毎日、蒸し暑い日が続いていますが、山の上で涼しげななお顔をしてたたずんでおられる方がいます。高崎百衣大観音です。そのお姿は優雅であり、華麗です。国内にはいくつか観音像がありますが、一番美しいといっても過言ではないでしょう。


城本クリニック高崎院山本博院長ブログ


この観音さまは、地元の井上工業の創始者である井上保三郎氏が昭和11年に建立したものです。この時代にして鉄筋コンクリート製、高さは約42mと12~13階のビルの高さがあります。もともと観音信仰が強かった井上氏は観光(高崎を訪れた人があれは何だろうと思う)、高崎歩兵第15連隊戦没者慰霊供養、国民思想善導のために巨額の私財を投じて完成させたそうです。なんとも頭の下がる話です。しかも2年後の昭和13年には高崎市に寄付してしまいます!すごい方ですね。また、この観音さまにまつわる有名な話があります。この観音像の原型は彫刻家の森村酉三氏が創作したものですが、池袋のアトリエから井上工業の東京支社があった日本橋まで観音像の原型を自転車で運んだのは、あの田中角栄さんなのです。当時、新潟から裸一貫で上京してきた田中少年は「見習い」として夜間学校に通いながら井上工業で働いていたそうです。角栄さんが上越新幹線に乗るたび、観音さまをみて顔をほころばせていたのは想像に難くありません。現在は、残念なことに駅前のビル群のため、高崎駅から観音さまを拝見することはできません。東京方面から新幹線を乗ってくると西側の山の上に立っていらっしゃるのが見えます。ところで、ヤマダ電機の会長さんもそろそろものすごく大きいものを造って寄付したりするのでしょうか。なんといっても群馬が誇る日本一の家電量販店にしてしまった方ですから。