3.14

3.14

オリジナル小説"3.14"を書いています。

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最後の授業が終わると、同時に終わりのチャイムが鳴った。


生徒は開放されたかのように早足で教室を出る。






「んんっ…、やっと授業終わったー!!」


私はズレ下がった眼鏡のブリッヂを上げ、教科書を鞄に詰め込んでいく。




「お前さぁ、教科書くらい学校に置いていけば?鞄重くて帰るの苦労してんの自分じゃん。」

「良いの。私は龍太と違って家でたっぷり予習してんの!こう見えても、私成績は龍太には

 負けてないから!!」

「はいはいわかりましたよ優等生さん!」








生徒たちは部室へ向かう中、私達は下駄箱へと向かい家へと帰った。








*







「ねえ、茶斗 幸田って一年にいたっけ?」

「さぁな。まだ入学したばかりだから他のクラスまでは知らねぇ。」


「あの人、"ハンターBrown"って言ってたけど…。」


「なんだそれ。留亜は知ってるのか?」

「うん。まぁ…。SEIRENの中でも一番とも言われる狙撃手。なんか、一度も外したことないらしいよ。

 それに、大会でも結構ランキング上らしい。」

「へぇー…。それって結構凄腕なのか。」

「まあね。あの"ハンターBrown"は、狙撃タイプのアバター使ってるけど、狙撃って一番難易度が

 高いのよね。」



私達は、今日の休み時間にあった出来事について話していた。

あの"ハンターBrown"と手合わせできると思うだけで、心がわくわくしていた。









「あれっ…?留亜達ここの道なんだ。」







ふと振り返ると、後ろに桃色の髪をした見慣れた顔の少女が走ってきた。


「うん。そうだよー。」

「崎谷もここの道を通っているのか?」

「ううん。今日はちょっと用事があって…。」

「へー、そっか。」


「ねぇ、留亜。部員の件についてなんだけど…。」

「ああ、それなら大丈夫!」

「…え?」



琴根はポカンとした顔をし、私を見つめていた。




「茶斗 幸田。知らない?こーんなちっこい奴。A組なんだけど。」


私は、腕を使って茶斗 幸田の身長や性格や外見について琴根に説明した。



しかし、琴根は首を傾げたり横に振ったりと、どうやら茶斗 幸田については知らないようだった。





「ごめんね。私も他のクラスについてはまだわからないの。でも、新しい部員が増えて良かったね!」


琴根は、小さなガッツポーズをして喜んでいた。私以上に。



「あ、じゃあ私こっちの道だから。じゃあね。」


琴根は小さく手を振り、小走りで人混みの中へと消えていった。




「崎谷に言わなくて良いのかよ?駆け引きの話。もしお前が負けたら…。」









「大丈夫!私強いもの!!」