将棋・序盤のStrategy ~ 矢倉 角換わり 横歩取り 相掛かり 中飛車 四間飛車 三間飛車 向かい飛車 相振り飛車 ~ -2ページ目

将棋・序盤のStrategy ~ 矢倉 角換わり 横歩取り 相掛かり 中飛車 四間飛車 三間飛車 向かい飛車 相振り飛車 ~

オールラウンドプレイヤーを目指す序盤研究ブログです。最近は棋書 感想・レビューのコーナーで、棋書の評価付けもしています。

福崎先生と言えば・・・ね。
王道過ぎて恥ずかしいけど、仕方ないね。

【棋譜DB】
十段戦 福崎文吾-谷川浩司

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先手:福崎文吾
後手:谷川浩司

▲7六歩    △8四歩    ▲5六歩    △8五歩    ▲7七角    △5四歩
▲8八飛    △3四歩    ▲6八銀    △6二銀    ▲4八玉    △7四歩
▲6六歩    △4二玉    ▲3八玉    △3二玉    ▲2八玉    △5二金右
▲1八香    △7三銀    ▲6七銀    △7五歩
(下図)

1984年の将棋。
谷川先生は名人、福崎先生は七段でした。

当時、福崎穴熊の勝率は滅茶苦茶高かったので、
谷川先生は速攻でそれを阻止しにいっている。

上図から▲7八飛も手筋だけど、
△7四銀と真っ直ぐ立たれるのが嫌ですね。

上図以下▲6八金(下図)

▲6八金は、△7四銀に▲7五歩△同 銀▲7六歩で収める意味。

ただし△7二飛▲7五歩△8四銀の動きは有力で、以下
▲6五歩△7五銀▲2二角成△同 銀▲7八飛△7六歩
▲4六角△7三角・・・は意外と難解。先手の穴熊が未完成なので。

上図以下
△7六歩    ▲同 銀    △8六歩    ▲同 歩    △7四銀(下図)

本譜の順は、▲6八金に対しても△7四銀型を作りたい、というもの。
上図からの▲7五歩には△同 銀▲同 銀△7六歩。
この時、△8六歩の突き捨てが角の逃げ場所を奪っている。

上図以下
▲1九玉    △7二飛    ▲6七金    △7五歩    ▲8七銀(下図)

先手陣を乱す事に成功したが、一潰しという訳には行かないようだ。

上図以下
△3三角    ▲2八銀    △2二玉    ▲3九金    △3二銀(下図)

△3二銀に換えて△1二香は▲8五歩と動かれる。
美濃囲いが無難ですね。

上図以下
▲3六歩    △4四歩    ▲5七金    △4三金    ▲4六金(下図)

この金の使い方は、福崎流という感じですね。

上図では△6五銀という強手もあり、
▲同 歩△7六歩▲6六角△4五歩▲3三角成△同 桂と、
金を取り返す手段もあったようだ。しかし、決戦は穴熊ペースですか。

上図以下
△7六歩    ▲同 銀    △7五銀    ▲6七銀    △7六銀    ▲同 銀
△同 飛
(下図)

谷川先生は銀をぶつけたが、
一回▲6七銀と引いたのが上手い応接で、
後手の飛車の横利きを奪う事に成功した。

上図以下
▲3五歩    △同 歩    ▲3八飛    △4五銀    ▲3五金    △3四歩
▲4五金    △同 歩    ▲2五銀    △4四金打 ▲6五歩
(下図)

▲3五歩から玉頭戦に持ち込み、
どさくさで▲6五歩と突けるのが気持ち良い。

上図以下
△7三桂    ▲4四角    △同 角    ▲3四銀    △同 金    ▲同 飛
△9九角成  ▲7七歩    △8六飛
(下図)

駒損にも構わず攻め続け・・・

いやぁ、次の手はあまりにも有名すぎて、喋るのが嫌だなぁ。
もういいか、ここで区切っちゃって。

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【棋譜DB】
第30期竜王戦1組出場者決定戦 久保利明-郷田真隆

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先手:久保利明 王将
後手:郷田真隆 九段

▲7六歩 △8四歩 ▲5六歩 △8五歩 ▲7七角 △5四歩
▲5八飛 △6二銀 ▲4八玉 △3四歩 ▲6八銀 △4二玉
▲1六歩 △1四歩 ▲3八玉 △5三銀 ▲2八玉 △7七角成
▲同 銀 △6四銀
(下図)

▲中飛車△6四銀。
これまでも色々記事を書いてきました。

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参考記事:
中飛車 第10回朝日杯将棋オープン戦二次予選 高崎一生-行方尚史 棋譜検討(△郷田流)01
中飛車 第10回朝日杯将棋オープン戦二次予選 高崎一生-行方尚史 棋譜検討(△郷田流)02
中飛車 第65期王座戦二次予選 久保利明-澤田真吾 棋譜検討(△6四銀型)
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上図以下
▲3八銀 △3二玉 ▲8八飛 △7四歩(下図)

8筋の受けを用意したように見えましたが、
結果的に、△4二銀の方が手堅かったのかもしれない。

上図以下
▲8六歩 △同 歩 ▲同 飛(下図)

仕掛けちゃうんですねぇ・・・
▲8二飛と王手出来る点を評価しているのだと思います。

類型に、橋本-澤田戦 などがあるんですけど、
元々向かい飛車で、飛車をぶつけていくのはよくあったんです。
この場合、中飛車→向かい飛車なので、一手損をしていて、
その一手が△5三銀→△6四銀になっている。

向かい飛車の時は、5三の銀が△4二銀引と引き付けられるため、
側面が物凄く堅い陣形にリフォーム出来たんですけど、
上図ならそういう事はないでしょ?という主張なんですね。

しかしまぁ、気楽な検討なので、飛車交換を考えますね。
上図以下△同 飛▲同 銀(下図)

1.△8七飛には▲8二飛△5二金右▲7九金の受けが狙いでしょうね。
向かい飛車・△5三銀型の時は△6四角と打てたんですが、
上図では角が打てず、ピッタリした受けになっています。

2.△7二金と上がる手には、▲7七角か▲7八金か・・・
比較は難しいですが、先手が悪いという事は無さそう。
以降は8六の銀を引き付ける感じで指したい。

後手が攻勢をとるなら、△8二飛と自陣飛車を打ち、
▲8七歩のタイミングで何か手立てを考えることになる(下図)

1.△8八歩は▲6六角△3三角▲7七桂で、
以下△6六角▲同 歩△6七角には▲6五歩で先手不満無し。

2.先に△3三角と打てば▲7七角だろうが、
△8八歩▲3三角成△同 桂▲7七桂△8九歩成は、
▲8五飛で先手いけそう。

3.ボンヤリ△5七角の対処法がイマイチ分からない。
多分▲5八金左△3五角成▲6六歩かなぁ、と思うんだけど、
形勢は微妙なところなので、実戦で現れてもおかしくはないかな。

本譜は▲8六同飛以下
△8五歩 ▲8八飛 △7三桂 ▲7八金(下図)

本譜は△8五歩と飛車交換拒否なんだけど、
▲8八飛の後、▲8四歩の狙いを受けなくてはならない。
△2二銀は壁だから指しにくいので△7三桂に落ち着いたけど、
上図からどういう構想で指すかはなかなかの難題だ。

なお、△5七角は▲6六銀△3五角成▲7五歩で先手ペース。

上図以下
△4二金 ▲6八銀(下図)

この、銀を引くっていう感触が良いよね。
次に▲7七桂~▲6六歩と押し上げていく感じが気分良いよ。

そこで本譜は△8六歩と動いた(下図)

これ、▲8四歩には△同 飛って事なのかね。
▲6六角に△7五歩▲1一角成△2二銀▲1二馬△7六歩・・・
なるほど、先手が自信無いか。

で、上図以下
▲7七角 △3三角 ▲6六歩(下図)

この瞬間は先手も怖いよね。

とりあえず、△7五歩が目に映りますが
どう捌くものなんでしょう?(下図)

出来れば▲8六飛が良いけど、
△同 飛▲同 角△6六角でどうしようかな、と。

または▲6七銀もある?
しかし、△8七歩成▲同 金△2四角は気持ち悪いがー・・・

まさかの▲7五同歩はある?
△同 銀▲7四歩△7六歩▲7三歩成△7七歩成▲同 桂
△8四飛・・・まさかね。

上図になったらなったで、悩みそう。

本譜は
△5二金上 ▲8六飛 △同 飛 ▲同 角 △6六角 ▲7七角
△同角成 ▲同 桂 △8九飛 ▲6一飛
(下図)

振り飛車としては、これで悪いと言われても、もはや仕方ない。
美濃も堅いし、何とかなるやろ、っていう進行ですね。
そういう気楽さも含めて、上図は振り飛車を持ってみたい。

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福崎穴熊勝局集第3弾。

【棋譜DB】
順位戦 大原英二-福崎文吾

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先手:大原英二
後手:福崎文吾

▲7六歩    △3四歩    ▲2六歩    △4四歩    ▲4八銀    △3二銀
▲5八金右  △4二飛    ▲5六歩    △6二玉    ▲6八玉    △7二玉
▲7八玉    △8二玉    ▲6八銀    △4三銀    ▲9六歩    △9二香
▲5七銀右  △9一玉    ▲6六歩    △4五歩    ▲2五歩    △3三角
▲6七銀    △8二銀    ▲6五歩
(下図)

▲6筋位取り△四間飛車穴熊。

この将棋は1980年に指されたもので、
正しくは、昇降級リーグ3組ですね。

上図以下
△4四銀    ▲3六歩    △7一金    ▲8六歩    △5二金    ▲1六歩
△5四歩    ▲6六銀右  △5三銀    ▲5七金
(下図)

上図▲5七金で▲5七銀は△4四銀。
千日手狙いで先手陣を乱しました。

上図以下
△7四歩    ▲8七玉    △6四歩    ▲同 歩    △同 銀    ▲6五歩
△7三銀引  ▲7八金    △6三金    ▲9五歩    △8四歩    ▲7七角
△6二飛
(下図)

玉周辺に集結させる感じが福崎穴熊ですね。
△8四歩も雰囲気出てます。

上図以下
▲2四歩    △同 歩    ▲3七桂(下図)

この辺で、えいやっと△8五歩もあるかねー。

上図以下
△6四歩    ▲4五桂    △4二角    ▲6四歩    △同 金    ▲6五歩(下図)

強手。
△同 金▲同 銀△同 飛▲1一角成△4五飛▲4六歩・・・
こういうのは先手が良いのかなぁ。

先に△8五歩を入れてると、こういう手は出てこない。
こういうのは結果論ですかー。

上図以下
△6三金    ▲5八金    △3三桂(下図)

本譜は桂ぶつけに期待。

上図以下
▲同桂成    △同 角    ▲3五歩    △6四歩    ▲3四歩    △6五歩
▲3三歩成  △6六歩    ▲同 角    △6五銀
(下図)

穴熊流の、ねじ込んでいく攻めがたまらない。

角を逃げられるても結構ギリギリなんだけど、
細い攻めを繋げる自信がある、と。
ま、自信が無ければ▲3四歩に角逃げてるしね。

上図以下
▲2四飛    △6六銀    ▲同 銀    △6五歩    ▲7七銀    △6六桂(下図)

ここに桂が刺さると、好調って感じがするけど、
飛車の捌きに差があるから、形勢自体は難しい。

上図以下
▲6七銀    △7五歩    ▲同 歩    △6四銀    ▲2一飛成  △6一飛(下図)

・・・だから、ぶつける。

いやでも、これは先手が良いですね。
後手は攻めに苦労してます。

上図以下
▲2二龍    △8五歩(下図)

こういうところで、現代棋士なら▲3五角とか打つと思うんです。
読みじゃなく、「攻防に角を打っておくと良い事あるぞ」みたいな経験則で。

こういう部分って、後から勉強する人の方が有利。
先人の経験も蓄積してるからね。

上図以下
▲6六銀直  △同 歩    ▲同 銀(下図)

これだと、後手を引きながらの受けになるから、
2手差くらいの将棋でも速度が逆転しちゃう。
実質、受け切って勝つ以外に無くなっちゃうんだよなぁ。

ホント、こういう部分は読みじゃなく知識。
現代は終盤術もかなりシステム化してる。

上図以下
△3一角    ▲2五龍    △7三金    ▲6七歩    △6五歩    ▲5七銀
△7五銀
(下図)

これは受け切れないです・・・

大原先生、△6六桂を打たせて良しという大局観が流石だったのに、
この着地ミスは痛いなぁ。

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【棋譜DB】
第88期棋聖戦決勝トーナメント 広瀬章人-糸谷哲郎

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先手:広瀬章人 八段
後手:糸谷哲郎 八段

▲7六歩    △8四歩    ▲6八銀    △3四歩    ▲6六歩    △6二銀
▲5六歩    △8五歩    ▲7七銀    △3二金    ▲5八金右  △6四歩
▲6七金    △6三銀    ▲2六歩    △4一玉    ▲2五歩    △7四歩
▲7八金    △7三桂    ▲4八銀    △6二金    ▲2四歩    △同 歩
▲同 飛    △2三歩    ▲2八飛    △4二銀    ▲6九玉    △8一飛
(下図)

矢倉には急戦左美濃が流行している昨今だが、
左美濃を良く思わなければ、上図のように進むのも一案だろう。

左美濃は攻められる前の一瞬の堅さが素晴らしいし、
カニ囲いは逃げるという要素が加わる点が捨てがたい。
将来的には分からないが、今のところは甲乙付けがたい。

△6二金△8一飛は、▲4六角の筋を警戒した意味と、
将来の△6一歩を作ったものと推察される。

上図以下
▲9六歩    △1四歩    ▲1六歩    △9四歩    ▲3六歩    △5四銀(下図)

ここで▲3七銀なら△6五歩に▲同 歩と取る選択肢も生まれるが、以下
△7五歩▲同 歩△6五桂▲6六銀△8六歩▲同 歩の局面が怖い(下図)

△6六角▲同 金△5七桂成や、
△8六飛▲8七歩△6六飛▲同 金△7七歩など、
嫌な筋が盛り沢山である。

△6五歩に▲4六銀ならこうはならないけど、
それは本譜に合流してるので(笑)

△5四銀以下
▲5七銀    △6五歩    ▲4六銀    △4四歩(下図)

▲4六銀には△4四歩が習いある形という感じ。
次に△4五歩として、銀を追いながら角筋を通す意味。

▲5五銀とぶつける手はあるけど、△6六歩▲同 銀上△4三銀引で、
先手の駒が前のめりになるのかな。

他の手としては▲3七桂もあるけど、剛直流ですか。
上手く行けば駒が前進していけそうだけど、
リスクも大きそうな手なので、余程準備が無いと指しにくい。

上図以下
▲5五歩    △4五歩    ▲5四歩    △4六歩    ▲同 歩(下図)

色々書いたけど、▲5五歩が部分的な定跡で、
銀の取り合いは自然な進行である。

上図ではジッと△5四歩も有力。
△5五銀と△8六歩▲同 歩△8五歩の両狙いだ。
ただ、6筋を伸ばされて▲6三歩成△同 金▲7二銀が見えている事と、
5筋の歩を取らせた方が△5一歩が生じる事があって、
本譜の進行になったと思われる。

上図以下
△5五銀    ▲6五歩    △8六歩    ▲同 歩    △6五桂    ▲6三歩(下図)

ただし、▲6三歩と叩けるのが大きく、
上図は少し先手がやれていると思う。
飛車金の形を咎められている他、
△4一玉に近いところを攻められているので。

「これなら左美濃の方が良かったかなー」
と、糸谷先生が思ったかどうかは定かではないが。

上図以下
△5二金    ▲7三銀    △6一飛(下図)

▲7三銀のところで▲2四歩△同 歩▲2五歩は、
△6六歩と打たれて先手が危険。
▲7三銀は△6一歩と打ってくれないかな、という意味もある。

そこで本譜は△6一飛と頑張ったんだけど、
ここは何か先手に良い手が無いんですかねぇ。

2筋にこだわるのなら、
▲7二銀不成△5一飛▲2四歩△同 歩▲2五歩△同 歩
▲2四歩(下図)

しかし、△5四歩と戻されるくらいでも大変ですか。
何故か分からないけど1筋の突き合いが入っているので、
▲2五飛に△1三桂▲2八飛△2六歩で受かっちゃいますね。

歩を大量に渡すと△6六歩と△8七歩が来るに決まっているし、
7二の銀もイマイチ利いていないので、指しきれないかー。

本譜は△6一飛以下
▲6二歩成  △同 金    ▲同銀成    △同 飛    ▲5三歩成  △同 銀
▲5四歩    △4二銀    ▲5三金    △9二飛    ▲6六歩
(下図)

でも、ここまで進むと先手があまり自信が無いですね。
▲5三金よりも△5七歩が厳しくなる恐れもあるし、
△5二歩と受ける余地もあるわけで、
後手の5筋の歩が捌けた点が大きく見えます。

ただ、玉の安全度は先手なので、
勝負の面では勝ちやすいという判断も下せそう。

上図から、筋だけで追えば△8七歩と叩くんですが、
▲9七角~▲8五歩で活用されてしまうかもしれない。
また、△7七桂成▲同 角△8八歩も有力ですが、
▲7九玉△8九歩成▲同 玉で、却って深くなってしまうかもしれない。

色んな「かもしれない」がある内は安心は出来ない訳で。
そんな時、先手の玉が堅く見えたら焦る訳で。

上図以下
△7七桂成    ▲同 角    △5七歩    ▲7九玉    △8七歩    ▲同 金
△5八歩成    ▲同 飛    △4七銀    ▲2八飛    △1三角
(下図)

まぁ、実際に糸谷先生が焦ったかどうかは兎も角、
△8七歩と形を乱して、壁角を活用する△1三角には、
玉形を互角以上にしようという発想が感じ取れる。

上図以下
▲2四歩    △同 角    ▲5七金(下図)

しかし、その瞬間に「来い!」とやるのが勝負術ですか。

△5六銀成は▲同 金△同 銀▲2四飛△同 歩▲4四桂で、
先手玉の方が安全なタイミングで決戦になる。
それは、後手の意図する展開ではないと見ているのだろう。

上図以下
△3六銀不成▲6五歩    △6六歩    ▲8八玉    △5六歩    ▲6六金
△4六角    ▲3七歩
(下図)

△3六銀不成と後退させて▲8八玉
先手玉は小康を得た。

▲6六金▲3七歩と強く戦えては、
先手良しと思うがー・・・

上図以下
△2七銀不成▲同 飛    △6八銀(下図)

△7九角打を作り、数ある未来から「▲9七玉」を消す。
しかし、△2七銀不成の代償も大きく、先手に勝ちがあるはず・・・

上図以下
▲5五金    △7七銀成  ▲同 桂    △7九角打  ▲8九玉    △8八歩(下図)

ここで▲同 金とは取れなかったのだろうか?
△6八角成に▲8七銀と受けてさ。

しかし、5三に金が落ちてるからなぁ。

上図以下
▲9八玉    △5五角    ▲5二銀    △同 飛    ▲同 金    △同 玉
▲6四桂    △4三玉    ▲4九飛    △3三玉
(下図)

△8八歩に▲同 金と取るよりも、
▲9八玉と逃げた方がハッキリ安全だから、
実戦ならこう指すよね。

でも、後手に△5五角と取られたのが大きかったのかも。
手順を尽くして王手角取りをかけたけど、
上図で▲7九飛と取る余裕は無さそうだ。

上図以下
▲4一銀    △4六角上    ▲5二桂成  △8九歩成  ▲3二銀成  △4四玉(下図)

際どいけど、後手勝ちですか。

こういう将棋を勝つって、尋常じゃなく腕力があるよね。

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福崎穴熊勝局集第2弾。
好きな棋士の特集は続けていきたいね。

【棋譜DB】
名棋戦 谷川浩司-福崎文吾

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先手:谷川浩司
後手:福崎文吾

▲7六歩    △3四歩    ▲2六歩    △4四歩    ▲4八銀    △3二銀
▲5六歩    △4二飛    ▲6八玉    △6二玉    ▲7八玉    △7二玉
▲9六歩    △8二玉    ▲9五歩    △9二香    ▲7七角    △4三銀
▲5七銀    △9一玉    ▲8八玉    △8二銀    ▲7八銀    △7一金
▲8六歩    △5二金    ▲8七銀    △6四歩    ▲7八金    △7四歩
▲6六歩    △6三金    ▲5八金    △4五歩    ▲6七金右  △4四銀
(下図)

1980年、昭和だと55年の将棋です。
谷川六段・福崎五段という時代ですよ。

△4四銀型にすんなり組めるのも、時代ですよね。
かえって参考になる、という人も多いはず。

上図以下
▲2五歩    △3三角    ▲8五歩    △5四歩    ▲8六角    △4一飛
▲7七桂    △5五歩    ▲同 歩    △同 銀    ▲5六歩
(下図)

△4六歩は▲5五歩~▲5二銀があるので無理。

上図以下
△4四銀    ▲7五歩    △5五歩    ▲同 歩    △7五歩(下図)

再度の△5五歩▲7五歩を見てのもの。
上図で▲7五同角なら、△7四金と逃げる筋が生じるため、
△5五銀▲5六歩△4六歩が成立する。

上図以下
▲2四歩    △同 歩    ▲2二歩(下図)

桂取りに対する次の3手も定番テクニックになりました。

上図以下
△5五銀    ▲2一歩成  △5一飛(下図)

先手歩切れなので、△5六歩が受けにくい。
桂香を犠牲にして捌く筋は良く出てくる。

とは言え、形勢はまだ良い勝負。

上図以下
▲8四歩    △同 歩    ▲7五角    △5六歩    ▲6八銀(下図)

ここからの次の3手が味があってさ・・・

上図以下
△7四金    ▲8六銀    △5三飛(下図)

△7四金に角を逃げると△6六銀。
かと言って、▲7六銀と支えるのは△6五歩で6七の金が危ないから、
金の逃げ場所を作って▲8六銀
そして、▲6三桂のキズを消しつつ、玉頭に利かす△5三飛

特に最後の△5三飛が、「真似してみたいなぁ」っていう味わい。
▲1一とだと、△8五歩▲同 桂△8四歩で勝負するのだろう。
▲8四歩の突き捨てを咎める雰囲気がたまらない。

上図以下
▲9四歩    △同 歩    ▲7六金(下図)

さあ、玉頭戦になってまいりました。

△5七歩成▲同 銀△4六銀という表現はあるものの、
風水的に、銀は6六に行くのが吉と出ている。

上図以下
△8五歩    ▲同 桂    △8四歩    ▲9三歩    △同 桂    ▲同桂成(下図)

ここで△同 飛もあるけど、
▲8五桂とヤケクソみたいな攻めを食らって危ない。
先手玉は瞬間安全なので、何をされても文句は言えない。

上図以下
△同 香    ▲6七桂    △8三桂    ▲8七桂(下図)

見た目が凄い事になってきたけど、
こういうのは穴熊ですよね。
ここでも、▲8四歩の突き捨ては咎められている。

上図以下
△7五桂    ▲同 銀(下図)

とは言え、△7五同金▲同 桂右は8三の地点がきな臭くなる。

さて、どうするかー・・・

上図以下△6六銀(下図)

風水!

上図以下
▲同 銀    △6五金    ▲同 金    △同 歩    ▲5五銀    △6六歩(下図)

吉と出た。やはり風水は正しい。

上図以下
▲8三歩    △6七歩成    ▲8二歩成  △同 金    ▲6七銀    △5五角(下図)

気持ち良く中央に躍り出て、ハッキリ後手良し。
この切れ味は紛れも無く妖刀です。

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