1日に米通商代表部の通商に関する年次報告書から、日本はTPP交渉に参加するためだけに献上品を差し出さなければならないことが明らかになった。

これは、TPP交渉に参加の前に事前交渉で日米交渉が決着することを意味する。

そして、日本がTPP交渉で国益を守るためには、自民党の政権公約「TPP交渉参加の6つの判断基準」を交渉参加の最低条件とするしかないのである。

つまり、安倍総理が「聖域なき関税撤廃」の前提が外れただけで、事前協議で米国の要求を呑み交渉に参加して国益を勝ち取ることなど不可能なのである。

さらに、年次報告書でTPP年内妥結を目指すことを明記したことは、日本がTPP交渉に参加すれば国内事情により離脱など許させない保険と言えよう。

この結果、日本がTPP交渉で国益を守るための手段は、安倍総理がTPPが国益にならないとしてTPP交渉に不参加を表明するか、日米の事前協議を遅延させることから時間切れを図るかのどちらかとなった。

「既存メディア+大企業経営陣+新自由主義信奉者」以外の国民は、あらゆる制度を破壊する、あらゆる資格を破壊する、あらゆる地域を破壊するTPPの交渉に日本が参加することを反対しなければならない。

安倍総理に、交渉参加を断念させるか事前協議を時間切れに追い込むかしかない。

[3月2日 日経新聞]TPP交渉、13年中の妥結めざす USTR年次報告
日本の参加意欲表明「歓迎する」

米通商代表部(USTR)は1日、米議会に提出した通商政策に関する年次報告書で、2013年中に環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉妥結を目指すとともに、日本の参加意欲表明を「歓迎する」と記した。

先の日米首脳会談を受け、安倍晋三首相はTPPについて「聖域なき関税撤廃が前提でないことが明確になった」として正式な参加表明に踏み切る見通しだ。同報告書は「米国は交渉参加に関心を示す日本との交渉を続行する」としたうえで、米の懸念事項である自動車、保険両分野の市場開放に関して日本がどのような対応を打ち出すかが焦点になると強調した。

日本政府が米などからの牛肉輸入規制を緩和したことに関しては、さらなる規制緩和を期待すると述べた。

オバマ大統領が一般教書演説で交渉入りを表明した欧州連合(EU)との貿易・投資に関する連携協定(TTIP)交渉を巡り「環大西洋貿易の拡大を妨げている非関税障壁を減らす新たな手段になりうる」と意義をアピールした。

この年次報告書から、日本のTPP交渉に参加する条件は「米国の関心に取り組む用意があるのか、米国の利害について合意できるのか」となるのである。

そして、米国の関心として挙げる分野は、米国産牛肉輸入の規制、米国車販売に対する制約、銀行・保険・宅配での日本郵政と民間企業の格差である。

つまり、日本のTPP交渉への参加料は、米国産牛肉輸入の規制撤廃の確約、米国車販売枠の数値目標設定の確約、日本郵政の完全分離民営化の確約である。

このことは、米国農産品の輸出増加、米国自動車の輸出増加、米国保険会社の業務拡大につながり、オバマ大統領の輸出倍増計画にも合致するのである。

この中でも、最大の関心事は改悪未遂に終わった郵政完全民営化の確約であろう。

小泉政権が終わり国民が気付いた事は郵政民営化は失敗だったということである。

郵便局の銀行業務、保険業務、郵便業務は、一体経営していたほうが国民にとって便利であり、全国に地域格差無く店舗を構えるユニバーサルサービスであってこそ国民のための制度だったのである。

これを、郵政民営化で完全分離して完全民営化を目指した結果、事業を補完できず、店舗が都市に集約され、地域格差を生み、ユニバーサルサービスで無く国民にとって不便な改革となったのである。

しかも、郵政民営化が進むに連れて、郵貯・かんぽマネーの300兆円をハゲタカが狙っている事実に気付き国会議員が郵政民営化反対に回ったのである。

その結果、郵政民営化が一旦停止して改悪されることを防いだ状況となっている。

今回、米国はTPPの手段から再び日本郵政を改悪するよう迫ってきたのである。

米国は、どうしても地域密着で成り立つ郵貯とかんぽの事業形態を完全民営化させて、経営効率化のため地方店舗を閉鎖させて空白地を作らせ、米国企業が全て奪いシェア拡大を果たせるようしたいようである。

米国は、どうしても日本政府が株式保有している郵貯とかんぽの事業形態を完全民営化させて、日本政府の影響力を完全排除して、さらに郵貯とかんぽの分離解体に圧力をかけて規模縮小をさせたいようである。

米国が望む最終形態は、JRのように地域分割して国際競争力を削ぐことだろう。

つまり、米国が日本に制度改革を促す場合、業界発展のためとか自由競争のためとか国民のためとかではなく、米国の利益になるための押し付けに過ぎない。

郵政民営化や道路公団民営化はする必要があったのだろうか。JRやNTT、元を辿れば電力会社となるが民営化で分離分割する必要があったのだろうか。

どうも、全く干渉を受けていないお隣の国に属する企業の時価総額が世界上位に顔を出している現状を考えれば、足かせになっていると感じざるを得ない。

そして、米国が郵便・かんぽマネーを狙っている理由もこの状況に隠されている。

世界の企業の時価総額ランキングで中国企業が上位に食い込んでいる業種は、4つに大別できて、銀行と保険と情報通信、エネルギーとなるのである。

この中で米国企業が中国企業に圧倒されている業種が保険となっているのである。

世界で時価総額で1位となる中国人寿保険と2位となる中国平安保険を合計すれば、米国で上位4社であるメットライフとトラベラーズ、プルデンシャルとアフラックの時価総額を合計しても届かないのである。

この差を埋めるため狙われたのが日本の保険市場でありかんぽ完全民営化となる。

そして、米国企業が中国企業に押されつつある業種が銀行となっているのである。

中国の銀行の上位5行の時価総額の合計が、米国の銀行の上位6行の時価総額の合計に匹敵しており、世界1位と世界2位は中国の銀行であり、これから米中の銀行の力関係が逆転することが明らかなのである。

この差を埋めるため狙われたのが日本の郵貯市場であり郵貯完全民営化となる。

そして、おそらく13億人の市場規模を誇る中国企業があらゆる業種で世界上位に食い込むたびに、日本は米国から市場開放を迫られることになるのだろう。

つまり、TPPは米国企業が日本を草刈り場とするための戦略と言えるだろう。

そして、安倍総理が自民党の政権公約「TPP交渉参加の6つの判断基準」を無視してTPP交渉参加を表明するということは、安倍総理が日本を植民地として米国に献上することに等しいのである。

安倍総理に、交渉参加を断念させるか事前協議を時間切れに追い込むかしかない。



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