寒くなってきた。
2年前から湯たんぽを愛用しているのだが・・・(別に強調することでもないが、昔ながらのブリキの湯たんぽでなく、今風のお洒落なやつである。ちなみに子供時代、タオルを巻いた湯たんぽで見事に低温やけどを負った)、我が家にはお湯を沸かすポットがなく、やかんはといえば、最近空炊きしてしまい黒こげになったうえ、注ぎ口の蓋部分がとけてポロリと落ちた。・・・というわけで現在、お茶を入れるのにも鍋でお湯を沸かすという事態になっているのだが、困ったことに、この鍋ではあの湯たんぽの注ぎ口にうまくお湯を入れることができない。ような気がする。ここでバレてしまったが、“気がする”だけで試していないのだな。明日あたり、やってみるか(なぜ今日ではないのか?)。
この時間、仕事も佳境に入るという日々である。本当は、深い眠りに身をゆだねていたいが、背に腹は代えられぬ。しかしこんな状況でも、我が欲張りは治らず。石坂浩二さんプロデュースの演奏会(浜離宮朝日ホール)、新橋演舞場での花形歌舞伎、と、ただひたすら家にこもることは絶対にしない(できない)。いいものを観たり聴いたりすることは、どんな状況においてもマイナスになることなどないからである。
石坂さんプロデュースのコンサートはとてもよかった。前半はシューマンの「リーダークライス」を石坂さんの訳で田村麻子さんが歌ったのだが、訳には大変苦労されたとのこと。書いては消し書いては消し、捨てた紙のほうが多い、と。画期的な試みだと思うが、日本語で意味が染み込んでくるので、とても新鮮で印象深いリーダークライスだった。後半は、ゲストにキュウ・ウォン・ハンさんを迎えてのオペラの名曲。最後のキャンディードは圧巻で、私はすっかり田村麻子さんのファンになってしまった。
休憩時間には裏にお邪魔して、久しぶりにお目にかかる石坂さんと少々の雑談。ベルリオーズとシューマンがお好きだったなんて知らなかった、実は私もシューマンが好きな妙な子供だったんですと共通項をアピールしながら、それってやはり双子座の感性なんじゃないだろか、などとまた双子座根性がもたげちゃったのだった(もちろん、シューマンも双子座)。
先日の花形歌舞伎も見応え十分、大いに楽しんだ。河竹黙阿弥の白浪(盗賊)物「三人吉三巴白浪」、そしてたっぷり盛り込まれた踊りが素晴らしい「鬼揃紅葉狩」。菊之助は、以前観た蜷川歌舞伎「十二夜」以来。三人吉三ではお嬢吉三に菊之助、お坊吉三に愛之助、和尚吉三に松緑という配役で、因果がめぐる物語を熱演。「鬼揃紅葉狩」もすごかった。即帰路につくつもりが、興奮してつい黒ビールなど1杯ひっかけてしまい、その夜は完全に徹夜仕事になったのだった・・・。