他者の目

テーマ:

書作人が兄と慕う先輩のお父様が傘寿の個展へ向けて作品制作をされています。

その様子を綴られている中の言葉が気になったので紹介いたします。



 ―ごく一部の方ではあるが、作る側にいる人の目ではなく、純粋に良いものを「美しい」「素晴らしい……」と素直に見てくれる人の目の方が怖い。

 展覧会場で、作品の前で小声で語り乍らみて下さる人が(私がその作者とは気づかずに)「これ、若々しいよネ……」「この線、強いね……」などと云って下さる声を耳にすると、しばらく眠れないほと嬉しいものである。―


この文の前には、作る側の人間は苦労を知っているために「愛情ある表現で、一部の良い所のみを評価してくれる」とあります。



作品制作において、書道をしている方、携わっている方の評価だけを気にし過ぎてはいけないと考えますが、かと言って関係ない方だけの評価を求めることもできません。

専門家を納得させた上で芸術として万人に認められるような作品…そんな作品は現実的に生まれる可能性は低い…しかし追い求めなくてはならないと思います。

真摯な態度で傘寿展に向けて制作を続ける先生の姿勢に身が引き締まる思いでしたので勝手に文を拝借しました。


また、会場で自分の作品について見知らぬ方が述べている感想に耳を立てる、そんな経験は皆さんあるかと思います。

聞いてしまうのは怖いようで、でも気になって仕方がない!

聞こえてきた言葉は知り合いに言われるよりも心に響くこともありますね。

傘寿展に向けて「若々しさ」と「強さ」を意識されていることにも感服いたしました。


展覧会の成功を心からお祈り申し上げます。



―展覧会のごあんない―


浦和

第41回 埼玉書道三十人展

2/23~28

埼玉県立近代美術館 048-824-0111


 

大阪

第81回浪速書道展

2/16~21

大阪市立美術館 06-6771-4874


AD

父と子のうた

テーマ:

お久しぶりです。

今日は展覧会のご案内です。


ミュージアム・コレクション・スペシャル

鷗亭・卓義 父と子のうた


於北海道立函館美術館・特別展示室

5月31日(日)~7月9日(木)

 月曜休館(祝日・振替休日の場合は開催し翌平日休館)

 午前9:30~午後5:00(展示室への入場は午後4:30まで) 


書作の創刊者である金子鷗亭先生と書作の発行人であった金子卓義先生父子の作品展が北海道立函館美術館にて開かれることとなりました。

現代では当たり前のように広く認識されたジャンルである近代詩文書、その父と呼ばれる鷗亭先生と、さらに発展、広めさせることに尽力した卓義先生の2人の作品だけによる父子展は初めてのことで、合計約30点の作品の展示となります。


芸術的分野において、書道に限らず一般的に作品が師匠に似ることが多いと思いますが、鷗亭先生に師事していた先生方はそれぞれの書風を確立していきました。

同じ近代詩文書による表現でも多様な表現を試行錯誤し、その中で独自のスタイルを追い求めていた先人達の努力の賜物だと思います。

卓義先生も父である鷗亭先生が師でしたが、発表した作品の傾向、古代文字への憧憬などは師のそれとは異なるものでした。


「師を否定せよ」

という言葉は我々の頭に常にあります。

自らの作品を制作する時以外にも、他の方が書いた作品を観る際にも常にその言葉があります。

しかし、この言葉を体現できたことが果たしてあるでしょうか。

書作人はまだその実感を得たことはありません。

本当の意味で師を否定することは本当に難しいことです。


今回の展覧会は「父と子のうた」と題することからも父子の展覧会、と思い鑑賞される方が多いと思います。

しかし、同時に師とその愛弟子の一人の展覧会でもあるのです。

そして、師であり親であり、またライバルでもあった鷗亭先生をどう凌ぐか、その卓義先生の葛藤が感じられるかもしれません。

皆様の眼にはどう映るでしょうか…。


卓義先生が生前に「鷗亭先生に比べておれは…」と、秘かに話してくれたことを思い出しながら書作人はオープニングに馳せ参じます。


北海道立函館美術館の皆様と関係者の方々には、素晴らしい企画展を開催していただき、心より感謝申し上げます。

多くのご来場者の方々に楽しんでいただけることを願います。

AD

グループ展

テーマ:

現在、書作人が参加している書道家5名と映像作家2名によるグループ展が開催されています。

12月9日に初日を迎え、20日までの会期ですが、本日は休館日ということで、現在前半戦終了。


今回の展覧会は「都美セレクション グループ展」という東京都美術館が主催の展覧会です。

東京都美術館のHPによると、「従来の発想にとらわれない新しい表現を追求する現代作家たちの創作活動の支援を目的とし、グループによる展覧会企画の公募、展示を行うものです。」とあります。

どういった展覧会をしたいか、ということをプレゼンし、審査を通ると会場費無しで展示を行えます。

我々のグループも幸運にもその権利を得て準備してまいりました。


会場費がかからずに、なおかつ歴史ある東京都美術館での展覧会開催となり、決まった当初はテンションが上がりました。

が、すぐに今まで感じたことのない不安を抱き、さらに主催者側との打ち合わせを重ねるごとに自信を喪失し、絶望感に覆われるようになりました。

実際書作人は何度も辞退したいと思ったし、展覧会について考える度に具合が悪くなるようになっていました…。


と、ここまでは辛かった話を書いてしまいましたが、結論を先に言うと、

書作人以上に厳しく辛い打ち合わせを重ねたグループの代表の芯の強さと、他のメンバーと打ち解けていく中で感じた、全員の明るさをエネルギーに変えて、展覧会開催まで辿り着いて良かったということです!


「実験 言葉を展開させてみる」という展覧会タイトルからもわかるかもしれませんが、普通の書道展とは大きく異なります。

それぞれの作家が言葉というものをどのように感じ、表現したいか。それは紙と墨を使うことにもこだわらず、展示方法も平面だけでなく立体のものや重なったもの、90度に折れた壁面を利用したもの等々…それぞれが異なる手法で展開しました。

陳列作業終了後に感じたのは、これだけ色々な方法で書かれ、展示されていても書道の展覧会であることからずれ過ぎなかったのは嬉しいことだなと。


また、2人の映像作家にも本当に心から感謝しています。

作家同士の打ち合わせの中で、普段書道にしか関わっていない人間には考え付かない発想を聞くことができ、実際の映像でもグループでやる意義、チームワークなども表現してもらいました。自分の想像を超えた映像作品に自らが出演している不思議さと感じたことのない幸福感を感じています。

映像はYou Tubeで予告編

http://youtu.be/90wS6mRuBUo

をご覧ください。

会場で流している本編映像は10分くらいのものになります。


また、ご来場いただいた方からの感想を少しご紹介。

まず、書道関係者、先生方からは「刺激をもらった」「驚いた」といった言葉をもらい、「2回目はいつ?」と思いもよらないような嬉しい言葉をいただきました。

書道をしていない方々は作品の素材(言葉、詩だけでなく、普段で言う紙の代わり、筆の代わりも含む)への質問が多く、他にも多様な着眼点にこちらが勉強させていただきました。

書道をしているしていないに関わらず一番多く聞けたのは「面白かった」「楽しかった」というお言葉でした。我々が最初に目標にしていたことなのでその言葉を聞く度に嬉しさがこみ上げてきます。


長々と何を…

そうなんです、展覧会を見に来てほしいのです!

今回の作品の性質上、作品集は作れません。また、写真では伝えきることができません。

皆様師走のお忙しい時期とは思いますが上野東京都美術館地下三階ギャラリーBまで是非お越しください!きっと面白く楽しい展覧会です!!



以上、書作人のわがままブログでした。

次回なるべく早く更新します!




AD