げんごろうのおねしょとおにたいじ | しのりの創作童話通り

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童話を書き始めたばかりのアラフォーが、これまで書いた童話をブログに載せています。
童話の中でも、特に好きなのは創作昔ばなしです(^^)

 むかしむかし、山おくのあるところにげんごろうという、はらがけ一まいだけつけて、いつもげんきいっぱいの男の子がいました。
 げんごろうは、きょうもまきわりをしたり、田うえやはたけしごとをしてくれるので、おかあさんも大だすかりです。
 そして、げんごろうのおうちにすんでいる子グマのクマきちもいっしょに手つだってくれます。


 げんごろうとクマきちには、サルやウサギなどのどうぶつたちといつもなかよくあそんでいます。
 げんごろうたちは、かけっこやつなひきをしたり、すもうをしたりしてあそんでいました。
 また、げんごろうは木のぼりがとくいなので、木にのぼってくだものをたくさんとってきます。とってきたくだものはみんなでなかよく分けてた
べました。


 そんなある日の朝のことです。
 「げんごろう、今日もげんきなおねしょをおふとんにえがいちゃったね」
 「おっかあ、きょうもでっかくてげんきなおねしょがいっぱい出たよ。すごいでしょ」
 おかあさんがにっこりえがおでげんごろうをほめると、げんごろうもげんきいっぱいのえがおでこたえました。
 げんごろうは6さいになっても、まだおねしょがなおりません。いつもおきたときのげんごろうのおふとんには、でっかいおねしょがえがかれています。そして、げんごろうのはらがけもおねしょでぬれています。
 でも、おねしょはげんきな男の子のシンボル。おかあさんも、クマきちも、げんごろうのおねしょをいつもほめてくれるので、げんごろうはおかあさんやクマきちのことが大すきです。


 そのとき、げんごろうたちの田んぼやはたけをメチャクチャにしようとするわるいやつらがやってきました。
 げんごろうとクマきちは、いそいで田んぼやはたけへ行ってみると、そこにはおにがふたりでだいじな田んぼやはたけをメチャクチャにしようとしています。
 「やい、おにどもめ、だいじな田んぼやはたけをメチャクチャにしようとしたな。ぜったいにゆるさないぞ」
 げんごろうは、おそってきたおにをもち上げてなげとばしました。クマきちも、もうひとりのおにのかおにつめでひっかきました。


 しかし、げんごろうとクマきちの目の前には、さらに大きいおにがあらわれました。大きいおには、田んぼやはたけをメチャクチャにしようとしたふたりのおにのおや分です。
 「おまえら、ちっちゃな子どもと子グマのくせに、子分にたいしてなまいきなことをしやがって」
 おにのおや分からそのようなことをいわれたげんごろうとクマきちは、おにのおや分にむかっていきました。


 クマきちは、おにのおや分のうでにかみつこうとしましたが、おにのおや分はクマきちをそのうででふりはらいました。
 「ぼくのだいじなお友だちであるクマきちをいためつけやがって、ぜったいにゆるさないぞ」
 げんごろうは、おにのおや分をもち上げようとしますが、なかなかもち上がりません。すると、おにのおや分は右足でげんごろうをけり上げました。げんごろうは、ちかくの木にぶつかってきをうしなってしまいました。


 げんごろうがきがついたときには、どうくつのかべに手足がぜんぶなわでくくられていました。げんごろうは、なわをほどこうとしますが、なわはかんたんにほどけないようにしているので、なかなか外れません。
 そこへやってきたのは、おにの子分でした。
 「わしらにはむかったやつは、子どもであってもただではすまないぞ。おまえのおかあさんは、わしらのおや分があずかっているからな、ふはははは」
 そういわれて、げんごろうもだまっていません。
 「ぼくのおっかあになにをしたんだ! 早くおっかあをかえせ!」


 「そうそう、お前に見せたいものがあったな」
 おにの子分が出したのは、げんごろうがでっかくてげんきいっぱいのおねしょをしたおふとんとおねしょでぬれたはらがけです。
 「ふはははは、お前は6さいになってもいまだにおねしょがなおっていないなあ。お前のおふとんにもはらがけにもおねしょがベチョベチョだし、ふはははは」
 おにの子分は、げんごろうがまだおねしょがなおっていないことを大わらいしながらいいましたが、げんごろうもまけていません。
 「おっかあは、おねしょする男の子はげんきな男の子だねとほめてくれるぞ。これからもでっかいおねしょをえがくぞ」


 「お前の手足をくくりつけているなわは、そうかんたんにほどけないぞ。今のうちにおかあさんのことをおもい出しておくことだな、ふはははは」
 おにの子分は、そういいながらどうくつのおくへさっていきました。
 「え~い、ううう~ん」
 げんごろうはなんども手足に力を入れてなわをほどこうとしますが、なかなかほどけません。いつもげんきいっぱいのげんごろうも、さすがにつかれてきたようです。


 すると、クマきちやどうぶつたちがげんごろうの目の前にやってきました。クマきちたちは、げんごろうとおかあさんをさがしているとちゅうで、おにの足あとがあったので、それをたどっていったらどうくつにたどりついたのです。
 「ぐううぅ~っ」
 どうやら、げんごろうはおなかがすいてきたそうです。クマきちやどうぶつたちもおなかがすいたので、どうくつの中へもちこんだ台車にいろんなくだものがたくさんありました。くだものは、げんごろうたちをさがしているとちゅうでとってきたものです。


 クマきちは、みかんをげんごろうの口の中に入るようになげました。げんごろうは、大きくあけた口でみかんをおいしそうにたべました。クマきちは、同じようにりんごやぶどうやかきといったくだものをなげると、げんごろうは大きな口でうけとってたべました。
 くだものをたべたげんごろうは、手足をくくられていたなわを自分の力でかんたんにひきちぎることができました。
 「げんごろうくんがいつもげんきなのが一ばんうれしいな」
 クマきちやどうぶつたちは、げんごろうがげんきでいることがなによりうれしそうです。みんなは台車にあるくだものをなかよく分け合いながらたべました。


 げんごろうたちは、おにのおや分につかまっているおかあさんをたすけ出すために、どうくつのおくへいきました。
 どうくつのおくには、おにのおや分のとなりに、なわで体をくくられているおかあさんがいます。ほかにも、子分ふたりがまわりをかこんで見はっています。
 げんごろうたちは、おにたちに見られないように岩にかくれています。ところが、リスが岩の上から見ようとしたとき、手をすべらせて岩からじめんにおちてしまいました。


 「おっ、うまそうなリスだなあ。きょうはおや分にごちそうを作ることができそうだな、ふはははは」
 おにの子分ふたりが、じめんにおちたリスを見つけると、子分のひとりがリスをわしづかみにしました。
 「さてと、大きななべのおゆの中においしそうなリスをしおゆでにしようかな」
 子分は、なきながらいやがっているリスを、目の前にある大きななべの中に入れようとします。そのとき、大きな石がリスをわしづかみにしている子分の手に当たりました。
 大きな石が当たった子分の手は、とてもいたいものだったので、わしづかみにしていたリスをはなしました。


 「おにどもめ、ぼくたちのだいじな友だちをいじめたな。ぜったいにゆるさないぞ」
 げんごろうは、おにの子分からにげてきたリスをもちながら立っていました。クマきちやほかのどうぶつたちも、げんごろうといっしょにいます。
 おにの子分ふたりは、げんごろうたちがむこうにいるのを見ておそいかかりました。げんごろうは、子分ふたりをまとめてもち上げると、おにのおや分のところへなげとばしました。
 おにのおや分は、あわててよけようとしましたが、なげとばされた子分ふたりにぶつかってしまいました。


 げんごろうは、おかあさんの体にくくられていたなわをほどくと、おかあさんは、クマきちやどうぶつたちがいるところにいきました。
 「よくもわしのだいじな子分たちをここまでいためつけやがって、わしは本当におこったぞ!」
 おこったおにのおや分は、げんごろうに向かっておそいかかりました。しかし、げんごろうはおにのおや分をうけとめると、力を入れてもち上げることができました。そして、げんごろうはおや分をどうくつのかべにめがけてなげとばしました。


 おにのおや分は、どうくつのかべにぶつかりましたが、おや分はじょうぶな体つきなので、すぐに立ち上がりました。おや分は、ふたたびげんごろうにむかっていきました。
 げんごろうは、おや分をもち上げようとしますが、こんどはおや分がりょううでをつかって、げんごろうの体を強くしめつけてきました。
 しかし、ここでまけるげんごろうではありません。げんごろうは、体をうごかしてなんどもおや分のりょううでをゆらすと、強くしめつけていたおや分のりょううでがゆるんだので、げんごろうはようやく出ることができました。


 げんごろうは、おにのおや分のりょうかたに自分の足をのせました。そのとき、げんごろうはおしっこがもれそうなひょうじょうを見せましたが、ひっしにガマンしています。
 すると、おや分が体をゆらしはじめたので、げんごろうはさか立ちみたいになりました。しかし、げんごろうは足をおや分の首のところにひっかけるとともに、おや分の体を手でもってささえています。
 ところが、げんごろうがさか立ちになったので、げんごろうがつけているはらがけが下にめくれると、げんきなおちんちんがまる見えになりました。


 「ふはははは、ちっちゃな子どもらしいおちんちんだなあ。子分からのはなしだと、お前はいつもでっかいおねしょをやっているようだな。お前がとてつもないほどの力もちであっても、おちんちんはまだまだ赤ちゃんそのものだねえ」
 おにのおや分は、げんごろうのおちんちんを見ながら、げんごろうのおねしょのことを大わらいしていますが、げんごろうもまけていません。
 「おっかあとクマきちが、いつもぼくのげんきなおねしょをほめてくれるから、おねしょしてもへいきだぞ」


 げんごろうは、いまにも出そうなおしっこをひっしにガマンしています。これを見たおや分は、げんごろうがさか立ちになったままでどうくつのかべにむかっていきました。
 「わしの子分たちをどうくつのかべになげとばしたのと同じように、お前もなげとばしてやるからな!」
 おにのおや分はそういいながら、げんごろうをなげとばそうとしますが、げんごろうはさか立ちになりながらもおや分の体を手でもっているので、なげとばすことはできません。


 すると、げんごろうは体に力を入れると、右足と左足をつかっておにのおや分のかたを強くけり上げました。おにのおや分は、げんごろうに強くけり上げられたかたがかなりいたくて、前へいきたくてもすすむむことができません。
 そのとき、げんごろうのおしっこがついにガマンできなくなりました。
 「ジョバジョバジョバジョバジョバジョバアアアア~」
 「うわっ、わしのかおにおしっこをいっぱいかけやがって…。やめろ、やめろ」
 げんごろうはくだものをたくさんたべすぎたので、さか立ちになったままでたっぷりのおしっこがおにのおや分のかおにめいちゅうしました。


 げんごろうは、おにのおや分がかおにおしっこをかけられてあわてているすきを見て、じめんへとびおりました。おにのおや分は、あわててげんごろうをつかまえようとしましたが、あまりにもあわてていたのか、あやまっておなべのおゆの中に右足を入れてしまいました。
 「あついあつい、本当にあついっ!アッチチアチチ…」
 おにのおや分はおなべのおゆに右足を入れると、やけどをするくらいのおゆのあつさに、すぐに上へとび上がりました。そして、おや分は右足がやけどしそうなくらいあつくなったので、右足を上げたままでとびまわりました。おや分は、やがて右足があついのがおさまったのか、じめんにぺたりとすわりこみました。おや分はげんごろうの強さにすっかりまいってしまいました。


 げんごろうがぶじだったので、おかあさんやクマきち、そのほかのどうぶつたちは大よろこびです。
 「おにどもめ、まいったか! これからはぼくたちの田んぼやはたけをメチャクチャにするんじゃないぞ!」
 げんごろうとクマきちがこういうと、おにのおや分と子分はげんごろうたちにたいして、すなおにあやまりました。
 「これからは、田んぼやはたけをメチャクチャにすることはしません。どうかゆるしてください…」
 おにたちが心からはんせいしているのを見て、げんごろうたちもおにたちをゆるしてあげることにしました。


 げんごろうたちは、長いどうくつから外へ出ると、すっかりと日がくれていました。げんごろうは、おにたちとのたたかいでつかれたのか、どうくつから外へ出るとすぐにすやすやとねむってしまったようです。
 「げんごろうは、おかあさんをたすけるためにおにたちとたたかったからね。ふふふ、どんなゆめを見ているのかな」
 おかあさんは、げんごろうのぐっすりねむっているかわいいかおを見ながらほほえんでいました。


 「おっかあ、ここはもしかしておうちなのかな?」
 「げんごろう、おはよう。長い時間ぐっすりとねむっていたね」
 おかあさんは、げんごろうが目をさましたのを見て、にっこりとしたえがおでいいました。ぐっすりねむっていたげんごろうを台車にのせて、おかあさんやどうぶつたちといっしょにおうちにもどってきたそうです。
 げんごろうが目をさましたときには、すでに日がのぼって外からも青空が見えています。
 げんごろうはおにたいじができたのはクマきちやどうぶつたちのおかげとかんしゃすると、クマきちやどうぶつたちもおかあさんをたすけてくれたげんごろうにかんしゃしました。


 おかあさんは、いつものようにげんごろうのかけぶとんをめくりました。かけぶとんをめくると、げんごろうのおふとんにはげんきいっぱいのでっかいおねしょがベッチョリとえがかれていました。おふとんだけでなく、げんごろうがつけているはらがけにもおねしょでいっぱいぬれています。
 「げんごろうのおねしょはきょうもベッチョリとでっかくえがいたね」
 「おっかあ、きょうはおにのおや分のかおにおしっこをめいちゅうさせたゆめを見たよ。きょうのおねしょもでっかくてげんきいっぱい出たぞ」
 おかあさんがにっこりえがおでげんごろうのおねしょをほめると、げんごろうもおき上がってげんきいっぱいのえがおを見せながらこたえました。


 おかあさんは、げんごろうのでっかいおねしょをしたふとんをおにわのものほしにほしています。おにわには、げんごろうだけでなく、クマきちやどうぶつたちもあつまってきました。
 ものほしにほされているげんごろうのおふとんは、まさにげんきな男の子らしいげんきいっぱいのおねしょ。
 「ふふふ、げんごろうはみごとなおにたいじをしておかあさんをたすけたね。そして、今日の朝はげんきな男の子らしいみごとなおねしょをえがいたね」
 おかあさんがげんごろうをほめましたので、げんごろうもうれしそうなひょうじょうを見せました。
 「おっかあ、これからもまいにちでっかいおねしょをおふとんにえがくよ。そして、でっかくてげんきなおねしょをおっかあやクマきちに見せてやるんだ」
 げんごろうがいつものようにはらがけ一まいだけでげんきなところを見せてくれるので、おかあさんもよろこんでいます。


 げんごろうは、きょうもクマきちやどうぶつたちといっしょに木のぼりをしています。
 木のてっぺんまでのぼったげんごろうは、たくさんのくだものをとってきました。クマきちやどうぶつたちは、ひとりで高いところまでのぼっていくげんごろうはたのもしい男の子なのでみんな大よろこびです。
 「くだものをいっぱいとってきたからいっしょにたべようよ」
 「げんごろうくん、あしたもでっかいおねしょがえがいたおふとんをたのしみにしているよ」
 みんなでワイワイとくだものをたべているとき、クマきちはげんごろうのでっかいおねしょのおふとんをたのしみにしていることに、げんごろうは「でへへ」とてれながらわらっていました。



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