オリジナルビーダマン物語 第8話 | ユージンの競技玩具とかやる所

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爆砕ショット!ビースピリッツ!!



第8話「準備万端!挑め、ヒンメルカップ!!」




 ヒンメルカップ前日。
 仲良しファイトクラブ練習場。
 シュウは、リングの真ん中でピッチングマシンのような機械四台に囲まれている。

「よし、行くぞシュウ!準備はいいな!?」
 マシンのスイッチのようなものを持って、タケルがシュウに合図する。
「おう!いつでもオッケーだぜ!!」
 リングの上でシュウが応える。
「一応安全装置は付いてるけど、十分注意してね!」
 タケルの横で彩音が心配そうに言う。
「大丈夫大丈夫!」

「よし、スイッチオン!」
 タケルがスイッチを押す。
 すると、四台のピッチングマシンが作動し、ビー玉を物凄い勢いで射出した!
 四方向から射出されたビー玉は真っ直ぐにシュウへと迫ってくる。
「今だ!」
 その動きを見切ったシュウは、小さく飛び上がり、路面に向かって発射する。

 ドゴォ!!
 ショットの反動でシュウは大きくジャンプして、四発の玉をかわした。
「いっけぇぇ!!メテオールバスター!!!」
 そして、そのままの状態でメテオールバスター発動。
 ピッチングマシンの後ろにある、ヒンメルの似顔絵が描かれた板をブチ抜いた。
「やったぜ!!」
 着地したシュウはガッツポーズして、リングから降りる。

「やったじゃねぇか!成功だぜ、シュウ!」
「あぁ!これも、みんなのおかげだぜ!!」
「ううん、シュウ君の努力の賜物だよ。ずっとDVD見て研究してたもんね」
「へへへ、それでも実戦練習できなきゃ意味無かったからさ。あやねぇの開発したビー玉発射装置『シュー太君』はすげぇぜ!」
「ほんと、ビーダーのデータをプログラミングしたら、そのショットを再現できるマシンなんて、お姉ちゃんいつの間に作ってたのよ」
 先ほどのピッチングマシンみたいな機械は彩音が開発した練習用のメカだったらしい。
 それを四方向に囲むように設置したのはリングエンゲルの再現のためだったのだろう。
「出来たばかりだから、上手く作動するか心配だったけどね」
「あやねぇが作った機械ならそんな心配ねぇよ!とにかく、これでリングエンゲルの対策はバッチリだぜ!あぁ、ヒンメルと戦うのが楽しみだ!!」
 シュウは、リングエンゲルを攻略出来た事で気分上々なようだ。

「まぁ、その前に大会勝ち抜かないと意味無いんだけどな。っつーわけで、次はチームプレイの練習だ!」
「おっと、そうだった……!」
「まだチームとしては経験が浅いからしっかり練習しないとね」
「そうだな。彩音さん、ターゲットバグの準備をお願い!」
「うん、了解」
 言って、彩音は奥の部屋に入っていく。
「彩音さんがバグ持ってくる前に俺たちはシュー太君を片付けとくぞ」
「おう!」
 タケルと琴音とシュウはリングに上がって、シュー太君の片付けをした。
 それと同時に彩音が戻ってくる。両手に大きな袋を抱えて。
「お待たせ~!とりあえず50個用意したけど、これだけあれば大丈夫かな?」
 抱えているポリ袋の中にターゲットバグ成るものが入っているのだろう。
「ああ、十分十分!それじゃ、まずはチームプレイの基本フォーメーション、『三角フォーメーション』の練習から行くぞ!」

 三角フォーメーション、それは読んで字の如く、三人で三角になるように固まって動く形態だ。
 機動力は下がるのだが、360度どの角度からも攻撃、防御が可能になる。

「それじゃあバグをリングに放流するね」
 ターゲットバグとは、自走式のターゲットだ。
 不規則に動くので、練習には持ってこいの機械だ。

「よし、フォーメーション組むぞ!」
 リングに上がった三人が三角フォーメーションを組んだ。
「最短で全てのバグを倒すんだ!なるべく満遍なく、狙う場所が誰とも被らないように注意しろよ!」
「おう!」
「りょーかいっ!」

 ドギュ!ドギュッ!!
 三人が協力してバグをどんどん倒していく。なかなか良いペースだ。

「いっけー!!」
 そして、ブレイグが最後の一個を倒す。
「はい、終了!」
 タイムを計っていたらしい。彩音がストップウォッチのボタンを押す。
「ふぅ……」
 三人は一息ついて汗を拭った。
「彩音さん、タイムは?」
「3分25秒。なかなか良いタイムね」
「う~ん、でもまだまだ伸びそうだな。皆、もういっちょ行くぞ。大丈夫か?」
「おう、全然平気だぜ!」
「こっちも、やっと体があったまってきたとこよ!」
「よし!」
 再びバグをセットして、スタート。

「いっけぇ!!」

 ドギュッ!ドギュッ!ドギュッ!!

 さっきよりもハイペースで三人がバグを倒していく。
 そして、また最後の一個が倒された。

「3分11秒。うん、新記録!良い調子ね」

「ひゅ~、新記録か!こりゃ、日頃の成果が出てきたな」
「始めたばかりの頃は味方同士でビー玉がぶつかりあったりして、全然息合ってなかったのにね~」
「シュウが意外と飲み込み早かったからな」
「へへっ、ヒンメル研究と同じくらい、チームプレイの練習もみっちりしてきたもんな、当然だぜ!」
「タケル、今日の練習はこれくらいで良いんじゃない?あまりやりすぎても明日に響くし」
「そうだな。あとはこの良いコンディションを明日まで維持するだけだ。健康管理には注意しろよ」
「分かってるって!」
 三人がバグを片付けつつリングを降りる。

「ふぅ、練習終了したことだし、お疲れブレイグ!バッチリメンテしてやるぜ!」
 備え付けのテーブルについて、ブレイグを分解する。
「えぇ、っとまずはトリガーから~♪」
 グリスを取り出して接触部分に塗りたくる。
「あぁ、そうじゃないでしょ。グリスは、一旦綿棒沁み込ませてから」
 彩音が慌ててシュウに駆け寄る。
「あ、そっか」
「ちょっと貸して」
 彩音はシュウと密着しながら、丁寧にグリスアップしてくれた。
「……はい、オッケー」
「ありがとう!でも、まだまだメンテは苦手だな……」
 ガックシと項垂れるシュウ。
「まぁ、そこは彩音さんの専売特許だからな」
「ちぇ~」
 シュウはなんとなく悔しくなって口を尖らせて見た。
「みんなの機体もチェックするから。持ってきて」
「うん!」
 琴音とタケルも彩音に機体を差し出した。
 彩音は二人の機体も念入りにチェックする。
「……うん、特に問題ないみたいね。明日のバトルは最大限の性能を発揮できるはずよ」
 そう言って、二人に機体を返す。
「ありがと、お姉ちゃん」
「彩音さんの太鼓判付きなら、心配無用だな。明日のバトルは俺たち次第ってわけだ!」
 練習も、機体も、準備は万端だ。あとは明日になるのを待つだけ。
「くぅぅぅ!!なんか明日が待ち遠しくなってきたぜ!!」


 そして、夜。竜崎家。
「おかわり!!」
 夕飯時。シュウは勢い良くご飯を掻き込んで、口をモゴモゴさせながら茶碗を父に差し出した。
「おぅ、なんかいつになく良く食うなぁシュウ」
 シュウの喰いっぷりに感心しながら、父は茶碗にご飯をよそう。
「へへへ、なんせ明日は大事な試合だからさ!たくさん食べて体力付けとかないと!」
「そうか!なら、大盛りにしてやらねぇとな!!」
 言って、よそった茶碗にさらにご飯を持ってシュウに手渡した。
「お、おぉ!大量だぜ~!」
 予想以上の大盛りっぷりに多少たじろぎつつも、シュウはがっつきだした。
「しかし大事な試合か……だったら、取って置きのアレを出してやるかな」
「あれ?」
 ご飯粒を頬にいっぱいつけながら、シュウが顔を上げる。
「あぁ、俺も連勤が続くような忙しい時の前に必ず出すアレだ」
「???」
「ちょっと待ってな」
 そういって、父は立ち上がって冷蔵庫へと向かった。
「え~っと、コレコレ」
 冷蔵庫から、大瓶を取り出して、それをコップに注いで持って来た。
「ほれ」
 コップをシュウに渡す。コップの中は毒々しい薄黄色の液体で満たされている。
「なに、これ……うっ!!」
 なんともなしに臭いを嗅いで見たら、強烈な刺激臭に思わず顔を顰めた。
「すっぽん汁とマムシエキスとお酢とウナギダシをリポビタソDの中に入れてかき混ぜた、父ちゃん直伝の特製スタミナドリンクだ!ガッチリ体力つくぜぇ!!」
「うぇぇ……こんなの飲めるかよぉ!」
「飲め!お前、世界一になるんじゃなかったのか!?」
「っ!!」
 そうだ。父は嫌がらせをしたくてこのドリンクを出したんじゃない。シュウの勝利を願ってこそのドリンクなんだ!
 それなのに、飲めないなんて言ったら、ヒンメルにだって勝てないんじゃないのか!?
「わ、分かった、飲むぜ!飲んでやる!そしてヒンメルに勝つんだ!!」
「おお!その意気だ!」
「いっくぜぇ!!」
 十分気合いを入れてから、煽るようにコップに口を付けた。
「んぐ…んぐ…んぐ……ゴックン!」
 あの、毒々しい液体をついに飲み干してしまった。
「うえええぇぇぇ……」
 さすがに、吐き気がするようだ。
「どうだ、美味いか?」
 えずいている人間に聞く言葉じゃないと思うが。
「ぇぇぇ……あれ、美味い?」
「だろ?」
「最初気持ち悪かったけど、飲み干したら後味最高!父ちゃん、もう一杯!」
「ああ、ドンドン飲め!!」
 父は次々とドリンクをコップに注いでいった。

 ……。
 ………。

 そして、大会当日の朝10時30分。クラブの四人は、中央線を使ってJR水道橋駅へとやってきた。
「ついた~!ここが、会場への最寄り駅かぁ!」
 改札を抜けて、シュウは大きく伸びをする。
「あぁ、この先にある東京都ドームがヒンメルカップの会場だ!
受付は確か、東京都ドームタウンって言う遊園地の受付がそのまま大会の受付になってるって書いてあるな。って事は遊園地自体も大会に使うって事か?」
「遊園地を貸し切って運営するなんて、随分と規模が大きいのね……」
「なんだ、残念。大会終わったらちょっと寄ろうと思ってたのに」
「お前なぁ……」
「冗談よ、冗談」

 東京都ドームは、この東京都でもっとも大きいドームだ。
 そして、ドームを中心に、その周りを囲むように運営されているのが、『失楽園東京都ドームタウン』と言う超巨大遊園地だ。

 そんなこんなで、四人は会場へと辿り着いた。
 会場は競技参加者達でごった返していた。
「うひゃ~、結構参加者いるんだなぁ~!」
 思ってた以上の盛況っぷりにシュウが感嘆する。
「まぁ、東京都の正式登録クラブ全部を招待したんだとしたら、相当な人数になるだろうからな」
「これじゃ、予選でかなり絞られそうね」
「だな……。とりあえず受付しようぜ」
 受付に向かう。
 招待券を見せて、競技者の名前を伝えるだけで簡単に終了した。
 あとは、大会が始まるのを待つだけだ。

「それじゃみんな、頑張ってね」
 彩音がその場から去ろうとする。
「あれ、あやねぇどこいくの?」
「選手以外は先に東京都ドームの観客席にいかなきゃいけないみたいだから」
「そっか、あやねぇいないのはちょっと心細いな」
 もし試合中に機体が故障したとしても彩音のサポートは受けられない。
「何言ってんのよ、情けない」
「試合中にサポーターがいないのはどこも一緒だ。ちゃんと彩音さんに整備の仕方とか教えてもらっただろ?」
「ん、まぁそうだな。あやねぇ!観客席で見ててくれ!」
「うん!しっかり見てるよ!それじゃあね」
 手を振って、彩音は観客用の順路に従ってドームへと向かっていった。

 しばらくすると、スピーカーから若い男の声が聞こえてきた

『みんなー!ビーダマン東京都大会、ヒンメルカップへようこそ!僕は司会進行を務める、ビーダマスタージンだ!宜しくな!!』

 声がした方を見るとステージの上に、ビーダマスタージンと言うオフィシャルキャラクターが立っていた。
『今回ヒンメルカップに招待されたのは全部でなんと83チーム!』

「げぇ、そんなにいるのかよ……」
「実際もっと数は多いはずだから、これでも厳選された方なんだろうな」

『さすがに、いきなりこのチーム数でトーナメントを組むのは厳しいので、本戦に行く前に篩いにかけるぞ!』

「やっぱ予選はやるんだな……」

『予選は、全部で二回!第一次予選では、上位20チームまで絞り、二次予選でこれが4チームに絞られ、この4チームで本戦トーナメントを戦ってもらう!!』

「83チームが、二回の予選でたった4チームかよ!?」

『そして、優勝チームが特典として世界チャンピオンのヒンメル選手とバトルする資格を得るぞ!!それでは、ヒンメル選手、お願いします!』
 ヒンメルがステージに現れる。
『皆様、本日はお越しいただきありがとうございます。僕はこの中の最強チームと戦えるのを楽しみにしています。頑張ってください』

「ヒンメル……!絶対に辿り着いてやる!!」

 ヒンメルはペコリと頭を下げるとマイクをジンに返してステージを降りた。
『はい、ありがとうございました!と、言うわけで皆頑張ってくれ!!そんじゃ、まずは一次予選の説明からだ!!』

「83を一気に20に絞る予選。一体どんなルールだ?」

『一次予選の会場は、ドームタウン遊園地の近くにあるこの東京都ドームゲームセンターだ!この中には、ビーダーの腕を試す競技フィールドが三つ用意してある!
それをプレイしてもらい、総合得点で上位チームを決めていくぞ!!』

「なるほど、得点系のレース競技って事か」

『それじゃあ、競技の説明だ!一つは、パワープレイ!重さ100gの三角パックを30cm離れた場所から一発撃ってもらい、その飛距離を競うものだ!1cm飛ばすごとに1ポイントだ!』

「おっ!俺にピッタリの競技じゃん!」

『次は、連射プレイ!!制限時間20秒経ったら閉まってしまうゲートの向こう側にビー玉をいかに多く入れるかを競うものだ!一発ごとに一ポイントだぞ!』

「これは、あたし向きね」

『最後はコントロールプレイ!ビー玉1,5個分の幅しかない一本橋にビー玉を撃ち、どこまで進ませられるかを競う!これは、10cmごとに1ポイントだ!」

「なるほど、直進性が大事になるわけか」

『これら三つの競技を各チーム、一回ずつプレイしてもらう。誰が何の競技をプレイするのかは自由だ!三人で一つ一つ分担してもよし、一人が何回もプレイしてもよしだ!』

 ジンの説明が終わり、各チームがぞろぞろとゲームセンターに入っていく。
 仲良しファイトクラブもそれに続く。
 ゲームセンターの中は意外と広く、83チーム全員が入ってもあまり窮屈さがなかった。
 そして、競技用のフィールドもかなりの数が用意されていて、順番待ちにイライラすることもなさそうだ。

「さて、誰が何の競技をするかだが……まぁ、ウチの場合はそんなに悩むことも無いか」
「そうね、分かりやすく役割が分担されてるし」
「って事で、早速行ってくるぜ!」
 シュウは意気込んでパワー競技のフィールドにつく。

「いくぜ、ストライクブレイグ!!」
 パックに向かってパワーショット炸裂!!
 見事に命中したパックは、勢い良くぶっ飛んでいく。
「よし、いい感じ!!」
 記録は、114cm。つまり114ポイント獲得だ。
「おっしゃ!いきなり高得点ゲットォ!!」

「へぇ、やったなシュウ」
「なかなかやるじゃない。じゃ、次は私の番ね」
 琴音が連射競技用のフィールドにつく。
「いくわよ……!」
 フィールド先のゲートが開き、カウントがスタートする。
「スパークグルム!!」
 ズドドドド!!
 スパークグルムから怒涛の連射が繰り出される。
 そして、20秒経過。
「ふぅ」
 一息つく。
 結果は、105発。105ポイント獲得だ。
「まぁ、こんなもんかな」
「おぉ、すげぇ!」
「腕を上げたな、琴音」
「まぁね」

「さて、次は俺が行くか」
 タケルがコントロール競技用のフィールドについた。
「あれ、グリップつけないの?」
 シフトレックスはノーマルモードのままだ。
「あのグリップは動いてる時に安定させるためのものだ。こういう、静止状態での狙いは力が伝わりやすいノーマルモードの方が有効だ」
「へぇ~」

 タケルはじっくりと狙いを定める。
(この競技は橋を真っ直ぐ進むためのコントロールだけじゃなく、遠くまで進ませるためのパワーも必要になる。
アクセルタイプのコアを装着しているレックスには、お誂えだ!)
 ドンッ!!
 レックスのドライブショットが真っ直ぐ橋を進んでいく。
 ガッ!すぐにフィールド端にある壁にビー玉がぶつかる。これが限界だ。
 記録は15m。つまり150ポイント獲得だ。

「よし、満点」
「さすが」
「すげぇな、全然狙いがブレてなかった。もっと長いフィールドだったらもっと遠くまで飛ばせてたのに」
「まぁ、そこまでのスペースをこの会場で求めるのは酷だろ。とりあえず、高得点を出せて予選通過できるならそれでいい」
 これで、全競技終了。危なげもなく高得点を獲得できた。
 仲良しファイトクラブの合計得点は、371ポイントだ!

『さぁ、いよいよ集計結果が出てきたぞ!選手の皆はモニターに注目してくれ!!』
 モニターに上位20チームの得点が表示される。

「えっと、俺たちは……あった!」
 仲良しファイトクラブは、上から三番目に名前が書かれてあった。
「なんだ、楽勝でクリアじゃん!」
「あぁ。だが俺達よりも上位が2チームある」

 一位はチームバスターズ。得点は400
 二位はチームマイスイートシスターズ。得点は383

「それに下位のチームも殆ど差が無い。二次予選は厳しい戦いになるだろうな」
「直接対決で負けたわけじゃないんだ!トーナメントで当たったら絶対に勝つ!」
「そうだな。とにかく、今は順位より予選通過する事だけを考えればいい」

『みんな、一次予選の結果はちゃんとチェックできたかな?
それでは、二次予選の説明をするぞ!一次予選通過者は良く聞いてくれ!
二次予選は、東京都ドームの周りにある『失楽園東京都ドームタウン遊園地』のアトラクションを改装したものを使用したサバイバルレース!
全部で20個ある入り口から各チームが一斉にスタートして、中央の東京都ドームを目指してもらう。
そして、東西南北の四つの入り口に一つずつ設置されているターゲットを撃破したチームが予選通過だ!』

「サバイバルレースか……って事は、道に迷ったりとかもありうるのか?」
 ビーダーの誰かが言う。
 ジンはその言葉を拾った。

『そこは大丈夫!各所の床や看板に、最も近い入り口へ向かうための矢印が記されている!その通りに進んでいけば、必ずゴールへ辿り着くことが出来るぞ!
ただし、そこまでの道のりは、アトラクションをビーダマンバトル用に改装した仕掛けが満載だ!一筋縄じゃクリアできないぞ!』

「仕掛けは気になるが、道に迷う心配が無いならガンガン進んで行ったほうが有利だな」

『それともう一つ!各ビーダーには、自分の分身となるシャドウボムをつけてもらう!』
 言って、ジンはオワン型の黒いメカを取り出した。
『こいつは、赤外線で登録したビーダーを追尾するターゲットだ。
こいつにビー玉をぶつけた場合、それを感知する機能がある。今回は一発当たったら爆発するようにセットしているぞ!
シャドウボムが爆発したビーダーは、その時点でリタイヤ!以降のバトルに参加できないぞ!もし、爆破した後にビー玉を発射した場合はそのチームは即失格だ!
早い者勝ちのレースとは言え、他のチームと万が一遭遇してしまった場合は、シャドウボムを撃ち合うSHBに発展する事は必至!過酷なバトルになる事は間違い無しだ!』

「ただゴールを目指すだけじゃなく、相手を蹴落とす事も考えないといけないのか……」

『そんじゃ、一時間のインターバル後に二次予選を開始する!
それまでに各チームは、一次予選の順位と同じ数字のゲートへと向かってくれ!あ、バトルフィールドにトイレは無いから、今のうちに行っておけよ!』

 ジンの説明は一旦終了し、各チームがザワザワと動き出す。
「さて、時間あるし飯にするか!」
「あ~、もう昼時か。腹減った~」
「あんた達には緊張感って言葉が無いのね……」
 試合前だと言うのにのんびりとしている二人に琴音は呆れながら呟いた。
「何言ってんだ、お前だってそうだろ。腹が減っては戦はできぬって奴だ」
「そうそう、できぬできぬ!さて、何食おっかな~っと」

 そして、一時間後。
 仲良しファイトクラブは、第三ゲートについていた。
「でっかい門だなぁ」
「開かないと中の様子は見えないって事か」
「あの遊園地を、どんな風に改装してるんだろう……?」
 思案しているうちに、ジンの声が響く。

『さぁ、二次予選開始まであと1分だ!スタートの準備をしていてくれよぉ!!一度門をくぐったらもう戻れない!!覚悟を決めておけぇ!!』

「ワクワクしてくるぜ!」

『開始まで、あと10秒!……5、4、3、2、1、スタート!!』
 ゴゴゴゴゴ!!
 地響きを鳴らしながら、ゲートが開く。
 その、先に広がっていたのは……!

「遊園地じゃん」
 楽しげな、ただの遊園地だった。
「なんだよ、過酷なレースとか言うから期待したのに」
「まぁ、遊園地全体を改装ってなるとかなり費用も掛かるからなぁ。こんなもんだろう」
「ちぇ、期待はずれだぜ」
 ガックリしながら進んでいくと、早速一つの建築物が見えてきた。
 あれは……。
「コーヒーカップ?」
 床と巨大なカップがグルグル回る、あのコーヒーカップだった。
「やっぱり遊園地だな。まぁいいや、とにかく先に…ってあれ?」
 良く見ると、コーヒーカップの入り口以外は全部壁で塞がれており、先に進めないようになっていた。
「なるほど、先に進むにはこの中に入るしかないって事ね」
「こういう所に、ビーダーを足止めする仕掛けがあるんだろうな」
「よし、ビビッてても仕方ねぇ!行くぜ!!」
 ダッ!とシュウが駆け出す。
「お、おい!」
 タケルと琴音もその後に続く。

 三人が入り口を通過した瞬間、ビーーと何かセンサーが反応したような警告音が鳴った。
「?」
 と、同時に床とコーヒーカップが、猛烈な勢いで回転しだした!
「う、うわわ!なんだぁ?!」
「くっ、入り口通過した瞬間に作動するようにセットしてあったんだ!!」
「ぐぉ、立ってらんねぇ……!」
「出口は、どこ……!」
 三人がコーヒーカップの縁を掴みながら、なんとか立ち上がる。
「あ、あそこ…か!でも塞がってないかぁ!?」
「きっと、出口を開けるための装置が、どこかにあるんだ……!」
 ヨレヨレになりながら、辺りを見回す。

「あ、あれじゃない!?」
 琴音が指差した方にあるコーヒーカップの上に『出口』と書かれたターゲットが置かれていた。
「よし、あれをビー玉で撃ち落せばいいんだな!」
 チャキ……!
 シュウがブレイグを構えて、撃つ!が、ビー玉は全く検討違いの方向へ。
「うぅ、こんなとこじゃマトモに狙えねぇ!」
「回転の遠心力で、方向感覚なくなってる上に、ターゲットは常に動いてるからな……!」

『さぁ、いよいよ始まった過酷な第二次予選!最初の難関で早く皆大苦戦しているようだ!!
だが、これはほんの序の口!これから、一体どんな展開が繰り広げられるのか!?』




      つづく

 次回予告

「コーヒーカップにローラーコースターにお化け屋敷に……!
遊園地がこんなに怖いところとは思わなかったぜ!!
だが、怖いのは遊園地だけじゃなかった!なんだぁ、あのビーダーは!?

 次回!『サバイバル!危険がいっぱい遊園地バトル!!』

熱き魂で、ビーファイトォ!!」