医療新気功

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中国の医学気功の実践をしています。気功のパワーと豆知識と、ちょっぴり不思議も!

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4月20日からのは二十四節気のひとつ穀雨です。辰の月(旧暦3月)の中気(月の頭にくる正節に対して月の半ばにくる節気をいう)を示すもので、百穀を潤す雨が降ると言われています。

また春の最後の節気となります。

 

元来は月の満ち欠けの一巡を以て文字通り「月」としていましたが、これだと地球の公転(天球の横道の一周)とのズレが生じて、月と季節の対応がうまくいかないので、夏至と冬至、春分と秋分、立春・立夏・立秋・立冬などの点に対して黄経を24の区分に分けて、季節と月のズレを補ったのが二十四節気となります。

 

 

この穀雨にはおもしろい逸話があります。

 

漢字の祖である蒼頡が、鳥獣の足跡を見て文字(文とは象形文字、字とは形声文字を指す)を作ったことを褒めたたえた黄帝(中国の伝説の王。家屋・船・車・衣服・弓・医術の祖)が褒美を問うたところ、五穀豊登(五谷丰登。五穀豊穣のこと)が欲しいと返事をしました。

すると黄帝は百穀を雨の如くに降らせたというお話です。

 

 

この黄帝が百穀を雨あられと降らせた雨のように、穀物の実りをもたらす潤いの雨が、この穀雨の時期に降る雨となります。

 

 

この時期の雨を受けて、穀物は芽吹き、またその芽はすくすくと育ち、その後の豊穣をもたらすとされています。

 

蒼頡が文字を作ったことについては『淮南子』に「昔者、蒼頡作書而天雨粟、鬼夜哭。」という記述があります。

いろんな解釈がありますが、実にシンプルに「蒼頡が文字を作ったところ、天は穀物を多く降らし、死霊や悪鬼は働きを封じられて夜に泣いた」説をここでは採用しておきます。

 

漢字の始まりはご存知のとおり「甲骨文字」であり、亀の甲羅や動物の肩甲骨などに文字を刻んだわけです。日本でも太占(ふとまに)として知られる亀卜(きぼく)や卜甲(ぼっこう)・卜骨(ぼっこつ)を支える模様として文字は形成されました。

 

つまりは天の真理を表す形であり、大いなる呪物が文字の原型になります。

 

したがって、古文書もですが、甲骨文字や金文などの成り立ちを読み解くこと自体も、この世の真理を見通すことになります。

 

今でも中国文化圏では「惜字炉(せきじろ)」というものがあって、文字で書かれたものは、丁寧にお焚き上げする風習があります。

当然、それ以降の文字の発達の歴史を見ても、人間の智慧の集積であり達成自体が文字なので、智慧を尊ぶということにもなります。

 

惜字炉

 

さて、気功の「気(气)」の字ですが、甲骨文字では数字の「三」のような字を書きます。漢字の意味を記した『説文解字』によると「雲气」となっていて、空に漂う雲のことのようです。

雲は雨を施すものとされ、それは実りをもたらすものです。風と雲は実りに対して大きな働きがあります。

 

また、三であると見れば、それは天地人の三才であり、陰・陽・中正のこの世の成り立ちの根本でもあります。聖なるトライアドは世界中に普遍な聖数です。

※聖書の「父と子と精霊」も、日本の造化三神も三なのです。

 

※気の旧字「氣」は「お土産・贈り物の食べ物やおもてなしのご馳走」が原義のようです。

 

私たちの行っている「新医学気功」は、「青い空と白い雲と光り輝く太陽」のイメージを基本にしています。

雲の持つ意味が「気(气)」の原義なら、なぜそこに雲が必要なのかお分かりいただけると思います。

 

ちなみに中国では「五穀」の穀を「谷」という字で表します。これは単純に音からのものですが、これが谷であるのは深い偶然のようにも思います。

天がもたらす豊穣が雨なら、雨のない時でも絶えず水をもたらす谷。その谷をもたらす山、そして天。豊穣の幸う大地。

 

『老子道徳経』第六章の「谷神不死。是謂玄牝。玄牝之門、是謂天地根。緜緜若存、用之不勤。」の「谷神」はなぜ不死なのか、「天地根」とされる「玄牝」とは何なのかがおぼろげに見えてくるのではないでしょうか。

 

「豊」が「丰」と書かれるのもおもしろいところです。

 

また、穀雨である4月20日は、漢字の祖 蒼頡にあやかって国連漢字(中国語)デーでもあります。

 

 

国連漢字デーのバーチャルキャラクター「倉宝(Chang Bao)ちゃん」