前回に引き続き吉川家シリーズ3回目となりました。1313年、中央の激変する情勢を危惧した吉川経高が80歳の高齢ながら駿河東部から一族郎党を連れて、所領の一つである安芸国大朝に下向して築かれた城です。以後四代まで吉川総領家の居城となりました。縄張りは、比高30メートルの丘陵地にあり、南に伸びる2つの丘陵先端部を利用して築かれており、郭群は堀切や土塁を利用されていました。東西２か所の郭群に分かれ、谷間の東が本丸、西が二ノ丸と独立して配置されていました。この配置方法は小倉山城でも踏襲されています。
現在は、国指定史跡となっていますが、城跡丘全体が竹藪となっており、周りは田んぼに囲まれています。熊谷氏の伊勢が壺城のときもそうでしたが、中世初期の山城は、防御よりも若干、居住区として機能しやすいことを重視していたのかもしれません。おそらくこの時期の中国地方の合戦は、攻城戦より野戦が多く、籠城の必要性がそれ程なかったのだと考えられます。
【近隣の高校】
広島新庄高等学校
高等女学校、旧制中学を前身とする県北の伝統校として100年を越える長い歴史を持つ全国的にも珍しい私立高校です。島根県からの通学者もおり、日本海側の浜田市など近年では広域から生徒が集まっているそうです。昨年は、激戦区広島で、春の選抜で甲子園に初出場しました。著名な卒業生の傾向としてプロ野球選手も輩出していますが、歌手やデザイナーなど芸術方面の活躍が目立ちます。
