どうも安倍総理は日米首脳会談を経てTPP交渉参加に焦りに焦って必死である。

安倍総理は帰国した翌日に、自民党の石破幹事長、公明党の山口代表、井上幹事長と会談をして「早急に政府一任を取り付ける」ように指示したのである。

そして、これまで党内議論をしっかりするとした石破幹事長も、国民的議論をしっかりするとした山口代表も早急に政府一任をとると明言したのである。

なぜ安倍総理がこれほどまで焦るのかを考えれば辿り着く答えは唯一つしかない。
それは国民との約束である政権公約より米国の要求を選択したということである。

まずは、両者の会談後の具体的日程を明示した政府一任をとる発言は下記の通り。

[2月25日 日経新聞]自民石破氏、TPP交渉参加「25日役員会で首相に一任したい」
自民党の石破茂幹事長は25日昼、日米首脳会談で前進した環太平洋経済連携協定(TPP)交渉参加問題について「きょうの党役員会で参加する、しない、あるいは判断の時期について、安倍晋三首相(党総裁)への一任をとりたい」との考えを示した。

一方で「仮に一任を取り付けたにせよ、党内の議論をきちんと反映していかなくてはならないのは当然のことだ」と強調した。首相が判断する時期については「何月何日ということはないが『なるべく早い時期に』と首相も言っているので、与党内の作業を進めていかなくてはならない」と述べた。

首相と公明党の山口那津男代表との会談後、首相官邸で記者団の質問に答えた。日銀総裁人事については、首相から会談で具体名の提示があったことを明らかにしたうえで「正式に議会に対して政府から提示があるまで私どもから申し上げることでない」と語った。
[2月25日 日経新聞]公明代表、TPP「党内で速やかに議論する」 与党党首会談
公明党の山口那津男代表は25日昼、環太平洋経済連携協定(TPP)の交渉参加問題について「党内にも慎重な意見を持っている人がおり、丁寧に説明していくことが大事だ。速やかに、できれば26日に党の常任役員会で報告した上で、その後の進め方についても検討したい」との考えを示した。安倍晋三首相との会談後、首相官邸で記者団の質問に答えた。

自民党の石破幹事長は、TPP交渉参加の党内議論なく、今日の党役員会でTPP交渉参加の判断と時期で政府一任をとりつけると発言したのである。

公明党の山口代表は、TPP交渉参加の国民的議論なく、明日の常任役員会でTPP交渉参加の判断と時期で政府一任をとりつけると発言したのである。

両氏とも、安倍総理との会談でTPP交渉参加について「党内議論が必要である」「国民的議論が必要である」と進言できない理由があったのだろう。

両氏とも、安倍総理との会談でTPP交渉参加について直近の両党役員会で「総理一任」「政府一任」をとりつけなければならない理由があったのだろう。

これは、安倍総理に早急に一任をとりつけるよう厳命を受けたということになる。

そして、安倍総理は石破幹事長や山口代表の意見を聞き入れる雰囲気を作らなかったか、聞き入れなかったかどちらかの対応をしたということになる。

つまり、日米首脳会談後に安倍総理は、TPP交渉参加について早急に政権与党から政府一任をとりつけなければならない理由ができたということである。

やはり、日米共同声明にあるように安倍総理はオバマ大統領に脅されたのだろう。

安倍総理は、自民党の政権公約である「TPP交渉参加についての6つの判断基準」を説明したとしているが、説明しただけで了承されていないのである。

下記の6つの判断基準のうち米国が乗ってきたのは、「日本は農産物」「米国は工業製品」とお互いに「例外品目」を認めるという1項目だけなのである。

●自民党のTPP交渉参加の6つの判断基準
(1)政府が、「聖域なき関税撤廃」を前提にする限り、交渉参加に反対する。
(2)自由貿易の理念に反する自動車等の工業製品の数値目標は受け入れない。
(3)国民皆保険制度を守る。
(4)食の安全安心の基準を守る。
(5)国の主権を損なうようなISD条項は合意しない。
(6)政府調達・金融サービス等は、わが国の特性を踏まえる。

それ以外の5つの項目は、米国が日本に自動車部門や保険部門に残る懸案事項に対処すること、その他の非関税措置の対処することを要求したのである。

このことは、米国は自民党の政権公約の残り5つの判断基準で妥協する余地がないことをオバマ大統領と安倍総理が合意したことを意味するのである。

そして、日本は自民党の政権公約の残り5つの判断基準を安倍総理の責任で処理することをオバマ大統領と安倍総理が合意したことを意味するのである。

つまり、これは安倍総理が自民党の政権公約を反故にしてTPP交渉参加を表明したとき、米国は正式に日本の総理大臣として迎え入れるということである。

そう考えれば、なぜ晩餐会が行われなかったのか、なぜ共同会見が行われなかったのか、なぜ安全保障で議論がなかったのか、なぜオバマ大統領が「任期中は強力なパートナーとして協力する」と発言したのかなどの数々の疑問も腑に落ちる。

米国は手ブラで訪米した安倍総理を日本の総理大臣と認めていなかったのである。

さらに、オバマ大統領の「任期中は強力なパートナーとして協力する」との言質を見れば、日本の総理はいつでも替えが利く裏返しであり脅迫でしかない。

その結果、安倍総理にとっては政権公約の残り5つの判断基準に違反してでもTPP交渉参加を表明することが、米国が日本の総理大臣として認めてくれるかどうかの踏み絵になったということになる。

そして、TPP交渉参加を早期に決着しなければ、日米同盟も、安全保障も、日本と米国に関するあらゆる政策が進展できないことを悟ったのだろう。

逆に言えば、そこまで米国も破綻寸前まで追い詰められているということである。

おそらく、安倍総理が政権公約を守りTPP交渉に参加しないままなら、TPPは頓挫する可能性も出てくることから米国は必ず再度妥協するはずである。

なぜなら、TPPが頓挫すれば米国のアジア経済への足場が絶たれるからである。

しかも、10月妥結を公言していることからも、日本が数カ月間の持久戦に持ち込めば、米国は政権公約の残り5つの判断基準さえ呑むはずである。

なぜなら、妥結期間を延期すれば他の経済連携ルールが先行妥結するからである。

しかし、残念ながら安倍総理は日米首脳会談の冷遇やオバマ大統領の脅迫に屈して、米国に日本の総理大臣として承認をもらうため、焦りに焦ってTPP交渉参加で政府一任をとりつけることを指示したのである。

これが、自民党の石破幹事長の今日の党役員会で政府一任との発言と、公明党の山口代表の明日の常任役員会で政府一任との発言という結果である。

自民党で378人中240人のTPP交渉参加反対派を無視するつもりだろうか。

嘘つき野田総理が実践したように党内議論や党内手続きを無視して、日本維新の会とみんなの党の3党合意をしてTPP交渉参加を表明するのだろうか。

自民党の政権公約でTPP交渉参加の6つの判断基準を無視するつもりだろうか。

「嘘つき自民党」にならぬよう自民党TPP交渉反対派は徹底抗戦すべきである。
「嘘つき安倍総理」にならぬようTPP交渉参加は持久戦に持ち込むべきである。



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