包丁も日本刀も鉄ですから、錆びます。
錆びたら研がなければなりません。
(別に研がなくても… と思う人もいるかもしれませんが、研ぐことにしないと話が進まないので、研ぎます。)
包丁くらいだったら、素人でもトマトを切るくらいの切れ味を復活させることは出来ますが、
観賞用の日本刀ともなると、そうはいきません。
研ぐということは、削ること、
一度削ったら、元には戻りません。
せっかく刀匠が丹精込めて作った刀を、
ゴメン! 研ぎ過ぎちゃった、
で済ましてくれるほど、甘くはないでしょうし、
古来から伝わる名刀を、
ちょっと研ぎすぎたかなぁ、
では文化の破壊者になってしまいます。
どこまで研ぐか、どこで研ぐのを止めるか、
そこを見極める目、研ぎ師に必要なのは、技術ではなく、「見る目」だと、
NHKBS「日本刀に恋して 知られざる研ぎ師の世界」という番組の中で、
現代の研ぎ師の第一人者は弟子に教えています。
しかし、見る目を養うのは、簡単ではありません。
そこに職人の差が出ます。
いいものを見極める目、本物を見る目を養うには、
いいものだけをいっぱい見ることだ、
いいものを見ていると、悪いものを見たときにすぐにわかる。
そう言ったのは、小林秀雄だったか、歌舞伎の名優だったか忘れましたが、
最近、白洲次郎について書かれた本を読んで、白洲正子にも興味を持ち始めたんですが、
白洲正子が美術や骨董を見る目を教わった青山二郎や小林秀雄なんかと、
火花を散らすような場面がたくさんあったらしいんで、
それらの出来事を書いた本を探しだして読んでやろうと、ワクワクしているところです。
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