準備は春から始まっていた。
今年は真台子の奥秘に入る生徒さんが沢山いる。
私は慎重にならざるをえない。
真台子の伝授は一生に一度と言っても過言ではない。
一子相伝の昔、師は特別なお弟子さんに真台子を伝授して、息を引き取るという命がけの伝授もあった。
伝授を受けた弟子は、そこで師の後継ぎになったのである。
一番の古典で、時間も長く、手も多く、とてもお稽古では出来ないのである。
下の春の奥伝のお稽古は、特別に休みの日に人数も少なくしてした。
4回の特別稽古は、皆さんも大変だったが、秋に向かって最初のスタートになった。
引継ぎ伝授の日である。
この日の為に半年は頑張って、皆さんお稽古してきた。
内容は、不立文字といい、文字にも動画にも撮れないのである。
茶道のルーツをたどる旅、4年間の最後の関門であるが、これを越えて、さらに修行を積むとすべてが自在になる自由なお点前を開眼するのである。
そして、宗家として新しい茶の湯を、若い人は新しい時代にあった茶の湯を生み出すことが出来る実力を持てるのである。
茶道は、本来すべてが自在なのであるが、すべての法則を越えた自在が新しい時代に受け入れられるのだと思う。