認知症や知的障害が原因で判断能力がなく
財産を管理できない方のための制度が『成年後見人制度』

成年後見制度

こんにちは!
司法書士の国本美津子です。


成年後見制度を利用している場合
●ご本人を「成年被後見人」
●財産を管理する人を「成年後見人」 といいます。

昨日のブログで書いた「90歳で書く遺言書」からすると

成年被後見人は遺言書が書けるの??
と疑問になりますよね。


この点もちゃんと条文で規定されています。

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民法973条(成年被後見人の遺言)

成年被後見人が事理を弁識する能力を一時回復した時において遺言をするには、医師二人以上の立会いがなければならない。
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つまり

認知症だとしても症状の程度は様々で常に全く判断能力がない、というわけではなく、場合によっては調子が良くて判断能力が一時的に正常に回復されていることも当然にあります。


そんな時、
医師2名以上の立ち合いがあれば成年被後見人でも遺言書を書くことができる
とちゃんと法律で認められているんです。


そして、遺言に立ち会った医師は、
遺言をする時に精神上の障害により事理を弁識する能力を欠く状態になかった旨を遺言書に付記して、これに署名し、印を押すことになっています。(民法第973条2項)


成年後見制度では
判断能力のない本人の財産を守るために本人の財産処分権に制限が加えられていて
たとえ本人が所有する不動産であっても、本人が自ら不動産を売却する等の財産処分はできません。
成年後見人が本人の代理人として売却行為を行うことになります。


ですが
遺言書は、本人が亡くなった後のことで、今の本人の財産を守るよりもある程度本人の意思を尊重すべきだという趣旨から、本人が上記の要件を満たしているのであれば遺言書を書くことが認められているんです。


そう考えると、たった数行の条文ですが、
民法は『本人の意思』を大切にしているんだなぁ、と思うのですが、皆さんはいかが思いますか?

数行の条文にも意味がある!
そんなことを感じた民法973条でした。