映像温泉芸社上映会その16「私は芸社をゆるさない」(2009)2/28 | 喜び怒り哀しみ楽しむ序破急。

映像温泉芸社上映会その16「私は芸社をゆるさない」(2009)2/28

映像温泉芸社上映会その16「私は芸社をゆるさない」に行って来た。

喜び怒り哀しみ楽しむ序破急。

自主映画初心者のボクが芸社さんの本祭と呼ばれるメイン上映会に行ったのはこれで2回目だ。

映像温泉芸社の弾劾裁判という体で始まる今年の本祭は、割と時事問題もおちょくってたりしてるんだが、もう最初から激笑上映会である事は例年と変らない。


喜び怒り哀しみ楽しむ序破急。
開場10分前に行ったら列が出来てる。貰った整理券は62番。

はい、温泉芸社様の上映会はアレだ。いわゆる別格ってやつだ。
とにかく最初から最後まで、観賞者を楽しませようという心意気と技術と精神が溢れている。

畏れ入りました。

上映される作品群だってバカ映画と銘打ちながらも、どれもこれも大変な傑作ばかりだ。

さとうさんの「さよならリュミエール」には参りました。
そう、映画の歴史なんてまだ108年しかたってないんだ。
そのたった1世紀の間の映画の進化は尋常じゃない。
さとうさんの語る、創る側の論理は良く解るが、観る側で言えばそんな映画の歴史を知らずして映画を語るなんておこがましい話だよな…。
つかリュミエールの映像であれほど笑わせられるのは、現代映画しか知らない者達へのアイロニーさえ感じたのはボクだけか?

「録ゲバ」(ゼニじゃないぞ、ロクだぞ)で濱田轟天氏を目撃した…。
はなぴくセンセや佳世さんにハメられたぞ。
打ち上げで久々に元気な濱田氏に会えて良かった(泣)
この作品も大笑いさせてもらいつつも、現状の著作権料徴収の方法論に対する理不尽さを断罪していてナイスだ。

以上の2本は、しっかりと笑わせてくれながらも、きっちりと社会の疑問を刺し貫いてるじゃないの!
ま、2chとかSNSの該当コミュなんかで散々議論された話だけど、それを簡潔明瞭に映像の中で主張している。
ぜんぜんバカじゃねーぞ!

そういや、「Presents」で主演する星野佳世ねえさんが、一切、顔を出さないぞ!!
おいおい、そこまでやるのか!?と思いつつも笑えた(泣)
ま、なんつーか、足で解ったけど、これぞ芸社作品だ(笑)

あぁ、「海女ゾネス」は、昨年の映像をよりリファインしているんだけど、ちょっと作り込み過ぎ感を感じた。
実験作なんだろうけど、昨年くらいの方が解りやすくて好感が持てるなぁ。

冷蔵庫マンと弥生人には泣かされました。笑いすぎて。
芸人酒徳ごうわく氏の面白さはフツーじゃない。
「まぼろしの邪馬台国2」のバカさ加減といい、舞台のナマモノといい、芸社カラーを背負ってるなぁ。
ダテにクビレンジャーを作ったわけじゃないんだなぁ。
大した芸人さんだ。(ってあれ?え?カレって芸人じゃないの??)

「HELL'S THRTEEN 地獄の13人」は、ボソボソ喋る、ワケの解らない言語が変にツボに嵌まった(笑)
洋画の字幕主義に対する吹替え派の揶揄だったりして(笑)

「女神ナース ビーナース」は相変わらずで。
もう伊勢田作品は芸社本祭に欠かせませんなぁ(笑)
しかし、伊勢田作品を劇場の大スクリーンで観られるのって凄く贅沢でステキだ!
画面がデカイと笑いも倍増するよな~。

「マリオの風」「シャイニング通り」の山本拓氏と高岡晃太郎氏の持つ作品のベクトルからは、数多の自主映像作家が影響を受けているんじゃなかろうか?
或いは、逆に影響を受けているのか?
ある意味、自主作品で日の当る場所に出ようと思えば、一番正しいベクトルな様な気がする。
とても面白いし、上手いよなぁー。

さて、本日、一番楽しみにしていた中村犬蔵監督「地獄星」。
芸社上映会の一番の目玉作品なんだろう事は、ボクの期待感からして明白だ(笑)
楽しみにしていたっすよ!クドリャフカ!!

昨年の「ネコマン」に出て来て、一気にファンを持ってしまった宇宙犬だ。
ま、犬に見えないけど、犬だ。
「ネコマン」ではジャミラな役どころなんだが、いいヤツなんだよ、クドリャフカ。
つか、昨年、「ネコマン」を観た時はあまりの面白さとクオリティに鳥肌が立ったよ。

そんなデンキネコの「ネコマン」からスピンオフして、ナイスな宇宙犬クドリャフカを主人公に据えた中村犬蔵監督「地獄星」。
姿勢を正して観させて頂きました。

参りました。死ぬほど参りました。

こりゃ、もう自主映画のレベルじゃねぇ。
そりゃ、犬蔵監督のプライベートフィルムなワケで確かに自主映画だけど、結果としての作品は自主映画じゃねぇ。
ま、色々と難しいワケがあって自主映画なんだけど、でも自主映画なんかじゃねぇ。
ワケアリじゃなきゃ、全国300館公開したって客呼ぶぞ!!
ジブリやCXなんかにゃ負けてねーーー。

この手の個人制作自主映像作品と言えば、深海誠氏の名前がアタマに浮かぶけど、深海氏の作品は脳内妄想を垂れ流した、まさに自主映画的内容な作品ばかりだ。
でも中村犬蔵さんの作品は、まず第一に観賞者を如何に楽しませるか?を大命題にしている。
それで、作ってるご本人も楽しんでるに違いない。
(苦しんでるならゴメンなさい)

何にせよ、この作品はプロの作品だ。
ある意味、その辺の商業作品なんかよりよっぽど面白い。
当たり前と言えば当たり前かもだが(笑)

さて、この作品「地獄星」はゾンビ映画です。
・・・・・ん?そうか?トランスフォーマーじゃねーか??

しかし、トラック(2tor4t)はISUZUに限ります。ISUZUのエルフは良い。
あの、ガチッとした重機感が良い。
ISUZUの偉いヒト達に「地獄星」見せたら大喜びするんじゃね?(笑)

いやいや、「ネコマン」から「地獄星」への流れは「マジンガーZ」から「グレートマジンガー」へ変る時と似たような、少年の頃の感傷を思い浮かべた。
『「マジンガーZ」の最終回、マジンガーがボロボロのピンチに、颯爽と現れ機械獣をあっさりと一掃するあまりに強すぎるグレードマジンガー。
翌週から始まった後番組「グレードマジンガー」になったら、フツーに強いグレードマジンガー。』
マジンガーZをネコマン、グレードマジンガーをクドリャフカに置き換えてみるとピタリです(笑)

いや、それとも人類を滅ぼしたゾンビはデンキネコなのかも知れない。
つか、ゾンビの造形って確信犯的にデンキネコのブラッシュアップだし(笑)

とまぁ、色んなもんが贅沢に詰め込まれてて、妄想が走る走る!

でも、今作は犬蔵先生オリジナルが強く前に出てないか?
色んなパロディが華やかにちりばめられてるが、あれなら十分にパロディの域だ。
あぁ~この作品、DVDで発売してくれないかなぁ…。
デンキネコの旧作を知らない自主映画初心者なボクは、完全にクドリャフカにヤラレタ。
ハイ、ボクはクドリャフカ派です。
ウルトラでは第一期派だが、犬蔵作品では迷わずクドちゃん派です。

う~~~ん。この作品はまたどこかで上映されるだろう。
そう思うと、ネタバレはしたくない。
ってワケで、ワケワカな事を書いてるなぁ~。

しかし、犬蔵氏ってば、とんでもねぇストーリテラーでエンターティナーだと思う。
あの落ち着いたジェントルな風貌から、なんであんな繊細でセンスが良くてキッチュでバカ面白い作品が生まれるんだ?

何にせよ、ボクにとっては一年のイベントの中で何よりも芸社本祭を楽しみにしちまう気がするのだ。
クリスマスや正月よりもだ。

映像温泉芸社の皆様、是非とも「デンキネコ」シリーズの旧作上映会をお願いしたい!
ボクのような新参のファンも大分増えてるんじゃないの~~??
しかし、本祭その17を観るまで死ねないぞー!!
つか、秋も16の再上映会やるんだろうなー!行くぞーーー!!