根津美術館の茶室が点在する広い庭には、たくさんの紅葉の木が植えられている。
12月第一週は、昔は根津翁の主催する毎年暮の年忘れ茶会があった。
毎年同じお道具の取り合わせで無事一年過ごせたことを感謝しての茶会だったという。
だが、その広い茶には工夫があった。
その頃は紅葉が一段と素晴しく紅葉する、池の上の丘から見る紅葉もよい。
なにしろ、もみじの落ち葉を踏み分けて、躙り口を潜るのは感動ものだった!
今でも根津翁が使っていたという12月第一週は誰も使わない。
この茶庭には、利休さんの紅葉の庭の秘伝があるという。
紅葉の落ち葉はそのままで、自然に消えるという。
紅葉の散った姿は長く見せない工夫という。
毎日教室のベランダから見ているキャンバスの紅葉。
色づいてきた。
今は、近くで紅葉を見れる。
表通りでは、クレーン車が二台で欅の枝や葉を切っていた。
昔は、商店街の人が落ち葉のお掃除を朝早くからしていた。
今日のように雨になると枯葉は濡れて、坂道では滑って危ないからである。
坂を見上げると、いつの間にかけやきは坊主である。
私も掃かなくて楽でありがたいのだが、ちょっと淋しい気もするのである。
ノスタルジーであろうか、
毎年見慣れた、落ち葉の舞いは心を満たすものもあった。
枯葉のお掃除も、若いときは充実した働きで嬉しかった。