真っ白な封筒…

差出人、わからない、けど…


私はすぐに封を切って読み始めた。
そこには、こんな言葉が。





しばらく、海外での取材とか、レコーディングとか重なるから
どうしようか迷ったんだけど、

あの日の最後の君の表情、

あれからなんとなく、
コンタクトはとらない方がいいのかなって、
思ったから、手紙にしました。

あの日は本当にありがとう。
ケガはもう、完全に治っている頃かな?

突然の出逢いだったのに。

もう1度どこかで、
すれ違ったりしないかな、なんて。
君のことを探してる自分に気がついて。

この手紙、君が読むのはいつだろう。


もう1度、
君に会いたい。

会って確かめたいことがある。


この手紙を受け取ったら、
合図してください。

待ってます。










「嘘でしょ・・・?」


手紙の日付から、1週間以上経ってる・・・

涙が溢れた。






会いたい

会いたい
会いたいよ
私だって・・・

いま、どこにいる?


カフェオレがたっぷり入ったままのグラスを残して、
私は店を飛び出した。


「あっ、琉華さん?」

「ごめんお会計!おつりいらない!また来るからキラキラ



夢中で走って、近くにある、夜の公園へ。

携帯、鳴らしてみた。
繋がれ・・・早く。


「あっ、だめだ・・・」

ドライブモードに切り替わってしまった。

どうしよう。
声が震えて、メッセージなんて残せない。


いったん電話を切った。




と思ったらすぐに着信音が鳴り始めた。
電話に出ると。



あの、優しい声が。



「ごめん!すぐ出られなくて・・・いまどこにいる?」



声が、でないよ。
苦しいよ・・・

「聞こえてるだろ?いまどこ?」

「翔くん・・・翔くん、会いたい・・・会いたいよぉ・・・」


「・・・多分、近くにいる。すぐ行く。あの店かな?」

「・・・その近くの、公園。」

「わかった」


電話が切れて、本当にすぐ。



見覚えのある車が、公園の駐車場へ。


車から降りた人影。
見えたとたん、私は走り出した。

そして、もう何も考えずに、
腕の中へ。


胸が、疼いて、痛くて。

声をあげて泣いた。





「こんな気持ちは、絶対ダメだって思って・・・忘れようとしたの・・・でも、できなかった・・・会いたかったずっと」

「うん。」

「どうしたらいいか、わからなくて・・・ただ、」

「・・・同じだよ。」

「えっ、」

「俺も戸惑った。でも・・・いま会ってわかった。」

「・・・?」

「好きだよ。」



頭が真っ白になりそうだった。
力いっぱい、抱きしめられて。
私は目を閉じた。


「あれからどうしてるのか、自分でもおかしいくらい、気になって。また会えたら言うつもりだった。君が好きだって。」

「私も・・・じゃあ、このまま好きになって、いいの?」

彼は頷いた。

「もっと、いまより?・・・ずっと?」

「うん。俺の、そばにいてくれる?」





夢、じゃないの?これ。

でも、いっそ夢でもいいやって、思っちゃう。
信じられない。


指で、涙を拭いてくれた。
でもまた新しい涙が。

止まらないよ。

私は背伸びして、彼の言葉に応えた。




そう、夢なら
こんなことだって、できる・・・

言葉で足りるはずがないもん。


ずっとこうして
あなたに触れたかった…







私はあなたなしじゃ、いられなかったんだ。

もっと早く、会いたいって、
伝えればよかった。




いま、
ふたりの時間がゆっくりと、動き出した。




To be continued