都内に通学する女子大生。

  

本業よりはアルバイトに励み、恋人がいて、友達もいる。

  

門限を破ったり守ったりしながら夜遊びや旅行にあけくれ、

  

テストのときだけ勉学にいそしむ。


就職のときに役立つかも?などと思い、フランス語を習ってみたりもする。

  

・・・という、まったくもってフツーの、


どこにでもいそうな女子大生のプロフィールに、

「脳内出血経験」というビックなネタが加わったのは、

  

21歳になったばかりの初夏のことだった。

夜9時頃、自宅二階の寝室で友人とおしゃべり。

そろそろ電話を切ろうとすると・・・

「また明日ね~ ・・・バイ・・・」  


 あれ?

  

バイバイのコトバが出ないんですけど?なんか体が傾くんですけど???




どうにかこうにか電話を切り、1階で野球中継を観ている父を呼ぶ。

  

「おと・・・・さ・・・」

  

「はいよー」

「おと・・・さ・・・・・・・」

「今みてるから後でー」

「おと・・・・・」

ここで声が途切れたのが功を奏したらしく

  

様子がおかしい?!と思った父が駆け上がってきた。後から弟もやってきた。




「どうした?」

この辺りからはもう、声が出なかった。

  

アタマの左側がひんやりして、どんどん体が右へ傾いていく。

でも、その異変を伝える言葉がでてこない。

そんな私を見て、父は言った。

  

「大丈夫だからね」

そして、弟に救急車を呼ぶように言った。

  

ベッドの上で倒れ、その10分後には救急車が到着した。

  



後でこの話を聞いた人は皆、

それ以上ラッキーな倒れ方ってないんじゃない?と言うが、

 

まったくその通りだと思う。

  

担架に乗せられた私は、救急隊員の華麗な患者さばきに

  

「階段上手に降りるな~」「あ、ポケベル忘れた~」


などとのんきなことを考えていた。

 

病院にいけばどうにかなるだろう。

  

そう思いながら、意識が遠のいていった。・・・・ていうとかっこいいけど、


たぶん寝ちゃったんじゃないかと思う。

小さな頃から、怖いことや嫌なことがあると、逃避して眠くなるタチなのだ。

次回は、病院に到着後のお話です。おたのしみに~。