TPPが始まると、国内のお米の価格が外国の安いお米にとってかわられるんじゃないかとか、外国の安い価格に引き込まれて下がるんじゃないかと色んな憶測がありますね。また、「いやいや、国産の安全で美味しいお米は外国の安いお米が入って来ても心配ない!今まで通り売れるはず!」「逆に海外に打って出て販路が増える」って意見もあります。

これを踏まえて、米屋から見た意見をお話ししたいと思います。2012年現在、稲作に従事している人の平均年齢は、ナント69.9歳です。私のお店で生産を依頼している農家さんも高齢化の一途です。次の担い手がいる農家さんはごくわずかなのです。今の米価では、生活していくだけの収入はありません。では、稲作を続けられなくなったところはどうなるか?現在では、比較的若い農家さんに田んぼを預けて生産してもらう方法が一般的です。しかし、これも受け入れる農家さんにも限界があり、引き受け手が見つからなくなっています。食生活の変化によりお米の消費量は減少を続け、この先米価が上昇する見込みは全くありません。生き残る生産者はごく一部、耕作放棄地がどんどん増えるのではと危惧します。TPPでどうなるかということは、現状の生産能力に照らし合わせたものでしかなく、辞めていく生産者がどの程度あって、辞めていく度合いによってどうなるかの検証がなされていない気がします。近い将来、生産者が急激に減り国産のお米が足らなくなる可能性があるのではと、とても心配です。写真は、耕作放棄地だった田んぼを再生した福井県の棚田です。10年放棄すると木が生えたりして、元の状態に戻すのは重機が必要なほどなんです。