こんな記事を発見した。

「漂流:水温6度…21時間 北海道・納沙布岬沖でロシア人救助--潜水漁、船見失い」 ・・・壮絶である。記事によるとウニの潜水漁中に船を見失い、21時間の漂流後、救助されたという事だが、このロシア人の生命力には驚嘆させられる。水温6度のなかドライスーツ(スーツの中に水が入らない潜水服)を着ていたとはいえ、よく低体温症にならずに生還したと思う。まさに驚異の生還劇である。かくゆう、この俺も今まで2度ほどプチ漂流をしたことがある。一回目は25年ほど前、千葉の片貝というところでサーフィン中に離岸流で沖に流され2時間後、自力で隣町の作田の漁港に漂着した。この時は真夏で、2時間ずっとパドル(板の上で手で水を掻く事)をしていたので、物凄く喉が渇き、上陸後、近くで釣りをしていたおじさんに水筒の麦茶を頂き、貪るように飲み干したことを覚えている。二度目は2年前の年末、その年の最後の漁に出た時の事だ。その日は12月にしては珍しく、まったくの無風状態でアンカーを放り込んでも船が風に流されないので、アンカーが掛かったかどうか分からず、そのまま海に飛び込んで漁を開始した。水深15メートル程のところで漁をしていると何か違和感を感じて、少し水深を上げて水面の状況を確認した。すると、水面はさっきまでの静寂がうそのように泡立ち、大きな波が起きているのが水中からも確認できた。そのまま浮上し船を捜すと、遠く風下に流されているではないか。船が流されている先には浅瀬があり、このままでは船が座礁する危険がある。俺は船が流されている方向にコンパスを合わせもう一度潜行し、船に向かって一目散に泳いだ。タンクの空気が無くなり浮上すると船は浅瀬の手前、ギリギリの所に停まっているように見える。風で大波が出来、ささくれ立つ海面を懸命に船に向かって泳ぎ、やっと辿り着いた。船の下を見ると後5メートル、風に流されていたら確実に座礁していた。それ以来、どんな時もアンカーの確認は確実にすることにしている。この2度の経験とも大事には至らずに、こうしてブログなんぞを書いている訳だが、本当に海に取り残されたら人間の力ではできる事は限られている。ただ、焦らずに冷静に対処する事が大切なのである。冒頭の記事に出てくるロシア人潜水夫の強靭な意志の力と僥倖にただ敬服するばかりである。