ウクライナでの政変を認めてしまえば、民主主義の制度そのものが崩壊するのではないだろうか。

ウクライナ暫定政権の容認とは、どの国でも反政府側がデモで大統領を追放すれば、民主主義の選挙をせずとも大統領を交代させて、暫定政権を樹立することを正当化することと同意である。

このことは、米国でさえデモによりワシントンを占拠して大統領を国外追放すれば政変できることが可能で、どの国であれクーデターを画策して敵国の政権を転覆させることが可能となろう。

ウクライナの暫定政権は、欧米が主張する「民主主義」と「法の支配」に基づいているだろうか。
このことは、もはや米国が「正義」という世界秩序が崩壊しつつあることを示しているのだろう。

日本も「民主主義」と「法の支配」を掲げるのなら、ロシアの軍事介入を非難するだけではなく、首都もデモによって国民が選出した大統領を追放したウクライナの行為も非難すべきだろう。

読売新聞の如く、いつまで経っても米国に倣えでは最終的に世界を敵に回す可能性も出て来よう。
イラク戦争の失敗以降、米国が関わった全ての事案で何一つ正当に解決した事案がないのである。

欧米メディアと共に偏向報道を続けても、ネットによる情報拡散で偽りの正義はバレるのである。
読売新聞も無理に主義主張を押し通さず、有のままの事実報道に徹しなければ将来はないだろう。
[読売新聞 3月3日]ウクライナ危機 露の軍事介入は容認できない
ウクライナ情勢が緊迫の度を増してきた。ロシアの軍事介入は到底認められない。ロシアのプーチン大統領は、ウクライナ領内で軍事力を行使することを上院に提案し、承認を得た。政治が正常化するまで、「ロシアの国民・同胞、ロシア軍要員の安全を守る」のが目的だという。旧ソ連の一部だったウクライナにロシア系住民が多いのは確かだ。だが、ロシアの狙いは、親露派の大統領を解任して誕生した親欧米政権に圧力をかけて、ウクライナをロシアの勢力圏につなぎとめておくことではないか。

ロシアが、軍事介入の準備を進めているのは、ウクライナ南部のクリミア自治共和国だ。クリミアはロシア系住民が全体の約6割を占める。自治共和国首相も親露派で、住民の間からウクライナからの分離を求める声がかねて上がっていた。黒海沿いの軍港にはロシアの黒海艦隊が駐留している。空港などは既にロシア軍兵士によって占拠されている。ロシアが本格的な軍事介入に踏み切れば、クリミアだけでなく、ロシア系住民の多い東部や南部全体に影響が及ぶのは確実だ。住民の分離要求は一層激しくなり、混乱は拡大しよう。親欧州的傾向の強い西部と親露的傾向が強い東部・南部が分裂に向かう可能性すら懸念される。

ロシアは2008年に、ウクライナ同様の親欧米政権だったグルジアに自国民保護の名目で武力侵攻し、国際的非難を浴びた。同じ過ちを繰り返してはならない。国際社会が、軍事介入を思いとどまるよう、プーチン氏への働きかけを強めることが肝要だ。米国のオバマ大統領は、電話会談で、プーチン氏に対し、ロシアの行動は「国際法違反だ」として「深い懸念」を表明した。その上で、露軍兵士を撤収させるよう求めたが、物別れに終わった。国連安全保障理事会でも緊急会合が開かれ、各国大使からロシアへの強い非難が相次いだ。米国やカナダは、軍事介入があれば、6月にロシアのソチで行われる主要8か国首脳会議(G8サミット)をボイコットする構えだ。日本政府の対応も問われよう。岸田外相は、「全ての当事者が法の支配と領土の一体性を尊重し、最大限の自制を発揮するよう求める」との談話を発表した。プーチン氏は、国際社会の声に耳を傾け、軍事介入がもたらす混乱と流血を回避すべきである。

ウクライナで起こった事実は、ヤヌコビッチ大統領がEUとの政治・貿易協定の調印に反対したことで、調印に賛成する勢力がデモを起こしてヤヌコビッチ大統領を首都から追放したことである。

そして、ウクライナ議会がヤヌコビッチ大統領の解任を決議して暫定政権を樹立したことである。

言ってみれば、国民が民主主義で選出した大統領を、外交政策に反対する勢力が首都に結集して大規模デモを起こして、民主主義を無視して大統領を首都から追放して政権を崩壊させたのである。

つまり、デモに屈して大統領を解任したウクライナ議会が民主主義を破壊したということである。

おそらく、国連もG7も行動すべきだったのは民主主義を破壊する行為に対してだったのだろう。
それを欧米諸国はEU寄り勢力の暫定政権の樹立を正当化して支援を表明してしまったのである。

これでは、ウクライナ情勢で「民主主義」と「法の支配」という原理原則が通用するはずがない。

いくら欧米諸国の報道機関がヤヌコビッチ大統領の醜聞を流して正当化に努めても、一度ウクライナ国民が選出した大統領であり、ウクライナ議会が民主主義を破壊した事実は消せないのである。

いくら米国がロシアを自制してもウクライナは「民主主義」と「法の支配」が無い国なのである。

普通に考えれば、EU寄り勢力がヤヌコビッチ大統領を国外に追放してEU寄りの暫定政権を樹立という民主主義を破壊する暴挙に出たのだから、ロシア寄り勢力が黙っているはずが無いだろう。

ロシア寄り勢力からすれば、EU寄り勢力が外交政策に反対と言うだけで、国民が選出したヤヌコビッチ大統領を国外追放した上に、大統領職を奪い反政府勢力による政権を樹立させたのである。

つまり、ウクライナ情勢緊迫化の発端はEU寄り勢力が民主主義を破壊したことに尽きるだろう。
これにより、EU寄り勢力とロシア寄り勢力の民主主義を無視した衝突も止むを得ないのだろう。
現状では、ロシア寄り勢力がヤヌコビッチ大統領と同様に国外に追放されるかもしれないだろう。

この流れから、「民主主義」と「法の支配」が通用しないウクライナへ、ロシア寄り勢力を守るためにロシアが軍隊を投入したことに読売新聞のようにロシアを一方的に責めることができようか。

欧米メディアを中心にロシア批判を繰り返すが、「民主主義」と「法の支配」は何処にあるのか。
自国で、反政府勢力のデモにより大統領が追放され暫定政権が樹立すればどのように報じるのか。
現在、米国の「正義」が民主主義の「正義」になっていないから世界が混乱しつつあるのだろう。

もし日本が「民主主義」と「法の支配」という新秩序による枠組みを目指すのならば、反政府勢力のデモに屈して大統領を解任したウクライナ議会による民主主義の破壊行為を断罪すべきである。

米国を中心に欧米諸国の自己都合の民主主義により、「民主主義=正義」の根幹が揺らいでいる。
米国を中心に報道機関の自己都合の正義の押し付けにより、「事実報道」の根幹が揺らいでいる。



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