この記事は先月の終わりに仕上げたかったのだが、何かと忙しくて間に合わなかった。


 安倍首相はデフレ脱却に向けて大きな決意のもと、3本の矢と称される経済政策を立て実行した。


 だが、増税論者の圧力に負けて、時期尚早の消費税増税に踏み切ってしまった。


 デフレ脱却が可能かどうかすら判然としない状況で増税をすることは、増税分をいくら福祉的項目に限定して支出するとしても、国民への負担増は大きな圧力になって生活を追い込むだろうことは明白である。


 今の政治家で安倍以外に誰もあのデフレを克服することはできなかっただろう。しかし、安倍が判断を誤り、増税に舵を切った結果、脱却に失敗してしまえば、今後、誰一人手をつけることさえ叶わないだろう。


 所詮、国会議員は高所得の人々であり、消費税率が5%だろうが10%だろうが痛くも痒くもない面々である。庶民の生活苦という言葉も彼らは想像するしかないのだ。


 赤字国債が増えると、家庭でサラ金から金を借りたあげく、いずれ自己破産する如く、国家も財政が破綻すると思っているらしいが、そうではない。札を刷ればいいだけのことだ。


 むしろ、アメリカは基軸通貨と言いながら、日本の日本銀行に当たる機関FRBが民間機関であることをご存知だろうか。国家の政策として思い通りに財政出動や財政緊縮ができないということである。だから、政府が舵取りを誤ればこちらのほうが危ない。


 一般国民のみならず、識者までもが日本をギリシャと同列に論じること自体がおかしいのである。日本の対外資産や債権額は世界一だし、日本より財政が安定している国があるだろうか。


 これは為にする議論である。安倍を失脚させようとする悪意を持ち、『財政再建』という反対しにくく国民を心配させる旗印を持ち出し、世論を誘導し味方につけるのである。A新聞などがよく使う手口である。


 勿論、おじさんは経済の素人である。だが専門家といわれる人の中にも、おじさんでも判る誤謬を犯している人はたくさんいる。


 正直に言うと、ほんの数年前までは、おじさんも財政破綻を憂慮していた口である。


 だが、三橋貴明氏の著書を数冊読んだあたりから、認識が変わってきた。


 固より、おじさんの言うことなど信用されないのは承知している。だから、機会を捉えては三橋貴明が書いたものを読めと薦めているのである。


 安倍の経済ブレーンが知らない筈はないと思うので、党内の増税勢力に妥協したと推定するのである。


 しかし、安倍さん、その結果、悪の枢軸であるデフレを退治できなかったら、痛恨の虻蜂取らずになりますよと言いたいのである。