ヨウ素耐用上限量と昆布
頂いたコメントの事もあり
我が家でも他人事ではないこと、
仕事上でもやや関わる事ですので
書いてみました。
ヨウ素についてはこれまで
あまり注目されていませんでしたが、
その理由もなんとなく納得です。
ただ、甲状腺の疾患を患っている方が
いらっしゃるご家庭では
注意されている方もいるのではと思います。
自分なりにまとめてみましたので、
そのあたりのことが気になる方は
読んでみてください。
ヨウ素が圧倒的に多い食品はやはり昆布で群を抜いている存在です。わかめなどのほかの海藻類では足元にも及びません。
ですから、ヨウ素に関してのみ着目するならば海藻を積極的に摂取しようとした場合でも、ヨウ素のとりすぎの心配は無いようです。
また、通常、1日当たり0.05~0.15mgのヨウ素摂取が必要と言われていますが一般に日本人の通常の摂取量は1日0.2~1.5mgと言われており、ヨウ素のことだけを言及した場合、含有量の多い昆布などで積極的に摂取する必要は無いと考えられます。
このことから甲状腺の疾患で有名な橋本病やバゼドウ病の方は、具体的な制限量を明示されないものの大量の摂取や積極的な摂取を控えるように指導されていると思います。
また、うがい薬・消毒薬・造影剤にも大量のヨウ素が含まれていることがあるので注意する必要があります。
上限量に関する資料として選んだ文献によりますと厚生労働省では成人でヨウ素が特別多く含まれると考えられる食品をのぞいて一日2.2mgを耐用上限量と発表しています。
※「日本人の食事摂取基準」(2010年版)微量ミネラル:ヨウ素より
http://www.mhlw.go.jp/shingi/2009/05/dl/s0529-4al.pdf
この2.2mgとは別に、海藻類で一日あたり5mg程度とる場合は問題ないという内容の記述がありますが、国がこういう表現をするのは、昆布の団体を刺激しない為でしょうか・・・
さらに
日本の症例報告としては、昆布の出汁を主とした28 mg/日のヨウ素の約1年間の摂取により甲状腺中毒症が発症した59 歳の女性の報告があると紹介していました。
ちなみに文部科学省栄養成分データベース※によると一日だし汁で28mgのヨウ素を摂取するのに口にする量は340gです。
この場合、吸い物なら2,3杯を毎日約一年で・・・というケースなのでしょうか。
また、素干昆布1gでヨウ素は2.1~2.4mgの数値です。
一般的な食材の栄養成分が気になる方はこちらを参考にどうぞ。
※文部科学省栄養成分データベースより
http://fooddb.jp/index.html
一方、業界団体によるものでは・・・
こんぶネット(社団法人日本昆布協会)http://www.kombu.or.jp/
~「よくある質問」より抜粋~
Q:昆布にたくさん含まれるヨード(ヨウ素)は、摂りすぎると甲状腺によくないと聞いたのですが…。
A:通常食べる量では、全く問題ありません。
脳の発達や身体の発育に必要な甲状腺ホルモンを作るために必要なヨード(ヨウ素)は、摂りすぎても足りなくても甲状腺機能が低下すると言われています。
ただ、長期間にわたり、連日大量に食べ続けるなど「過剰摂取」は控えて、ヨウ素が排出されるように間隔を空けたり、味噌や納豆、しょう油、豆腐などの原料となる大豆と一緒に取るなど、バランスの取れた食生活を心がけましょう。
とのことでした。
佃煮では昆布1gあたりヨウ素は0.1mg程度とされ、このことからも業界団体の言うとおり、毎日過剰に食べ続けない限り、通常食べる量では問題はないといえると思います。
また、ヨウ素の吸収をやわらげるとされる味噌汁などの大豆由来の食べ物は、昆布とのバランスにおいても近代の日本の食生活にとって重要な存在であることが伺えます。
ヨウ素や昆布の関係に限らず、理想的な栄養摂取の観点では極力バランスよく様々な食品を摂取することが望ましいとされています。
食べ物や栄養についても
過ぎたるは及ばざるが如しです。
どんな食品であっても
多くとりすぎる必要もないですし、
こまめに摂取することが一番よいですね。
栄養機能食品表示では
これを多量に摂取することにより健康が増進するわけではありません
という内容の決まり文句を表
示することが義務付けられていますが
日頃の食品の認識であっても
本当にそう感じます。
昆布は、
他の大切なミネラルも含まれ
なにより旨み成分グルタミンの宝庫です。
正しい知識と使い方で
有効に活用したいものですね。
和食ブームで、
大豆製品が海外で注目された場合、
食生活にヨウ素が不足している地域では
ヨウ素不足が
加速する可能性もあるのかもしれない・・・
なんてこともよぎってしまいました。
固有の食文化というのは
本当に奥が深いと感じます。