shoesaddictのブログ

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米国古靴に関するブログです

Amebaでブログを始めよう!
前回の記事ではトルエンを用いて、Red Wingのロガーの汚れ落としを敢行しました。
しかし、踵の汚れがしつこかったため、さらなる荒療治を試みました。 

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使用したのはこちら、3Mのスポンジ研磨剤。
屈曲性がよくヒールの局面も難なく研磨できます。
水洗いも可能で非常に便利なのですが、用途に革靴は含まれていません。

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やりすぎないよう注意して汚れのひどい表面を削り落とすこと2分ほど。
上写真のような状態に。

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モウブレィのナチュレでオイルアップすると、こんな感じ。

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右足は傷と汚れがひどかったので、トゥも研磨剤をかけました。
汚れはそこそこ落ちましたが、二本の深い傷はカバーしきれませんでした。

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素人仕事にしてはまずまずの出来と自画自賛。

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ヒール側もさっぱりしました。
どうせやるならフルコースということで、この後丸洗いをしましたので、その様子はまた次回。


先日ご紹介したRed Wingのロガー、現物が届きました。

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ぱっと見、味があるとも言えなくもありませんが、

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思っていた以上に小傷が多く、オイル系の汚れがひどい状態です。
再生できなくはないでしょうが、面倒なことになったというのが正直なところ。
因みに、ソールと靴内部は比較的良好なコンディションです。

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前回予告しました通り、今回汚れ落としに使用したのがこちら、染めQクリーナー。
革を染める際に障害となる皮革表面の油分を除去するためのものです。
というとそれらしく聞こえますが、要はトルエン。
ドレスシューズなら選択肢にすら上がらないところですが、ワークブーツなんで油分ごと頑固な汚れをがっつり落としきります。
右足は傷が目立ち汚れがひどく厄介そうだったので、比較的難易度の低そうな左足から施術。

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汚れのひどい部分を中心に、トルエンを染み込ませた雑巾で拭くこと5分。
汚れは落ちましたが、色もがっつり。
油分の抜けとともに大分革が硬化してきたため、ミンクオイルでキレイな油分を補いつつ、さらに五分ほど。

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だいぶさっぱりとした風貌に。
つま先部分は汚れの落ちも良かったため、そのままオイルアップ。

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ワークブーツ好きの方なら専用のものやミンクオイルを使うことが多いと思いますが、今回はM.MowbrayのクリームナチュラーレとCollonilの1909シュプリームクリームデラックスを使用。

因みにクリームはともに無色で補色はしていません。
このブラウンは皮革に油分が染み込んだ色だったんですね。

小汚いブーツが、「味のある」といって差し支えのない表情になりました。
しかし、頭隠して尻隠さずではありませんが、問題はヒールサイド。
別の施術を行いましたので、その模様はまた次回に。

お久しぶりです。

 

ここのところ、ebayでも現行もののワークブーツを中心に手を出していたため、この古靴ブログを放置してしまっておりました。

ただ、古靴ブロガーさん達の記事は随時拝読しております。

 

今般、少しだけ古めのペアに手を出したので、そちらの手入れに関して、リハビリがてら何回かに分けて記事を投稿しようかと思います。

 

さて、今回のペアはこちら。

 

 

Red WingのIrish Setter Sport Bootラインの一足。

同ラインですとモックトゥが有名ですが、こちらのスタイルはプレーントゥ。

そのせいか激安で落札することができました。

(モデル№が分からないので、ご存知の方いらっしゃいましたらご教示ください)

 

 

あまり詳しくないのですが、Made in U.S.A.表記ではなく、Made in America表記の四角犬タグですので、私よりも年配です。

(なぜAmerica表記にしたのか不思議です)

ドレスシューズ目線だとあまり手を出さない年代ですが、Red Wingでいうとこの辺もヴィンテージ扱いのようですね。

 

 

汚れや傷こそ目立つものの、型崩れも少なく、ソールもほぼほぼ残っています。

また、加工感の強い現行物のそれよりも、革質がよさそうです。

手入れでどこまで化けるかを知りたくて手を出してしまいました。

 

 

古靴のドレス物ならば、汚れ落としにはSAPHIRのReno MatやM.Mowbrayのステインリムーバーで対応するところ。

しかし、今回はワークブーツ。

安値で落札したこともあり、実験的にトルエンを用いて古い油分と一緒に汚れをがっつり抜いてみたいと思います。

 

 

ところで、Red Wingって不思議な魅力がありますよね。

White's、Wesco、Nick'sなんかと比べてしまうと、作りや素材は明らかに劣後するのに、雰囲気は遜色がないように見えてしまうという。

価格面でのアドバンテージだけでは説明のつかない魅力は何なのでしょうか。

同価格帯の英国靴に対して品質で後れをとるAldenが、人気では引けをとらないのと似ているかもしれません。

 

モックトゥも欲しくなってしまいます。

私が手にした中で史上ワースト1の汚さを誇る1足の手入れ過程をご紹介したいと思います。
今回の主人公はこちら。




White'sのPacker Bootsです。
同社と言えば、Semi DressやSmoke Jumperが有名かとは思いますが、こちらのPacker Bootsも日本でこそ知名度はいまひとつですが歴史あるモデルの一つです。
カウボーイが家財道具を運びつつ牛を追う旅程であるパックライドの際に着用するために作られたモデルで、後にワークブーツとして用いられるようになったものです。
いかにもカウボーイ的な刺繍が施されたドレスパッカーと呼ばれるものもありますが、こちらはプレーンなワークパッカーです。



以前から興味のあったモデルだったのですが、ブーツの着用機会が年数回程度に限られるであろうなか、国内新品価格の10万円近くを投資できるのかという理由で手が出せずにいました。
確かに堅牢で一生ものなのでしょうが、その程度の使用頻度なら靴流通○ンターあたりで適当なブーツを購入しても、自分の寿命が先に尽きるような気がしなくもありません。
履きたいシチュエーションに関しても、娘とディズニーランドに行った際にウェスタンランドをこの靴で闊歩したいという程度のものです。
(しかも、娘の好きなトイストーリーのウッディが着用しているのは、パッカーブーツではなくリングブーツですし)

そういった理由で今まで手を出さなかったわけですが、マイサイズが投げ売りされているのを発見。
そして、あまりにひどい状態だったため、手入れでどこまで復活させられるのかという好奇心がふつふつと湧きあがり、我が家に迎え入れる運びとなりました。
本格靴愛好家は多かれど、私のような米国古靴マニアは少ないでしょうし、さらには手入れするためにわざわざ小汚い靴を買うなんて好事家は希少種といって差支えないでしょう。



さて、肝心の状態ですが、元の革が何なのか判別がつかないほど、オイルと泥の混合物と思われる汚れが表面に付着しておりました。
また、White'sといえばウェルトまわりのダブルステッチですが、コバに汚れが堆積しすぎて本当に縫われているのさえ分からないほどです。



ベロ部分の保護を目的に装着されているフォルスタンもご覧の通りのありさまで、外してみると裏側にも泥や干し草様の物体、砂などがこれでもかと出てきました。
歯ブラシを使用して出来る限り掻きだしたのですが、その後の作業を続ける気力を根こそぎもっていかれかねない地獄絵図でした。


しかし、ソールに目を移すと以外にも減りが少なく、あまり履かれていないことを示唆しておりました。
靴の内部も外見と比べると非常に状態が良く、手を触れるのが躊躇われるアッパーでさえも傷は数えるほどしかありません。
それらを勘案し、このペアは使用回数自体は少なく本体へのダメージは小さいものの、過酷な環境下で使用されたため汚れがひどく、手入れの方法が分からない所有者が匙を投げて手放した、という仮説を立てました。
つまり、頑張り次第ではかなりの状態まで復元可能と踏んだわけです。



肝心の手入れに関してですが、仕事が多忙で時間をとれなかったこともあり、着手から決着まで数カ月を要しました。
かなりの長文になりますが、お付き合いいただけると幸いです。

何から始めてよいか迷うほどの状態だったのですが、先ずは使い古しの歯ブラシで表面の泥汚れを落とす作業から開始。
今まで古靴とはいってもほぼドレスシューズしか手入れをしたことがなかったため、土埃が舞い散る様にはさすがに面喰いました。
続いて濡れぞうきんで全体を拭き上げ、ステインリムーバーで徹底的に表面の汚れを落としました。
それでもコバやステッチまわりの頑固な汚れを落としきることは叶わず、LEXOLで丸洗いを敢行致しました。



水洗い後の姿がこちら。
ひとつ上の写真と比べて、だいぶさっぱりしたことが見て取れるかと思います。
丸めた新聞紙を入れて内部の乾燥を促しつつ、アッパーに関しては乾燥による硬化やひび割れを防ぐためにモゥブレイのクリームナチューレを薄く塗布しております。
また、カビの発生を防止するため、同じくモゥブレイのモールドクリーナーを全体にまんべんなくスプレーしました。


アッパーの状態も予想の通りなかなかのものです。
写真に写っていない右トゥや左のヒールカップに大きな傷こそあるものの、大きく外観を損なうようなダメージはありません。
汚れの堆積がひどかったウェルトまわりに目を移しても、なんとかステッチが見えるまで状況が改善されました。



しかし、丸洗いの際に歯ブラシではげしく擦ったため、ウェルト周りの色が剥げ落ちてしまいました。
コバインキでしっかり補色したいところですが、出し縫いの糸まで染めてしまう恐れがあるため、コバクレヨンで対応しました。


ステッチ間の皮革の着色はできませんでしたが、なんとか見られる状態にはなりました。
しかし、ウェルト周りを着色したことで、ミッドソール部分のみすぼらしさが強調される事態に。
こちらは後程対処することにしました。



そして問題がもう一つ。
ステッチ周りにこびりついた謎の汚れが、徹底した丸洗いでも改善されなかったのです。
押して駄目なら引いてみるならぬ、水で駄目なら油ということで、ミンクオイルで溶かし出す作戦を敢行。
塗布後しばらくおいたあと、革の痛みもきにせずステインリムーバーを含ませた綿棒とコットンでひたすらこすること約3分。


オイルが効いたのか、ステインリムーバーの有機溶剤が有効だったのかは判然としませんが、だいぶ改善が見られたのではないでしょうか。
質実剛健な印象の三重ステッチが露わになりました。
これはこれで格好良いのですが、古いFlorsheimなんかのそれと比べてしまうと若干見劣りするなどと考えてしまうのは古靴好きの悪い癖かもしれません。
しかし、こうしたピッチの揃っていないステッチも、工業製品然としていないという点では愛着の持てる部分だったりもするので面白いものです。



続いて気なったパーツがコバとヒールの積上げ部分。
傷やシミが目立ち、かなりみすぼらしい状態です。


先ずは、アッパーを傷つけないようにマスキングを施して、サンドペーパーをかけました。
毛羽立ちや凹凸がひどく、表面をある程度均一にするはなかなかの重労働でした。
結果、途中で嫌気がさして、何日かに分けての作業となりました。

続いて、若干の傷やへこみは残ったままですが、味と言うことで割り切ってコバの染色に移りました。



アップで見ると雑な仕事ですが、遠目で見る分にはまずまずの仕上がりです。



コバ部分は皮革部分の面積が小さいので作業は比較的容易で、仕上がりも満足のいく出来です。


最後に全景を一枚。
(デフォルトの革紐を蠟引きの丸紐に交換してあります)
当初とは似ても似つかぬ姿となりました。
さすがは「キング・オブ・ブーツ」と呼ばれるWhite'sだけあって、適切な手入れを行えばきちんと応えてくれます。
しかし、惜しむらくは、私の足にはサイズが合わないこと。
短靴ではジャストのはずのUS8Dなのですが。
無念ですが、ヤフオクに旅立ってもらうことになりそうです。



直前の記事で、米国古靴漁りで釣果なしと書きましたが、久々の引きが来たかもしれません。
先日、eBayを除いているとこんなペアが$80「Buy it now」の「Make offer」ありで出品されていました。



Florsheim Imperial QualityのKenmoorです。
しかも、パッと見ではかなり状態の良い個体。
セラーによるとスムースレザーとのことでしたが、どうみてもShell Cordovanのような気がします。



寄りの写真もアップされていたのですが、皺の入り方はコードバンのそれのように見受けられます。
セラーはスムースレザーだと言っているのですが、寡聞にしてKenmoorのプレーントゥでスムースレザー製のものは目にしたことがありません。
また、「Corfam」を使ったペアも確認されていないように思うので、コードバン製だと推測しました。


また、状態に関してもそこまで履き込まれた印象はなく、なによりサイズがど真ん中の8Dでしたので、失敗覚悟で落としに行ってみました。
写真では不鮮明な品番を確認すればコードバン製か否かの確定は容易ですが、スピード勝負のため、あえて質問は行いませんでした。

$60ドルでオファーしてみたのですが、せっかくの隠れコードバンを他の方に落札されるのではないかと気が気ではなく、数分後に$80で「Buy it now」ボタンを押してしまいました。
すると、懸念した通り「You missed out on this item.」とのメッセージとともに「Buy it now」がはじかれてしまいました。
$20をケチった自分を恨めしく思っていると、カートに商品が入っていることを示す表示が。
どうも、私と同時にセラーさんがオファーをアクセプトしていたため、「Buy it now」が出来なかっただけで落札自体はできていたようです。

そんなこんなで、出来上がり1諭吉で落としたKenmoorの到着を待っているのですが、本当にコードバン製なのかどうか非常に気になるところです。
セラーさんのおっしゃる通りスムースレザーであっても、それはそれで面白いかもしれませんが(笑)
ここのところ、米国古靴漁りもめぼしい釣果がないので、本日は最近好んで履いている愛靴をご紹介します。



変哲のない内羽根式ストレートチップです。
パッと見これといった特徴もなく、色気もないペアです。



角度を変えて見てもやっぱり普通のストレートチップです。
ビジネスマナーの教科書に出てくる、「ストレートチップが最もフォーマルです」といった文言の挿絵がこんな感じかもしれません。
色々な靴に足を通すなかで、こちらのペアは「つまらない靴」との印象から長らくクローゼットにしまいこんでいました。
しかし、久方ぶりに履くようになって、このペアの本当の良さがわかってきたような気がして、今回この記事を書いている次第です。



あまり目にしないモデルかと思いますが、こちらはチャーチのマスタークラスです。
同社がプラダに買収されてディスコンになってしまいましたが、カスタムグレードの上位グレードのモデルです。
このグレードのモデルですと、プレーントゥのIBSENがメジャーでしょうか。
チャーチが資本を受け入れたのが2000年前後ですので、15年以上前に製造されていたものです。



肝心のモデル名ですが、ご覧の通り達筆過ぎて解読できません(笑)
数人のネイティブに見てもらったのですが、「これはヘブライ語だからイスラエル人に聞け」「いやギリシア語だ」との回答を得ました。
同グレードの他モデルは、「イプセン」や「ワーズワース」といった文筆家の名が冠されていますので、個人的には「Chaucer(チョーサー)」ではないかと思っています。
英国の詩人で「カンタベリー物語」の作者ですね。
高校時代に世界史で習った記憶がかすかにあります。



このペアの特徴はと言いますと、スタイル自体がきわめてオーソドックであるため、一番目に挙げるとすると、厚みと弾力のある艶やかな甲革でしょうか。
軽く磨くだけで良い艶が出るので、ケアをしていて楽しい類の革質です。
調べてみると、マスタークラスには「Ambassador Calf」もしくは「Liege Calf」が用いられていたようですが、どのモデルにどちらの皮革が採用されていたかまでは辿り着けませんでした。
また、ライニングに関してもカスタムグレードで一般的なキャンバスではなく、しっかりとレザーが用いられています。

調べたことがある方はお分かりかと思いますが、ネット上ではマスタークラスに関する情報はなかなか出てきません。
生産数が少なかったこともあるでしょうが、インターネットが現在のように普及する前にディスコンになってしまったことが大きな要因だと思われます。

今回、この「変哲のない」ペアをご紹介しようと思ったのも、大げさな言い方かもしれませんが、後々のために情報を残しておく意義があるのではないかと感じていたからです。
古靴に関してブログをお書きになっている方は、多かれ少なかれそう言ったことを考えていらっしゃると思います。



閑話休題。
ディテールに目を移しますと、踵の合わせに関してはチャーチらしい仕上げになっています。
(廉価版のシティコレクションはドッグテイルで処理されているものが多いですが)
合わせ目に別のパーツを被せる仕様や、ドッグテイルよりも丁寧な仕事が要求されるであろう作り込みです。

私見にはなるのですが、一般的なカスタムグレードのモデルよりも踵のホールド感が強いように感じます。
普段履いているチャーチは踵が大きく、時折抜ける感覚があるのですが、踵の収まりがよく掴まれている感じがします。
履き慣らすまでは、一日履くと若干痛みを生じるほどでした。
見た目には大きな違いはないのですが、上位グレードということもあり作り込みが違うのでしょうか。



さて、再三にわたり「変哲のない」「普通」「つまらない」などと申し上げてしまいましたが、ここからはこのペアが主張しているディテールをご紹介します。
チャーチには珍しく、左右のアイレット間の距離が履き口から閂に向かうにつれて広がっています。
適度に羽根が開いた状態で着用すると、(写真左足のように)左右のアイレットが平行に並びます。
履いてしまうと傍目には特徴がかき消されてしまうのですが、個人的にはこの絶妙なバランスは好みです。



もう一点の主張がこちら。
アイレット周りの履き口にかけてのステッチが特徴的です。
私がこのペアで唯一不満に思っているのがこの点です。
どうせなら、とことんその「変哲のなさ」を追求して欲しかったと思います。
個人的には、このペアの良さは、きわめてオーソドックスなスタイルで質実剛健に作られている点だと思っています。
そんな思いから、このちょっとしたアクセントに違和感を覚えてしまいますが、靴好き以外の方にとっては全くどうでも良いことなのでしょう(笑)


こちらのペア、現状ではわかりませんが、伏せ縫いではないにもかかわらず、半カラス仕上げが施されていました。
上位グレードでもヒドゥンチャネルを施さない点に関しては、機能や履き心地、堅牢さに関係のない部分は追求しないという点でチャーチらしいともいえます。
しかし一方で、ライニングを奇抜な赤紫にしたり、オープンチャネルに半カラスを施したりと、チャーチらしくない点も見受けられます。
高級感の出し方がいまいちずれてしまっている部分は、逆に質実剛健な製靴のみを長年続けてきたチャーチらしいと言っても良いのかもしれませんね。




今回はスエードケアのお話。

スエードというと、一部の革好きや靴好きの方を除いては、扱いづらい印象をお持ちかと思います。
しかし、その特性を知れば、意外にも雨にも強くケアも簡単な素材です。

履いた後には軽くブラッシングすればOKですし、防水スプレーを使用すれば軽い雨なんかはなんのそのです。
少し汚れが目立ってきたら消しゴム(専用のものもあります)でこすってやれば綺麗になります。
本格的な汚れに関しては、水洗いも可能です。
実は細かいことを気にせずガシガシ履ける素材なのです。

しかし、それもある程度のケアがあってこそ。
お手入れを怠れば、毛足が寝てしまいテカりが生じてみすぼらしくなってしまうのも事実。
そう、こちらのゴルフのように。




両足ともにつま先の毛足がガビガビになってしまっています。
全体的にも薄汚れていて、せっかくの良靴が台無しになっており、本格的なケアが必要な状態です。



先ずは豚毛ブラシで一心不乱にブラッシング。
ある程度改善が見られました。



それでも改善が見られないテカりには目の細かいサンドペーパーをかけます。
スエードはもともと、鞣した皮革の内側をやすりがけして起毛したもの。
寝てしまった毛足をもう一度起こしてやるわけです。
結果、そこそこの改善がみられました。



しかし、この後に大きな問題が発生しました。
スエードシャンプーを使って丸洗いをかけた際に、汚れの目立っていたトゥ部分を擦りすぎました。



上写真は乾燥後のものですが、ケア前より状態が悪化してしまいました。

これ以上やると取り返しがつかなそうだったことに加え、ヒールがかなり減っていたこともあり、お世話になっているBontaさんにスエードケアをお願いしました。


さて、本題のスエードケアの結果の前に、ヒールについて。
どうせなら、リッジウェイを使いたかったのですが、ビブラムのリッジウェイパターンでお願いしました。
リッジウェイは厚さ20mmのブロックヒールしかなく、積み上げを全て外す必要があるとのことで断念しました。
オリジナルに比べて、パターンがやや直線的で味気ない感じがしますが違和感のない仕上がりです。



ところで、ゴルフに採用されているオリジナルのソールはリッジウェイなのでしょうか?
パターンは似ていますが、さりげなくウェストンのWが隠されていたりと、リッジウェイソールそのものではありません。
ハルボロラバー社がウェストンに専用に製作しているのでしょうか



閑話休題。
スエードケアの結果はと言いますと、下写真の通りです。



若干名残はありますが、さすがプロと言わざるを得ない出来栄えです。
これで税抜き500円なのですから、最初からお願いしておけば良かったですね。

最後に全体がわかる写真も一枚。
シューレースも替えてもらい、どこに履いて行っても恥ずかしくない一足に戻りました。



ところで、ゴルフとスエードって相性が良いと思いませんか?
丸みの強いモカ抜いが施されたぽっこりトゥと柔らかな毛並みのスエードの組み合わせは、温かみがあって見ていてなんだか和みます。
冬場の足元には欠かせない一足で、娘とのお散歩靴として大活躍してくれています。

これからは日頃のケアをしっかりと行ない労ってやりたいと思った次第です。