、君のモノにしてもらえればどんなにか・・・


艶を含んだ声に鼓動が早まる。狂おしいくらいもっと欲しいと本能が叫び始める。


思わず、抱きしめようと両手が動いた時に、首筋に吸い付くような感触が降ってくる。

首筋に寄せられた唇の感触がとても熱い。


「セツ」


理性を手放しそうになるほどの甘い感触。

いま君は何を見ている?

今一度その瞳がどんな感情を映すのか確かめたい。


名前を呼び、顔をあげるよう頭を撫でるが動く気配がない。


「セツ?」

「ダメ、このまま・・・」


代わりに首筋へのキスが何度も降ってくる。


・・・気持ちいい


首筋に顔をうずめたままの体勢から動こうとしないのを、降ってくる唇の心地よさからそのままにする。

黒く渦巻いていた感情が少しずつ溶けていく・・・


心地よさに身を任せていると、ふと首筋に触れる肌がさらに熱を増し、合わさった胸元から自分以上の早鐘を打つ鼓動に気が付く。


・・・ああ、そうか。

冷えてきた頭で、天然記念物級乙女である彼女が男に対してこんな行為を働くのは命がけだったに違いないことに気が付いた。

すでにキスの雨は収まっているが、頬と首筋に感じた熱はそのままだ。

きっと真っ赤になって、顔を見せられず動けなくなっているに違いない。

役が憑いているとはいえ、男として意識されただろう反応に口元がほころぶ。


チラリと目の前にある白いうなじに目をやり、そっと髪をかき分ける。


「・・・っ」


ピクリと反応した体。

それを無視して、唇を寄せ軽く吸い上げる。


「セツ、お前は俺のものだ」

「・・・兄さん!」


思わず体を起こした彼女の顔にカイン・ヒールの顔でクッと嗤う。

大丈夫、俺がカインであれば彼女はセツカになれる。


朱が差した表情は一瞬だった。


残念、もっと見たかったのに…。


「・・・当たり前でしょ」


クスリと微笑んだ彼女はいつものセツカの表情になっていた。





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先月ずっと妄想していたものを文書化してみました。

って言っても、すでに今月ACT195を読んでしまっているので、路線もずれてるしどうしようもないんですけどね。

続きっていうより、本誌の場面を自分なりに解釈して文書化してみた感が強いですね。

195も妄想中ですが、書いてみるかは不明・・・


あー、もっとエロだったろ桃色だったりする方がいいな~・・・。

やっぱり他の作家さんの続き妄想を読みに行って萌えを補充しよう!