明日の茶会の準備と炉開きも睨んで、大掃除。


最後に床のワックスがけで終わる。


新しい生徒さんが来るまで時間があるので、


大急ぎで真台子の奥秘を二つする。


大失敗、


一番間違えやすいと自分でも今までお稽古してきた建水の位置があべこべであった。


参った。


目前に迫った古今伝授、今まではこんなにすぐになってやったことはない。


おごり、


ここまでお稽古してきたのは、ある意味ではこの一点の為と言ってよい。


時間もぎりぎり、焦りもある。


御道具は本番のもの。


新しい生徒さんには見せられないのだ。


お免状の為ではない。


将来この方が伝授を師から受けるときに、


新鮮な感動をもって伝授されてほしいという思い。


また感動なくしては奥秘は分からない。


感動が加わると、一生忘れないのである。


それゆえ伝授するほうもどうしたら、どんな言葉でといろいろ考えに考える。


正直伝授は毎年違う。


順番だけではない。


奥が深く、更に私も学んでいるからである。


大学の教授も今は毎年、レベルを上げるという。


生徒たちのコピー戦に対抗だそうだ。


お茶は競争ではない。


まあ、失敗した自分がすぐに分かったのも有難い。


本番は明後日、もう一度目をつぶってのお稽古で自信を取り戻そう。


生徒さんには一生に一度になるかもしれない。


御道具を片付けたところに新しい生徒さんが来た。


その生徒さんはなかなか忙しく、ひと月に一度も難しい。


医療関係で国立の病院で勤務している。


来てすぐ、私から質問攻め。


古今伝授の茶会に、私は今までにない体で臨む。


3時間、3時間の拘束。


お茶に来たのに、病の相談である。


困った先生であるが、私は真剣そのものである。


相談の上、着物も決めた。


結びやすい帯にする。


なんでも臨機応変。


なんだか、この頃はいつも大切な時に助っ人の生徒さんが入門。


大助かりである。


去年は女性の弁護士さんが、それも後輩で相談に乗ってもらう。


麻酔科の偉い先生もお弟子さんに、


私が体中痛みがあるときであった。


強い痛み止めをいただいて助かる。


懐石で苦労していると一流の板前さんが3人も入り、任してくださいとすべて自分持ちで勉強になるのでとすべてしてくれた。


兎に角ありがたいこと。


一生懸命下向きに努力していけばそれが、私は人生と思う。


兎に角最近、真台子をとる方が多い。


割稽古から10年近い頑張りである。


私たちも初めてのことである。


皆さん立派な先生である。


長く平点前から学んできた、喜びもあり複雑な思いである。


師と弟子。


師弟愛も生ぬるい、この十年はそれ以上のものがあった。


すべてを今は伝えたいとの一念あるのみである。