『飛脚とナンバ』~そして現代へ | パーソナルトレーナー清水広晃のブログ

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こんにちは、パーソナルトレーナーの清水広晃です。
前回は『武士とナンバ』と題して武士の歩き方に見られる通常の歩き方との違いを説明しました。
ここでは厳密に言えば武士の歩き方はいわゆる『武士』のためのものであり、ナンバとは異なるものだということをご理解していただけたかと思います。
ではナンバ本来の歩き(走り方)とは?
現代で理解されているナンバは「右手と右足を一緒に出す走り方」と言われますが、これは正しくなく「そう見える」だけなのです。
1枚目の図をご覧下さい。通常の歩き方を示した図です。
現在の歩き方では手足は交差するように歩くのが通常です。ただしここでのポイントは右手と左足が前に出ているとき骨盤は左が前になっているという点です。これは分かりやすく言うと上肢と下肢がそれぞれ別方向に働き、骨盤がそれを支えることによって捻りの動作となっているということです。

対して2枚目の図はどうでしょう?
これも最初の図と同じく手足は交差して出ています。しかしよく見てください。右手と左足が前に出ているとき骨盤は右が前になっています。
つまり上肢と下肢は同方向に動き、捻りを使うのではなく体全体を回旋させるのです。上肢と下肢が同方向に回旋するため、一見右手と右足が一緒に出ているように見える、これがナンバなのです。
通常の歩き(走り)方は捻りを使い、
体のバネを使うため上下動が出やすくなります。しかしナンバの場合は回旋方向の肩から足にかけての軸、反対方向の軸さらに加えて体幹部(頭~臍部)までの軸ができるためぶれにくく、上下動も少なくなるという特徴があります。そして上下動が少なくなるということはストライドは狭まります。そのため摺り足のような動きで足の回転を速くし、ピッチをあげることでスピードを出すのです。これは『長時間疲れずに速く走る』という飛脚の走り方にマッチしたものであったでしょう。さらにいわゆる足の短い日本人にとってはピッチ走法は理想的であったとも言えるのです。
そしてこの走り方は当然現代ではマラソンなどにも通用する走り方だと言えるのではないでしょうか?
短距離に関しては日本人でも体格のいい選手やバネのある選手もいるので一概にすべてを受け入れるのはどうかとも思うのですが、末続慎吾選手のようにナンバの理論を取り入れて成功したアスリートもいます。

競技者でお悩みの方、一度『ナンバ』を試されてみるのもいいかもしれませんよ!