進化の連鎖性から言うと、「内尻尾化」ほど、影響の大きい進化はありません。動物は、背骨と産道は併行しています。内尻尾化したため、人類は、二足歩行に移行しても、産道が斜めになっているため、胎児の重量で産道が塞がり、長期妊娠が可能になったのです。チンパンジーよりも、1か月強、妊娠期間が長くなり、妊娠期間に比例して内脳層の脳容量が増大したのです。頭脳発達を促した反面、難産になりました。



 産道が、背骨と併行になって、二足歩行、或いは、上体を立てる座り方をすると、早産になります。典型的な例が、胎盤類では、パンダです。歩行は、四速歩行ですが、竹のササを食べるために、上体を立てた垂直すわりをします。胎児を支えるものがありませんから、未熟児に近い状態で、生まれるのです。有袋類は早産ですが、上体を立てる行動をするのが、カンガルーです。ピョンピョンして、跳ね回る行動で、胎児が未熟児のまま飛び出してきて、お腹の袋で育てるという仕組みです。早産動物の特徴は、「同調能力が低い」ことです。内脳層の発達は、妊娠期間に比例します。内脳層は、波動で機能している脳で、母性本能という同調機能を発揮するところです。パンダは、双子の子供が生まれると、同調機能が発達していないため、双子を認識できず、片方だけしか育てることができません。カンガルーの場合、袋の中に入っている赤ちゃんは、乳が張るのを解消してくれる寄生動物のような認識しかありません。子供を入れ替えたって、認識できないのです。



 人類の難産・長期妊娠というのは、「内尻尾化」と「二足歩行」が齎したもので、波動で機能している内脳層の脳容量を増大させ、同調機能を発達させています。草食動物は、生まれてすぐ歩き出す能力を持っているのに、人間の赤ん坊は、オッパイを吸うこと、寝ること、排泄をすること、泣くことしかできない「無能力動物」に見えますが、実は、大変な優れた能力を持っています。それは、腹が減ったら泣き、オムツが濡れたら泣き、睡眠を邪魔されたら泣いて、自分の置かれた環境に同調できない時は、泣いて、「私の置かれている状態を改選しろ」と王様並みの自己主張する能力を持っていることです。周辺にいる肉食動物に位置を教えるような危険な行動ですが、王様は、そんなことなどお構いなしに自己主張をします。母親を家来並み扱う能力です。仕方なく、母親がお乳を飲まし、あやすと、満足してスヤスヤと寝る姿を見ると、母性本能を喪失した人類ですが、「私を頼りにしている。この子を守ってやれるのは自分しかいない」という「同調による母性」が、母親に生まれ、結局、王様の家来にさせられてしまうのです。全ては、「内尻尾化」を源とする、進化の連鎖です。人類の進化は、連鎖性のある大規模進化ですから、「単品学説」では、用をなさないのです。




 内尻尾化は、目立ちませんが、二足歩行・言語駆使と並んで、人類の3大進化と言えるもので、人類の進化に重大な影響を与えています。

人類は、シーシャトル行動前期の早い段階で内尻尾化を成し遂げ、その後の進化を規制していきました。「内尻尾化が無ければ、人類は全く、別の進化になっていただろう」と考えてしまいます。

チンパンジーのように尻を突き出して歩き、垂直二足歩行ではなく、妊娠期間も短く、内脳層の発達も不十分で、頭脳発達も限られていたかもしれません。

更に、強姦なども発生しない代わりに、性と生殖の分離なども起きなかったと思われます。


 内尻尾化というのは、陸上では、淡水との水陸往復行動で、カピバラだけに見られる現象で、海生動物では、イルカは尻尾を更に機能拡大し、後ろ足を身体に取り込み、アザラシ・アシカは、内尻尾化させています。先端部退化として、カバなどは、尻尾が細くなっているだけです。海生動物のラッコ、陸上動物のビーバーなどは、後ろ足と尻尾が機能しています。尻尾を推進力にするか、足を推進力にするかは、淡水・海水を問わず水陸往復行動による進化の選択肢で、人類は、足の推進力を採ったのです。背景には、チンパンジーの尻尾が退化していたこともあります。そして、座るとき、尻尾を敷いて、直腸温度の低下を防いだ行動があったと思われます。