こんにちは 金田です。


朝晩だいぶ冷えるようになって来ましたね。

そろそろ本格的に冬支度をしないとになって参りました。

頚筋・背部から風邪など引き込まれませんよう 温かくしてお過ごし下さい。



先日の続きをさせて頂きます。

基本のキ……病因の考え方①

基本のキ……病因の考え方②

基本のキ……病因の考え方③


不調や病の原因となるものについて 前回は 内因についてお話しましたが


今回は 残りの 外因と不内外因のうち

外因について。




身体の外から押し寄せる環境因子に基づくもの と申し上げましたが


主に気候変化に関わるもので 東洋医学では 風-寒-暑-湿-燥-火の6つに分けられていて


通常であれば問題ないのですが これに過不足が生じると 

身体に悪影響を及ぼすものに転化してしまうと考えられています。



寒・暑は寒さ暑さ、湿・燥は湿気と乾燥 と文字通りで


風(ふう)は 気温変化によって起こる空気対流から派生する風で 


火は 季節を問わず 熱の強い状態を指します。



これらは 人は勿論 万物を育むのに欠かせないものですが

転化したり 季節外れだったりすると

人に害を与える' 六邪 'となり 外邪と呼ばれるものになってしまうのです。



そして 人体の口・鼻・皮膚から体内に侵入するのですが


本来 身体を守っている " 気 " が正常に働いていれば排除することが出来ます。


しかし弱っていて正常に働けていないと

外邪に負けて病気となってしまうのです。


こちらのコンディション次第と申しましょうか。


ですから不摂生や疲労の蓄積、ストレスなどが続くと カゼをひき易かったりしますよね。

身体に力がないと いくら薬を飲んでも中々効かずに良くならない かと思います。

これは身体が休養を要求しているので 是非応えてあげて下さい。


先程の' 六邪 '、種類によって特徴や症状が異なりますので以下に挙げて行きます。


風邪 (カゼでなく ふうじゃ と読みます) :
年間を通じてあるが 特に春に多く、風の性質から顔面など身体の上部に症状が表れ
   急激に悪化したり患部が移動したりします。

   症状―頭痛 鼻づまり ノドの痛み 目蓋のむくみ めまい など


寒邪:冬や気温の低い夏に多く、皮膚や呼吸器官などから侵入して陽の気を衰えさせるので
   寒気 手足の冷えなど起こり、これが脾や胃に入ると下痢・吐き気などが表れます。

   症状―寒気 吐き気 下痢 腹痛 手足の冷え 頭痛 関節の痛み など


暑邪:夏の盛りに見られ 熱性なので高熱・多汗・ノドの渇きをもたらし、多汗は'津液'も
   '気'も消耗するので脱力感なども見られます。また 湿邪を伴うことが多いです。

    症状―高熱 顔面発赤 多汗 ノドの渇き 息切れ 脱力感 など


湿邪:梅雨時や夏の湿気の多い環境で表れやすく、濁りと粘りという特性から 体内に侵入
   すると臓腑や身体の巡りを滞らせ・詰まらせてしまい、下痢やむくみなどになることも。

    症状―下痢 頭重感 尿が出にくい 胸のつかえ 足のむくみ 倦怠感 など


燥邪:乾燥が強くて 秋から冬に表れやすく、体液を消耗することから 肌や髪,口などに乾燥を
   もたらし、これが潤いを好む肺に侵入すると乾いた咳や喘息を引き起こすことも。

   症状―口腔・鼻腔・皮膚・髪の乾燥 乾いた空咳 胸の痛み など


火邪:体内の熱が盛んになり過ぎたもので、季節性はなく 火の特性である炎上・蒸発また
   かき乱す性質があります。
 
   症状―高熱 顔や目が赤らむ 精神不安 不眠 歯茎の腫れ 便秘 など



これらは一つだけでも充分病の元になるのですが

二つ以上合わさると 更に複雑な症状を引き起こしてしまいます。

 

この中でも特に風邪は

一年を通して表れ易く 別の病邪を伴うことが多いのです。

 
鼻水・鼻づまりと 吐き気が同時にある場合は

  風+寒で 風寒のカゼで


鼻水・鼻づまりに高熱や口の渇きが重なると

  風+火で 風熱のカゼ


高熱で重だるい 湿+火は 高温多湿な気候の夏カゼに


鼻水・鼻づまりと寒けにむくみや下痢なども加わると

  風+寒+湿が三つ重なって 梅雨時のカゼに。



複数の病邪は治療もそれだけ複雑になり 治るのにも時間がかかってしまいます。



梅雨時のカゼであれば 水の代謝を良くしながら

温め、鼻の症状も緩和させて行きます。


また病邪には関連の深い臓器もありますので

そちらも治療の足掛りとして行きます。


鍼灸であれば それぞれ個別でなしに一遍にアプローチすることも可能ですので。



即効性がない印象かもしれませんが


結果としては効率的であったりします。


急がば廻れ でしょうか。



そもそも身体に問題が無ければ 外からの攻撃に負けたりはしないのですから

やはり 身体に地力が付くようにすれば 撃退が可能なわけです。



薬を飲むよりは そちらの方が後々にとっても絶対プラスになると思いますし。


身体の外側から病の原因となるのは 以上のような感じになります。

だいぶ 大雑把ではありますが。


余り一般的でない 馴染みのない言葉や考え方 かもしれませんが

案外 理にかなっていたりします。


古いからと言って 中々侮れない感じです。



また 長くなってしまいました。


最後の 不内外因は次回にさせて頂きます。


基本のキ……病因の考え方①

基本のキ……病因の考え方②

基本のキ……病因の考え方③



お知らせ

自宅の鍼灸院開業から10年の月日が過ぎました。

毎度の話ですが、鍼灸師を育ててくれるのは患者さんです。


おかげさまで鍼灸師を続けることが出来ております。

ありがとうございます。


現在、感謝の気持ちを込めて年賀状を作成中です。

つきましては住所変更など有りましたらご連絡頂けると助かります。

以上よろしくお願い致します。

鍼灸師 竹前慎剛