1.
ある連載記事の紹介。
連載1
「夫と姑に息子を連れ去られ…。離婚で親と引き離される子どもたち」
【木附千晶プロフィール】
臨床心理士。IFF CIAP相談室セラピスト。子どもの権利のための国連NGO・DCI日本『子どもの権利モニター』編集長。共著書に『子どもの権利条約絵辞典』、著書『迷子のミーちゃん 地域猫と商店街再生のものがたり』
2.
考えさせられる連載記事。
是非,本文をお読みいただきたい。
ただ,子どもの「片親引き離し症候群」については,注意が必要。
この点,私の思うところを簡単に書いておくこととした。
裁判所や調査官が,「監護親が子どもに不当に働きかけて,子どもと非監護親の関係性を悪化させている,子どもをして面会交流に消極的にさせている。子どもは必ずしも面会交流に拒否的ではない。」などと判断をする場合,そのように認定できる根拠が必要だ。
たいした根拠も無しに,というか,家裁調査官の思い込み,裁判官の意向を忖度して裁判官の導きたい結論に事実を曲げて合わせるみたいなやり方・・・・そして「片親引き離し症候群」とレッテル貼りし,「子どもが面会交流を拒絶しているのは子どもの真意ではない。」などと言われた日には,目が点になる。わずか数時間の面会で,「子どもの真意」を把握した気になる調査官って,あなた千里眼ですか~みたいな。
そして,子どもの真意が面会交流拒否だった場合,そこを真に解消するプロセスを経ないで面会交流を間接強制で監護親に強制するとなると,子どもと監護親は,とんでもない苦しみに放り混まれることになる。
子どもが長じればともかく,小学校低学年以下の子どもについて(適当な目安です),「子どもの真意」なるものをくみ上げるには,小児精神科医が時間をかけて子どもの心理についての鑑定を行うべきだと思う。これも多くの論者が指摘していることだ。
この間,調停が長引いてもいいじゃないか。調停が継続している間,鑑定を行う小児精神科医の見解を聞きつつ,子どもと監護親にとってストレスの少ない極めて限定的な面会交流を少しずつ重ねていき,その経緯と結果(子ども,監護親,非監護親の状況変化。良しにつけ悪しきにつけ)を小児精神科医の鑑定異見や審判にフィードバックさせていけば,さらに精緻な検討ができるんじゃないかな。
家裁が,簡易迅速にパパっと家裁マターから外して民間支援団体丸投げって姿勢であるとしたら,その姿勢こそ問題だ。高葛藤の面会交流事案では,調停段階で,2年,3年かかってもいいと思う。民間支援団体が育っていない中,家裁の調停手続を,コントロールされた面会交流の実施機関に変質させていけばいい。その上で,審判を出すべきだ。当事者に委ねて問題がないかどうかを家裁自身で経過観察して結論を出してほしい。
でも,家裁の流れは,簡易迅速~なんだな。悲しいことに。