1614年、大阪冬の陣において、豊臣方の真田信繁が大坂城の平野口に築城した出城です。単独で機能する小城砦で、甲州流築城術の丸馬出、西洋築城術の稜堡に相当。豊臣秀吉が築いた大坂城は上町台地の北端に位置し、周囲を淀川、大和川などに守られた堅城でしたが、南方だけは平坦な台地に空堀を設けたのみで、防御の手薄が弱点でした。1614年、豊臣氏と徳川方が一触即発状態となり、大坂方は諸国から浪人衆を募り、幽閉中の高野山から脱出して大坂城に入城した真田信繁は、積極的な出撃を主張するものの、大坂方は籠城策を採用。そこで信繁は南からの攻勢を想定し、平野口に独立した出城を築き、自らが守備につくことにより徳川方の攻撃を食い止めようとしたことが築城の背景です。
…というのが、定説でしたが、奈良大学の千田学長が2014年に「むしろ攻撃のための出城だった」と新たな見方を打ち出しました。さらに位置は現在の真田山公園近辺とされていましたが、中心はやや西の明星中学校・高等学校の周辺だったことが有力となりました。そんな真田丸で、信繁は、徳川方の前田利常、井伊直孝、松平忠直らの軍勢を挑発し、多く引き込み、散々に打ち破ることに成功しました。しかし、冬の陣の終了後、和議の条件により真田丸は破壊されてしました。翌年、再び大坂城攻めが始まった大阪夏の陣では、堀の無い大坂城は呆気なく落城。信繁も家康本陣に突撃したものの、あえなく失敗し安居神社で自害。享年49歳でした。

真田山公園を少し北に行った所に、宰相山公園という所があり、そこには、真田の抜け穴と言い伝えられている場所があります。現在、その抜け穴は入り口から数メートルで塞がっているようです。2016年1月10日より放送スタートしたNHK大河ドラマ「真田丸」では、どのような展開になるか楽しみです。

【近隣の高校】

明星中学校・高等学校

東京にある明星中学校・高等学校と区別する意味で、「大阪明星中学校」、「大阪明星高等学校」と表記されることが多いそうですが、正式名称はそれぞれ「明星中学校」、「明星高等学校」です。1890年、フランスのマリア会を母体とするカトリックのミッションスクールとして設立され、卒業生は2万人を超える進学
校です。2012年から、エスポアールコース・ルミエールコース制、学校週5日制による「土曜セミナー」（土曜日開設の希望制補講）を廃止し、6カ年一貫コース（特進コース・英数コース）・3カ年コース（文理選抜・文理）制にし、学校週6日制となっています。

※エスポアールは「希望」、エランは「飛躍」、ルミエールは「光」を、それぞれ意味するフランス語だそうです。部活動では、1970年代前半までは、野球部は夏の甲子園に合計8回出場するなど運動部が活発でし
たが、近年は、文化系部活動が盛んで、ディベート部や弁論部などが全国大会へ頻繁に出場しています。

第535号真田丸出城