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えっとですね,ただいま「まる子を襲うヒロシの暴虐(訴状フィクション)シリーズの連載に入っていますが,私,弁護士ですので,やはり守秘の関係は気にしてます。
でですね,まる子の母で私の依頼者であったすみれさんの了解を取っているんですけどね。
その際,すみれさんと思い出話をしてまして,あらためて,あのころのすみれさんの調停体験をお聴きしました。
当時,私も聞いてたんですが,すっかり忘れました。
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本人申立てで望んだ第1回調停期日。
すみれさんが口で説明したヒロシの暴虐ぶり。数々の対物暴力について話したんです。
これに対し,男性の調停委員がですね,
そんなこと,よくあることだ
気にする方がおかしい
的なことを宣言されたそうで・・・・
┐('~`;)┌
3
いやあ,すみれさん,ビックリしたそうです。
そして,そのあまりの言いぐさに,取り溜めしておいた写真を見せて訴えたそうです。
壊れた家具の数々。
これで調停の雰囲気が変わったそうです。
すみれさんが言うには,その後,調停委員は,なんとなくすみれさんの味方的になったとか。
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しもちゃんが思うに,2つの要素があると思います。
5 第1の要素
言葉で聞くことというのは,想像力が乏しい人には分からないんです。
しかし,ヴィジュアルは効果があるんですね。
すみれさんのケースでは,壊れた家具の数々の写真。
あと,私が経験しているのは,随分前の記事ですが,
DV夫,モラハラ夫との離婚交渉は危険地帯~弁護士依頼のメリット1
で紹介したケース。
「いてまうど」君です。
録音テープは,警察,裁判所と大活躍でしたね。
全然ケースが違いますが,昔,多重債務の問題で自殺者が出たりして一気に社会的関心が高まったとき,商工ローンの取り立てを録音した音声がテレビに流れました。
このインパクトは大きかった。
一気に社会の流れを変えたって感じ。
他にもですね,たとえば大阪の警察官の取調べの録音が報道されたりとか。
DNAで再審無罪となった足利事件で,当時の取調べの録音が報道されたりとか。
ヴィジュアルは大きいんですよ。
6 第2の要素
調停は,調停委員は,第1回は,まず申立人から事情を聴き,それから相手方から事情を聴きます。
すみれさんの場合は,すみれさんが離婚を求めてますので,まずすみれさんが事情を聴かれた。
このとき,調停委員は,まだ夫のヒロシの話を聞いていないんですね。
ですから,すみれさんの写真を見せられた後で,調停委員は,ヒロシの話を聞き,ヒロシに対し,当然,その対物暴力についてヒロシの言い分を聞くわけですよ。
3歳まる子を前にした数々の暴虐についてもね。
きっと,そこで,ヒロシは,
┐('~`;)┌
なことを言いまくったんだと思います。
それで,調停委員もですね,事情がなんとなく分かったんではないかと。
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弁護士に当たり外れがあるように調停委員にも当たり外れがあります。
実際,ブログで当事者の方々の記事を読んでますと,
なんじゃこりゃ~
と松田優作になって叫びたくなるような調停委員さん,けっこうおいでです。
素敵な調停委員さんもいるんですけどね・・・
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離婚に思い悩む女性を取り巻く状況は厳しいですが,私は,このようにお伝えしたいと思います。
(1)
弁護士には当たり外れがあります。
しかし,あなたが選べます。
現実に,失望を繰り返した後に素敵な弁護士さんに出会った方がいます。
(2)
調停委員や裁判官や警察官はあなたは選べません。
トンデモにぶちあたるかもしれません。
しかし,敵は,調停委員や裁判官や警察官じゃないのです。
敵は,DV夫,モラハラちゃんです。
調停委員や裁判官や警察官と喧嘩しても,何の得にもなりません。
むしろ,デメリットの方が大きい。
(3)
そうすると,トンデモな調停委員や裁判官や警察官にぶちあたった際は,トンデモと思えた人でも,実はそうじゃなくなる可能性を信じて,したたかな働き掛けをしていく必要があります。
とりあえず,そういうノウハウを弁護士はもってます。
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上記の発想は,私は,特に警察とのつきあいで意識的にやってます。
私,ストーカー被害者,犯罪被害者から依頼を受けて警察に働き掛けることが多いです。
喧嘩しちゃ駄目なんですね。
こじれた原因をきちんと考えます。
それは,依頼者の誤解がある場合もあります。
警察の初期対応に問題がある場合もあります。
不幸なボタンのかけ違いといいましょうか。
それを,解きほぐしていくのです。
その際に,警察の発想,警察の捜査手法,警察の限界,警察権限の有用性,捜査官の心情を弁護士の方でしっかり理解しているかどうかが大きなポイントになります。
私の経験で申し上げますと,警察官は,熱意のある人が多いです。
ただ,いろんな限界の中で仕事をしてます。
沢山の事件がありますし,証拠に基づいて事実を認定してという厳しい世界で仕事してますし。
警察官個人の判断ではなく,かならず組織上の決裁があります。
そういうことを全部理解した上で,組織としての警察の権限行使をしっかりと引き出していくことが大切なのです。
これまで私が関わったケースでは,たとえ最初にボタンの掛け違いがあっても,その後,しっかりと警察が動いてくれて,大きな成果が得られたものばかりです。
その中で,当初は警察に不信感を持っていた依頼者も,警察への見方を変えていきます。
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私が意識的にこういう発想をするようになったのは,ストーカー事件の関わりが大きいです。
そして,その際,私は,桶川ストーカー事件で亡くなられた猪野詩織さんのお母さん猪野京子さんが私に語ったことをずっと心に持ち続けています。
詩織さんが生きていたころ,猪野家は弁護士に相談に行きました。
そこで,男女のもめごとと片付けられてしまいました。
そして,猪野家はさらに孤立を深めました。
桶川ストーカー事件は警察不祥事として名高い事件です。
しかし,猪野家を孤立させた責任の一定部分は,あの当時,犯罪被害者の支援ということに及び腰だった弁護士集団にもあると私は思っています。
もちろん,時代的背景もあります。
ストーカーという言葉はまだそれほど広がっていませんでした。
しかし,それでも,ストーカーという言葉が聞かれるようになっていた時代でした。
猪野家が相談した弁護士が,猪野家の訴えをよく聞き,その問題性に気づき,警察の権限行使を引き出す活動をしっかり行っていたら,結果は違っていたのではないか?
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私は,ストーカーの事件では,かならず被害者と一緒に警察に行きます。
その前に,十分な打ち合わせをします。
ストーカー事件の場合,まさに,今,被害が継続しているのですから,時間的余裕なんてありません。
警察に相談にいく日時調整をすぐにします。
可能な限り早く。
そして,その警察に行く日が,例えば翌日となったら,その日のうちに被害者から可能な限りの事情を聞きます。
被害者の予定とも調停しますが,夜中の2時,3時までの打ち合わせが当たり前になります。
そして,警察への説明資料をつくり,対応方針を被害者の方と一緒に考え,その上で,一緒に警察に行きます。
そんな活動の中で,私は,警察は,基本的に信頼できるし,その警察の信頼できる権限行使をしっかりと引き出していくことを弁護士はもっと意識してやるべきではないかと思っています。
初期対応でおかしなこと,それは現実にあります。
しかし,そのおかしなことをそのままにして絶望してもいけませんし,そのおかしなことに怒りを感じて喧嘩しても無意味です。
そのおかしなことを上手に修正し,警察と依頼者の関係をきちんと調整し,その上で,警察に適正権限を行使してもらうことが大事なのです。
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警察の話が多くなりましたが,調停委員,裁判官も同じことです。
だって,選べないでんすもの。
しかし,調停委員には調停委員の力があります。
裁判官は,言うまでもなく絶大な権限をもっています。
調停委員の立場,役割,発想,裁判官の発想,そういうものをきちんと理解して,その上で,調停委員や裁判官の判断がこちらに有利になるように行動していかないといけないのですね。
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