第3回・TwinCup観戦記・4 | シモデ先生のまあじゃんうんちく version2

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題名の通り、マージャンに関するうんちく話を、自分なりの観点で紹介しています。最近はあまり書いていませんが(笑)。


マージャン強くなりたい、という人にはあまり役に立たない話ばかりかも(笑)。

第3回・TwinCupの決勝戦観戦記の続きです。




南1局1本場 ドラ三筒
 最後の親番となる佐藤、9巡目リーチ。
(牌姿)四萬伍萬伍萬伍萬六萬六筒七筒八筒二索三索四索五索六索
 この一索四索七索は正直、手応えを感じただろう。実際、この時点で山には6枚残っている。
 アガリは時間の問題かと思われたが、北家の山本も10巡目にリーチ。東2局のリーチ合戦の再来である。
二萬三萬四萬三筒四筒五筒六筒七筒四索四索七索八索九索
 山本の二筒五筒八筒も山に6枚いる。6対6なら決着は時間の問題かと思われた。

 しかし、ようやく決着がついたのは14巡目。しかもその間は西家の武中に一索が来ただけ。この時点でもまだ5対6なのだ。
 今度は山本に凱歌が上がった。
二萬三萬四萬三筒四筒五筒六筒七筒四索四索七索八索九索 ツモ八筒 ドラ三筒 裏ドラ二筒
 1300・2600に積み棒300とリーチ棒2000が加わった。

 そして、トータルは…。
 田中172.6 山本166.3
 これで一気に射程圏内。追われる田中も気が気ではないはずだ。


南2局
 東家の田中は、山本を突き放そうと果敢に攻める。
 しかし、田中の親番は3局とも流局。ノーテン罰符を2回手に入れるだけにとどまった。


南3局3本場 ドラ九萬
 ここまでの上位2人のトータルは、こうなっている。
 田中174.6 山本164.3

 流れに流れて積み重なった供託点は、積み棒3本にリーチ棒3本。
 当然ながら田中としては、山本にだけはこのボーナスを渡したくないところだ。

 5巡目、北家の田中の手牌がこうなった。
三萬伍萬七萬二筒八筒八筒二索三索四索七索八索八索九索 ツモ二筒

 田中の一打は九索
 ほほう。これは柔軟だ。
 マンズのリャンカンはまだ選べない状況であり、かといってメンゼン限定の打八索では手牌が重くなる。
 理屈で考えれば当然なのかもしれないが、いざ座った時にそう打てる打ち手は果たしてどのくらいいるのだろうか。
 次巡のツモ八筒で役なしテンパイは逃した形になったが、このイーシャンテンの方が柔軟性、安定感がある。
三萬伍萬七萬二筒二筒八筒八筒八筒二索三索四索八索八索

 そして田中は、西家の佐藤がツモ切った二筒をポン。打三萬とし、ひとまずカン六萬のテンパイ。
 一方、南家の山本はこんなイーシャンテン。
三萬四萬伍萬八萬九萬三筒三筒五筒六筒四索五索六索南
 ネックのペン七萬が残っている。これは田中がアガりきるか。
 ところがその後、思いもよらない展開が待っていた。

 まずは、佐藤が13巡目に生牌の南を切って「リーチ」。
 え? リーチ?
六萬六萬七萬七萬九萬九萬八筒九筒九筒二索二索北北
 役満2連発以外は優勝の可能性がない佐藤。1つでも上の順位を目指す選択も仕方ない。
 ハネ満ツモならトータル3位の武中に6.6P差に迫るのだ。

 その宣言牌の南に対して、山本から『ポン』の声がかかった。
 あれ? ポン?
三萬四萬伍萬三筒三筒五筒六筒四索五索六索 ポン南南南
 絞っていた『南』が重なったのだ。

 このまま流局かと思われたが、18巡目に山本が七筒を引き寄せた。
三萬四萬伍萬三筒三筒五筒六筒四索五索六索 ポン南南南 ツモ七筒
 500・1000は800・1300にリーチ棒が4本。
 これで2人のトータルがこうなった。
 田中173.8 山本171.2
 僅か2.6P差。誰もが目を離せないオーラスを迎えることになった。


南4局0本場 ドラ九索
 順位点込みとはいえ、一時は47.2Pまで開いていたはずが、この最終局面を迎えた時には2.6P差。
 今となっては、お互い腹を括るしかない。

 そんな2人の配牌はこう。
東家・山本一萬一萬二萬四萬七萬八萬一筒七筒九筒二索三索六索北發
西家・田中一萬六萬八萬九萬九萬一筒三筒三筒六索七索八索九索東

 しかし、8巡目以降、山本と田中はこの手牌のまま、ピタリと動かなくなった。
山本一萬一萬二萬七萬八萬七筒八筒九筒二索三索四索發發
田中六萬八萬九萬九萬三筒三筒四筒五索五索六索七索八索九索

 現時点ではシャンテン数も、手役の素も、山本が少し有利か。
 そして13巡目に田中がツモ切った三萬を見て、同巡に北家の武中が三萬を合わせ打った。
これを山本が「チー」。ひとまず形式テンパイにとった。
七萬八萬七筒八筒九筒二索三索四索發發 チー三萬一萬二萬

 次巡、ツモ七萬で打八萬として、發限定とはいえ、アガれる可能性が残っているテンパイに漕ぎつけた。

 一方の田中は、この時点においてもまだリャンシャンテン。
六萬八萬九萬九萬三筒三筒四筒五索五索六索七索八索九索
これは流局1人テンパイで次局に持ち越しか。

 その2巡後、山本が二筒をツモ切る。すると…。

 なんと田中の口から、決着を告げる一言が発せられた。
 田中「ロンッ!」

六萬七萬八萬九萬九萬三筒四筒五索六索七索七索八索九索 ロン二筒

 土俵際まで追い詰められながらも、最後は自力でアガりきった。
 神様もなかなか粋な演出をしたものである。

決勝戦結果
田中65.4 山本19.8 武中▲30.5 佐藤▲54.7


追記…戦い終わって
 実は、今回の観戦記を引き受けた当初は、もう少し「お祭りテイスト」の文章にして、なるべく「競技麻雀の楽しさが伝わるような内容」にしようと思っていた。

 しかし今回、準決勝からずっと見ていたら、そんな考えはすっ飛んでしまった。
 正直、凡ミスがほとんどなく、高いレベルでの攻防が多く見られた。
 そして何よりも、打ち手の魂が伝わってきた。

 タイトル戦じゃないのがもったいないくらいの内容である。
 せめて、この戦いが、一人でも多くの人に伝わることを、願ってやまない。

 優勝した田中はもちろんのこと、他の選手にも拍手を贈りたい。

 田中巌選手、おめでとう。
 他の3選手も、お疲れ様。
 決勝には届かなかった選手のみんなも、お疲れ様。
 その戦いを最後まで見届けた観戦者も、お疲れ様。
 運営および関係者の方々、お疲れ様。
 そして、ありがとう。

 次回以降のツインカップも、より一層楽しい「競技麻雀祭り」になってほしいと願い、ダラダラ書き綴った拙文を締めくくろうと思う。


第3回TwinCup 最終結果
優勝  田中 巌 175.8
準優勝 山本篤史 169.2
第3位 武中 真 96.5
第4位 佐藤 崇 27.2

(文中敬称略)




6年も前の観戦記をアップしたわけですが。
まさか、決勝戦が生放送される時代が、こんなに早い時期に来るとは思いませんでしたね。

というわけで、本日13時から、第8回TwinCup決勝戦が、
麻雀スリアロチャンネルにて放映されます。

第8回・TwinCup決勝戦

【対局者】
秋山裕邦(日本プロ麻雀協会)
鈴木たろう(日本プロ麻雀協会)
原悠介(最高位戦日本プロ麻雀協会)
二見大輔(日本プロ麻雀協会)

【MC】
上野あいみ(日本プロ麻雀協会)
塚田美紀(最高位戦日本プロ麻雀協会)

【解説】
片山まさゆき(漫画家)
多井隆晴(RMU)
小林剛(麻将連合)
水巻渉(最高位戦日本プロ麻雀協会)
小川裕之(日本プロ麻雀協会)

【ルール・システム】
ルールは最高位戦ルールに準ずる
http://saikouisen.com/rule.php
半荘5回戦のトータルポイントで優勝者を決める

対局者、関係者の皆様、頑張ってくださいね♪