Step.7 「プロレスと格闘技は同じものである」 | 「闘想家」“Show”大谷泰顕の『世の中バカなのよ』(回文)

Step.7 「プロレスと格闘技は同じものである」

ここを訪れし皆様、お疲れ様です。

前回は、『INOKI BOM-BA-YE 2012』(猪木祭り)において行なわれる、
MMAルールの3試合について書きました。

果たして、問題はここからです。
なぜ『猪木祭り』においてはMMAルールの試合が、
通常のIGFルールの試合とは別に行なわれるのか——。

これまでのIGFでは「キックボクシングルール」
「異種格闘技戦」といった試合形式の試合は何試合か行なわれてきました。

ところが、今回はそういった形式ではなく、
「MMAルール」と銘打っての試合が半分近くあるのです。

$「闘想家」“Show”大谷泰顕の不定期blog『世の中バカなのよ』(回文)-川口MMA会見
(写真は、昨日行なわれた川口雄介の会見。
『猪木祭り』では対ホーレス・グレイシーを相手に、MMA戦を行なう)

これは、ここまで何度か書いてきた通り、一年前に開催された
『元気ですか!! 大晦日!! 2011』(2011年12月31日、さいたまスーパーアリーナ)
でも試された運営方法であります。

ただし、一年前の同大会は、そのほとんどが軽量級の試合であり、
唯一行なわれた重量級対決のエメリヤーエンコ・ヒョードル×石井慧戦は
石井の秒殺負けで終わってしまったのでありました。

もちろん、あくまでこの時点での“実験”=新たなる試みに挑んだことは
大成功以外の何物でもないのだけれど、
今回の『猪木祭り』では、それをさらにバージョンアップした、
おおいなる“実験”が展開されるのであります。

そのおおいなる“実験”とはなにか? 
それこそが、「プロレス」と「格闘技」は同じか否か? 
になるでありましょう。

なぜかと言えばこれまでの間、
声高にアントニオ猪木は口にしてきたのであります。
「プロレスと格闘技は同じものである」と。

これが信念であり、いまや理念にもなっている以上、
やはり『猪木祭り』のテーマもそれしか有り得ないのであります!!

ただし、総論で言うなら(いや、この場合は各論になるのか)
もう答えなんて出ているのです。
額面通りに受け取るならば、猪木さんの言っていることには矛盾があると。

だって、「MMAルール」と打ち出した時点で、
もう「IGFルールとは違うよ」と言っているのだから。

ただしその言葉は、猪木さんがかつてその双方を行き来しながら、
こう思ったということだと思うのです。
「“闘い”に挑む意識はまったく変わらない。
むしろ同じ以外の何者でもなかったよ」と。

ともあれ、21世紀のいま、
少なくとも自分はこの目で、踏みつけやヒジ打ちもあるものも含め
MMA(格闘技)の試合を、それこそ腐るほど観てきました。

それは、自分が観て来た「プロレス」とはひと味違う
凄惨さや残酷さが全身を駆け巡ったことが幾度となくあった一方、
本当に時間を割くことすら憚られるものだって
幾度となく目にしてきたのです。

つまりは、少なくとも双方が「同じである」と言い切るには、
もはや無理がある時代になっているのです!
ただし、当然ながら、我らが猪木はそんなことは百も承知。

それでもなお、「プロレスと格闘技は同じものである」と言い切る。
ズバリ言えば、そこにこそ昨今のプロレスラーから感じられにくくなった、
極上の“凄み”を観出すことができるとわかっているからであります!!

それだけ奥が深いんだよ、ズバリ言って!

であるならば、とくにMMAルールに挑む4人の日本人ファイターには、
是が非でも勝ち上がってこう言ってほしい。
「プロレスと格闘技は同じものでした」と。

いや、厳密に言えば、石井慧はIGFルールを経験したことがないから、
この場合は鈴川真一、ミノワマン、川口雄介の3名に絞られます。

つまり今回の『猪木祭り』は、このMMAに挑む、
IGFルールを経験したファイターこそが、
主役なのだとの側面が厳然と存在していること。

できればこれを鈴川とミノワと川口には自覚して闘ってほしいけれど、
おそらくそんな余裕はまったくないでしょうから、
そこは彼らの持つプロレスラーとしての嗅覚や本能、
原語センスを信じたいと思うのが本音。

なおかつ、今回の『猪木祭り』のおおいなる“実験”の意味がそこにあるのだとしたら、
実はその裏にこそ、本当の意味が込められた一戦が存在するのであります。

それこそが、なにを隠そう、
おそらく今回の『猪木祭り』のメインに控える一戦。
そう、藤田和之×小川直也戦になるのであります——。

2012年12月26日                      “Show”大谷泰顕


Step.8 前門のMMA、後門の新日本プロレスに続く】


追記

それにしても、ミルコやグレイシーといったMMAファイターが
MMAのみが行なわれるリングではなく、
IGFルールも存在する「カオス」そのもののIGFというリングに
平然と上がることを認めてしまっているのですから、
実はそれだけでもすでに、
時代は大きく進んでしまったのであります!
(本当はこれこそがいまの答えなんだよね)


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