<派遣業の本質> | 眠れぬ夜に思うこと(人と命の根源をたずねて)

<派遣業の本質>

確かに、今日あるような雇用不安、社会不安の原因の一つとして派遣業の存在をあげることはできるだろう。しかし、それのみに原因を求めることはできない。派遣法改正の前にはフリーターやニートの増大、企業による一方的な人員整理の増加があり、改正派遣法は雇用主と労働者双方のワガママ化、利己主義化、獣化を手助けしただけであるからだ。
そもそも、派遣業とは現代に復活した奴隷産業に他ならず、しかもその本質を知る者たちによって意図的に拡大されてきた感がある。それが日本企業を骨抜きにするために画策された陰謀の結実であるなどといえば、陰謀マニアとのそしりを免れ得ないかもしれないが、年次改革要望書の存在は根拠の一つにはなり得るだろう。

ここまで肥大した派遣業を誰が担っているのかといえば、その多くは暴力団である。彼らは破防法以降、一般企業と見分けがつきにくくなってしまったが、彼らにとって派遣業はもっとも取り付きやすいカタギの仮面であった。ゆえに、派遣業の縮小を声高に叫べば、恐ろしい人たちを呼び寄せてしまうことになるだろうし、政治家もそういう人たちを本気で敵に回そうとは考えない。しかも、一方では教育の荒廃によってまともな仕事で長く就労することの困難な若者たちが量産されているので、その受け入れ先としても派遣業はちょうどよいのである。逆に、派遣業がなければ彼らの受け入れ先を別の形で確保せざるを得まい。結局、派遣の問題は企業が悪いのか労働者の自己責任なのか、ニワトリが先かタマゴが先かという問題に等しくなってしまうのだ。

とすると、目先の解決は見込めそうにない。しかしまず、派遣業の多くがヤクザの隠れ蓑であり、合法化されたヤクザ稼業であるという実態を社会が認知すると同時に、利己的な体質を企業と個人双方で戒めていく風潮をこそ再興する必要があるだろう。勿論、派遣業を政治が規制することは急務だが、この業種自体を兵糧攻めにして廃業に追いやる道もあるはずなのだ。そして、そのためには社会のあらゆる局面で行われる教育と啓蒙によって社会全体が愛を取り戻す必要があると私は思う。

ここで興味深いお話をご紹介申し上げる。あるニートが徐々に社会との結びつきを深めて正社員への道を歩んでいく過程を綴ったお話である。問題解決のヒントが隠されているのではないだろうか。

「うちの母ちゃんすごいぞ」
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