福崎先生の棋譜を記事にしている内に、
「別に最新の棋譜じゃなくても良いじゃん」
という気持ちが膨らんできたので、
もっと過去の棋譜からも好きなものを選んでいこうと思う。
大山先生の棋譜は大山全集で並べていくのだけど、
全3巻中、最終巻の3巻を並べるのが一つの手筋になっている。
理由は、あまり古いと並べる気が起きない、というもので、
私自身も、好きな棋譜は3巻に多い。
が、棋譜検討記事は2巻の内容から書いていく。
理由は、この頃から振り飛車が多くなっているから。
やはり、大山先生と言えば振り飛車だと思うのです。
【棋譜DB】
第13期王将戦第3局 二上達也-大山康晴
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先手:二上達也
後手:大山康晴
▲2六歩 △3四歩 ▲7六歩 △4四歩 ▲2五歩 △3三角
▲4八銀 △3二飛(下図)
三間飛車。
上図以下
▲6八玉 △6二玉 ▲7八玉 △7二玉 ▲5八金右 △4二銀
▲4六歩 △5二金左 ▲3六歩 △8二玉 ▲3七桂 △2二飛
▲5六歩 △7二銀(下図)
上図以下、▲4五歩△同 歩▲5五歩という順もある。以下
1.△4四角▲4五桂△3三桂▲同 桂成△同 角▲4七銀
△4三銀▲4六銀△2一飛
2.△4三銀▲4五桂△4四角▲3七銀△6四歩▲4六銀
△7四歩▲3五歩△同 歩▲3二歩△同 飛▲2四歩
△同 歩▲同 飛△2二歩
・・・といった要領でどうか。
どちらかと言えば、2.を選んだ方が後手は良いだろう。
形勢はなかなか難しいところだと思う。
上図以下
▲5五歩 △4三銀 ▲5七銀 △5四歩(下図)
▲5五歩はジックリと陣形を作る狙いだが、
△5四歩が機敏な一手だった。
上図から▲同 歩△同 銀と進むと、
1.▲5五歩は△6五銀で最悪。
2.▲5六銀△6四歩は一局か。
上図以下
▲4七金 △5五歩 ▲6六銀 △5四銀 ▲5五銀 △同 銀
▲同 角 △4三金(下図)
本譜は中央で銀交換が行われたが、
△4三金まで進んでは、後手が指しやすいだろう。
△5二飛と捌く味が良い。
大山先生と言えば強靭な受けだが、
少なくとも、この時代の序盤においては、
居飛車側の攻めが確立していない事も大きい。
上図以下
▲8八角 △5二飛 ▲5五歩 △6五銀(下図)
7六の歩を奪いに行く手は、大山将棋でよく現れる。
上図以下
▲7五歩 △5四歩 ▲同 歩 △7六銀(下図)
△5四歩と合わせてから△7六銀が味のある攻め。
△5四飛~△8四飛が狙いである。
よって、▲7四歩と突き捨てて△8四飛を消す手も有効だった。
上図以下
▲5三歩成 △同 金 ▲5八飛(下図)
▲5三歩成は△同 飛なら▲3二銀の狙いと思われる。
しかし、直後の△3五歩も相当な筋なので、
後手としては、こちらの順を選ぶ手もあった。
▲5八飛は様々な狙いを含んだ手。
一例として、▲2四歩△同 歩▲2二歩△同 角▲4一銀がある。
上図以下
△5一飛 ▲4五歩(下図)
△5一飛は、前述最後の▲4一銀を消しつつ、
様子を伺った一手。
対する先手は▲4五歩と決戦。
振り飛車、腕の見せ所という局面だ。
上図以下△5五歩(下図)
ポトリと△5五歩が上手い受け。
▲同 角でも▲同 飛でも△6四金で捌こうという意味だろう。
飛車交換になると、先手の側面が弱すぎる。
上図以下▲6八金(下図)
そこで先手は▲6八金と締めたが・・・
上図以下△9四歩(下図)
大山流の真骨頂のような手。
このような間合いは現代にも受け継がれている。
上図以下
▲1六歩 △5四金(下図)
戦いの最中に△9四歩と緩められて調子が狂ったか、
▲1六歩は悪手だった。
すかさず△5四金と上がられては、先手が参っている。
上図以下
▲4三銀 △4五歩(下図)
▲4三銀は狙いの反撃だが、△4五歩が利いては虚しい。
▲5二歩には△4一飛▲5四銀成△4六歩で終了である。
こうした戦いになると、
△9四歩と▲1六歩の交換が、先手にとってあまりにも損だ。
上図以下
▲7四歩 △同 歩 ▲3四銀成(下図)
二上先生、必死の食らい付きだが・・・
上図以下
△2二角 ▲2四歩 △3一角 ▲2三歩成 △7五角(下図)
角をぐるりと使って後手十分。
上図以下
▲3二と △6五金 ▲5七歩 △2六歩(下図)
△6五金と出て、中央から勇ましく攻めるかと思いきや、
一転、△2六歩が細やかな芸。
上図以下
▲4四成銀 △4六歩 ▲同 金 △2七歩成 ▲4五桂 △3七と
▲4二と △同 角 ▲6六歩 △6四金 ▲7七歩 △8五銀
▲3五歩 △4七歩(下図)
と金攻めを間に合わせて後手勝勢。
上図からは▲4九歩と受けましたが、
△5四金▲4三成銀△6四角と軽やかに捌いて、
以下、後手完勝となりました。
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